
Shopify Rollouts(ロールアウト)とは?ストアの変更を「予約」して、一部のお客様だけに試せる機能
Shopify の「Rollouts(ロールアウト)」は、ストアの変更を「この日時に切り替える」と予約しておける機能です。しかも、いきなり全員に見せず、一部のお客様にだけ先に出したり、期間限定で出して自動で元に戻したり、2つの案を見せ比べたりできます。
この記事の要点
- Rollouts は、ストアの変更(デザイン、チェックアウト画面、割引、商品カタログ)を、日時を決めて予約する機能です。
- 使い方は3つあります。決めた時刻に切り替える(Launch)、期間だけ切り替えて自動で戻す(Event)、2案を見せ比べる(Experiment)。
- 「お客様の何%に見せるか」も決められます。新しいデザインを、まず一部のお客様だけで試せます。
- 使えるのは Basic プラン以上です。2案を比べる Experiment は Grow プラン以上が必要です。
公開日:2026年6月7日/最終更新日:2026年10月10日。内容は、2026年10月時点の Shopify 公式ヘルプ(英語版)にもとづいています。画面の表記や仕様は変わることがあります。
Rollouts とは:ストアの「模様替え」を予約できる機能
お店の模様替えを想像してみてください。セールに合わせて看板を替えるとき、営業中に作業すると、お客様に途中の状態を見られてしまいます。かといって、閉店後に手作業で入れ替えて、セールが終わったらまた手作業で戻すのも大変です。
ネットショップでも同じことが起きます。セール用のデザインを用意しても、「何時に切り替えるか」「終わったら誰が戻すか」を、人が管理画面で操作する必要がありました。
Rollouts は、この切り替えをあらかじめ予約しておくための機能です。準備は裏で進めておき、決めた日時になったら切り替わります。管理画面の「Markets(マーケット)」の中にある「Rollouts」から使います。
お客様に
見えるストア
裏側管理画面
予約のイメージ図です。準備している間、お客様には今のデザインのまま表示されます。実際の時間の長さは設定によって異なります。
何を予約できるのか
公式ヘルプでは、次の4種類の変更を予約できるとされています。
| 変更の種類 | どんなことか |
|---|---|
| テーマ | ストアの見た目。新しいデザインへの差し替えや、今のデザインの編集 |
| チェックアウトとアカウント | 購入手続きの画面や、お客様のマイページの設定 |
| 割引 | 割引を有効にする、または無効にする |
| 商品カタログ | 市場ごとの商品や価格の公開状態 |
カタログは、販売する国・地域(市場)ごとに商品や価格をまとめたものです。
この記事では、いちばん使う機会が多いテーマ(見た目)の切り替えを中心に説明します。
3つの使い方:決めた時刻に切り替える・期間だけ切り替える・見せ比べる
Rollouts には3つの種類があります。管理画面では英語で表示されるため、名前と意味を合わせて覚えておくと迷いません。
| 種類 | ひとことで言うと | 終了日 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| Launch (ローンチ) |
決めた日時に切り替えて、そのまま残す | 不要 | 新しいデザインに、ある日の0時から切り替えたい |
| Event (イベント) |
期間だけ切り替えて、終わったら自動で元に戻す | 必須 | セール期間だけ、バナーや色を変えたい |
| Experiment (エクスペリメント) |
2つの案を同時に見せて、どちらが良いか比べる | 既定は開始から90日後 | 新旧どちらのデザインが買われやすいか確かめたい |
Launch決めた時刻に切り替える
Event期間だけ切り替える
Experiment2案を見せ比べる
各行の左4分の1が「開始前」、帯が実施期間を表す概念図です。実際の期間は設定によって異なります。
Launch:決めた時刻に切り替えて、そのまま残す
新しいデザインを、指定した日時にストアへ反映します。切り替わったあとは、そのまま残ります。夜中にログインして公開ボタンを押さなくても、予約した時刻に切り替わるのが利点です。
注意したいのは、Launch は反映したあとに元へ戻せないことです。「やっぱり戻したい」という場合は、元のデザインを手動で用意し直すことになります。不安な変更は、あとで説明する「一部のお客様にだけ見せる」使い方で、先に様子を見るとよいでしょう。
Event:期間だけ切り替えて、自動で戻す
セールやキャンペーンのように、期間が決まっている変更に向いた種類です。開始日時と終了日時を決めておくと、終了日時になった時点で自動的に元の状態に戻ります。「セールが終わったのにバナーが残っていた」という失敗を防げます。
期間が終わる前に、「やっぱりこのまま残そう」と判断することもあるでしょう。その場合は、手動で終了するときに「変更を適用する」を選べば、変更がそのまま残ります。ただし、こちらも適用したあとは元に戻せません。
Event でバナーを入れ替える場合のイメージ図です。実際の画面や、変更できる範囲とは異なります。
Experiment:2つの案を見せ比べる
現在のデザイン(control/コントロール)と、変更後のデザイン(treatment/トリートメント)を、お客様にランダムで振り分けて見せます。そして、どちらが購入につながったかを比べます。いわゆる A/B テストです。
たとえば、「カートに追加」ボタンの位置だけが違う2つのデザインを用意して、同じ期間に半分ずつのお客様へ見せる、といった使い方ができます。振り分けの割合は、既定では50%ずつです。
商品ページを2案で比べる場合のイメージ図です。点線で囲んだ部分が、2案で位置の異なる購入ボタンです。画面の構成や数値は説明用の例で、実際の結果を示すものではありません。
Experiment は Grow プラン以上で使えます。
「お客様の何%に見せるか」を決める:Traffic allocation と Traffic split
Rollouts のもうひとつの特徴は、変更を見せる相手の割合を決められることです。ここで、似た名前の設定が2つ出てきます。
| 設定名 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| Traffic allocation (トラフィック割り当て) |
ストアに来たお客様のうち、何%を Rollouts の対象にするか | すべての種類 |
| Traffic split (トラフィック分割) |
対象になったお客様を、control と treatment にどう分けるか(既定は50%ずつ) | Experiment のみ |
数字で見ると分かりやすくなります。Traffic allocation を40%、Traffic split を50%ずつにした場合は、次のようになります。
お客様全体を100%として
40% × 50% = 20%。数値は説明用の例です。
つまり、お客様の6割はこれまで通りのストアを見て、残りの4割が2つの案に半分ずつ振り分けられるという状態です。比べたい案が全体の売上に響かないよう、対象を絞って試せます。
一部のお客様にだけ先に見せるときの決まり
新しいデザインを、まず一部のお客様だけに見せたいときは、Traffic allocation を100%未満にします。このとき、開始日時と終了日時の両方が必須になります。終了日時になると元に戻り、残したい場合は、終了するときに「変更を適用する」を選びます。
なお、公式ヘルプには、「割合が時間とともに自動で増えていく」といった機能の記載はありませんでした。10% → 50% → 100% と広げたい場合は、結果を見ながら自分で設定し直すことになります。
設定の流れ(テーマを切り替える場合)
公式ヘルプ「Create a rollout」にもとづく、基本の流れです。
- 作る:管理画面の「Markets」→「Rollouts」を開き、「Create rollout」を押します。名前を付けて、種類(Launch/Event/Experiment)を選びます。
- 変更を入れる:「Changes」の「Add changes」から「Online store」を選び、今のテーマを編集するか、別のテーマに差し替えます。この編集は、予約した Rollouts の中だけに反映されます。今ストアに出ているデザインには影響しません。
- 相手の割合を決める:「Audience」で Traffic allocation を決めます。Experiment なら Traffic split も決めます。
- 日時を決める:「Scheduling」で開始日時を決めます。時刻の基準は、管理画面「設定」→「一般」に登録したストアのタイムゾーンです。
- ぶつかっていないか確認して保存する:別の Rollouts と内容が重なると、保存前に知らせてくれます。「Resolve rollout conflicts」と出たときは、解消するまで保存できません。
なお、今のテーマを編集する場合は、先に Rollouts を保存してから編集に進みます。別のテーマに差し替える場合は、先にそのテーマをオンラインストアへ追加しておく必要があります。
使う前に知っておきたい制限と注意点
便利な機能ですが、使えない場面や、あとから困りやすい点があります。事前に確認しておくと安心です。
使えるストアの条件
- プラン:Rollouts は Basic プラン以上。Experiment は Grow プラン以上です。
- テーマ:古い形式のテーマ(ヴィンテージテーマ。Online Store 2.0 より前の形式)には使えません。
- 対象のストア:テーマやチェックアウトの変更は、Shopify のオンラインストアだけが対象です。独自に作った(ヘッドレス)ストアや、実店舗のレジ(Shopify POS)は対象外です。
- 操作する人:ストアオーナーや管理者のほか、カスタムの権限を持つスタッフは、「Markets > Rollouts」などの権限が必要です。
できないこと
- Liquid テンプレート(テーマのコードファイル)の変更は、Rollouts では扱えません。
- 1つの Rollouts に入れられるテーマの変更は1つです。3つ以上のデザインを同時に比べることはできません。
元に戻せない操作
- Launch の反映:反映後は元に戻せません。
- 「変更を適用する」を選んだ終了:適用したあとは元に戻せません。
- アーカイブ:アーカイブすると、Rollouts のテーマの変更は削除されます。アーカイブした Rollouts は復元も再開もできません。削除も同じく、復元できません。
一部のお客様にだけ見せているときの注意
変更を一部のお客様にしか見せていない間は、お客様によってストアの見え方が違う状態です。広告や商品フィード(Google などに送る商品情報)の内容と、ストアで見える内容がずれる場合があると、公式ヘルプにも書かれています。広告を出しているストアは、期間と対象を決めるときに意識しておくとよいでしょう。
結果の見方:Experiment で確認できる数字
Experiment を行うと、Rollouts の画面(Rollout analytics)で結果を確認できます。テーマの変更では、次の4つです。
- コンバージョン率の推移:来訪者のうち、購入に至った人の割合の変化
- 直帰率:1ページだけ見て帰ってしまった人の割合
- チェックアウト到達率:購入手続きの画面まで進んだ人の割合
- カート追加率:商品をカートに入れた人の割合
注意したいのは、「どちらが勝ち」と自動で判定してくれるわけではない点です。どのくらいの差があれば勝ちとするか、何日続ければ十分かといった基準は、公式ヘルプに書かれていません。比べる前に、「この数字が◯%上がったら採用する」「最低◯日は続ける」といった基準を、ストア側で決めておく必要があります。
公式ヘルプで確認できなかった点
次の点は、公式ヘルプの記載では確認できませんでした。実際に使うときは、管理画面の表示と最新の公式ヘルプを確認してください。
- 対象の割合が、時間とともに自動で増えていく仕組み
- A/B テストの勝ち負けを判定する基準や、統計的な信頼度の表示
- 結果が信頼できるようになるまでに必要な、期間やアクセス数の目安
- 3つ以上のデザインを同時に比べる機能
まとめ
Rollouts は、ストアの変更を「予約」し、「誰に」「いつまで」見せるかを決められる機能です。
- 決めた時刻に切り替えて、そのまま残すなら Launch
- 期間だけ切り替えて、自動で戻すなら Event
- 2つの案を見せ比べるなら Experiment(Grow プラン以上)
大きなデザイン変更を、全員にいきなり出さず、まず一部のお客様で試せる点が最大の利点です。ただし、Launch やアーカイブは元に戻せません。はじめは Event か、割合を絞った設定で試してみるとよいでしょう。
出典(いずれも2026年10月時点で確認した Shopify 公式のページです)
- Shopify Help Center「Rollouts」:https://help.shopify.com/en/manual/markets/rollouts
- Shopify Help Center「Rollout types」:https://help.shopify.com/en/manual/markets/rollouts/rollout-types
- Shopify Help Center「Requirements and considerations」:https://help.shopify.com/en/manual/markets/rollouts/requirements-and-considerations
- Shopify Help Center「Create a rollout」:https://help.shopify.com/en/manual/markets/rollouts/create-a-rollout
- Shopify Help Center「Managing rollouts」:https://help.shopify.com/en/manual/markets/rollouts/managing-rollouts
- Shopify Help Center「Rollout analytics」:https://help.shopify.com/en/manual/markets/rollouts/analytics