Shopify Rollouts とは
グロースノウハウ

Shopify Rollouts とは

Shopify の「Rollouts(ロールアウト)」は、テーマの変更を「いつ」「どの訪問者に」「どれくらいの期間」反映するかを、管理画面から計画できる機能です。この記事では、公式ヘルプで確認できる範囲で、3つの使い方を整理します。

この記事の要点

  1. Rollouts は、日時を指定してテーマを公開する「Launch(ローンチ)」、期間を区切って切り替える「Event(イベント)」、2つのテーマを比べる「Experiment(実験)」の3種類で構成されます。
  2. 訪問者の何%に適用するかは「Traffic allocation(トラフィックの割り当て)」で決めます。100%未満にする場合は、開始日と終了日の両方が必要です。
  3. A/B テスト(Experiment)は Grow プラン以上で利用でき、既定の振り分けは control(現行)50%・treatment(変更後)50%です。

公開日:2026年6月7日/最終更新日:2026年9月30日。この記事の内容は、2026年10月時点の Shopify 公式ヘルプ(英語版)と Shopify Changelog にもとづいています。画面の表記や仕様は更新されることがあります。

Rollouts は、テーマ変更の「日時」と「対象の割合」を管理する機能です

公式ヘルプでは、rollout(ロールアウト)を「ストアのメインテーマ、チェックアウトとアカウントのページ、割引、商品カタログ、またはそれらの組み合わせに対する、スケジュールされた一連の変更」と説明しています。管理画面の「Markets(マーケット)」→「Rollouts」から作成・管理します。

Rollouts を使うと、公開の日時を指定したり、一部の訪問者にだけ先に見せたり、2つのテーマの成果を比べたりできるとされています。この記事では、テーマの変更に絞って解説します。

3つの種類と、この記事で扱う3つの使い方

公式ヘルプでは、rollout の種類は次の3つです。この記事の3つの使い方は、それぞれに対応します。

この記事での呼び方 公式の種類 公式ヘルプでの説明
指定した日時でのリリース Launch 変更をストアに恒久的に反映します。
期間を指定した切り替え Event 設定した期間だけ変更を公開し、終了時に元へ戻します。
比率を指定した A/B テスト Experiment control と treatment を比べ、変更の効果を測ります。

各行の左4分の1が「開始前」、帯が rollout の実施期間を表す概念図です。実際の期間は設定によって異なります。

機能1:日時を指定してテーマを公開し、一部の訪問者から反映できます

Launch は、新しいテーマ、または編集したメインテーマを、指定した日時にストアへ反映する種類です。公式ヘルプでは「変更はストアに恒久的にマージ(統合)される」と説明されています。反映した後に、変更を元へ戻すことはできないとされています。

「段階的な公開」に当たるのは、Traffic allocation の設定です

Shopify Changelog(2026年6月5日付)には、Rollouts で「新しいテーマやチェックアウトの構成を、訪問者の一部に段階的に公開できる」と書かれています。この「一部」を決めるのが、Audience(オーディエンス)セクションの Traffic allocation です。

  • Traffic allocation は、条件に当てはまる訪問者のうち、何%に rollout を適用するかを決める設定です。
  • この割合は、同じ rollout に含まれるすべての変更に適用されます。
  • 100%未満にする場合は、開始日時と終了日時の両方を指定する必要があります。

Traffic allocation を20%にした場合のイメージ図です。割合の数値は説明用の例です。

たとえば、新しいトップページを含むテーマを、まず訪問者の一部にだけ見せ、表示崩れや購入への影響を確認してから全体へ広げる、という使い方が考えられます。

開始日時はストアのタイムゾーンで指定します

Scheduling(スケジュール)セクションで開始日時を選びます。タイムゾーンは、管理画面の「設定」→「一般」にあるストアのタイムゾーンが既定になります。Launch の日付欄の表示名は「Changes publish(変更を公開)」です。

公式ヘルプでは、Traffic allocation の割合が時間の経過とともに自動で増えていく仕組みについては確認できませんでした。割合を段階的に広げたい場合の手順は、公式ヘルプの記載の範囲では案内されていません。

機能2:期間を決めてテーマを切り替え、終了後に元へ戻せます

Event は、変更を設定した期間だけ公開し、終了時に自動で元の状態へ戻す種類です。公式ヘルプでは、Event には終了日の指定が必須とされています。

  • 開始日時:日付欄の表示名は「Event runs from(イベントの実施期間)」です。
  • 終了日時:「Set end date」から指定します。終了日時になると、変更は自動でロールバックされます。
  • 対象:Launch と同じく、Traffic allocation で訪問者の割合を指定できます。

Event でバナーを入れ替える場合のイメージ図です。実際の画面や、変更できる範囲とは異なります。

セール期間だけバナーや配色を変えたテーマに切り替え、期間が終わったら元のテーマに戻す、という使い方が想定されます。終了時の切り戻しを手作業で行わずに済む点が、Launch との違いです。

期間中や終了時に手動で操作することもできます

公式ヘルプの「Managing rollouts(ロールアウトの管理)」には、状態ごとの操作が整理されています。

状態 できる操作
下書き・予約済み 設定と変更内容の編集、アーカイブ、削除
実施中 設定と変更内容の編集、一時停止、早期終了
一時停止中 再開、編集、終了、アーカイブ、削除
終了後 アーカイブ、削除

実施中の rollout を手動で終了するときは、「Roll back changes(変更を元に戻す)」と「Apply changes(変更を適用する)」のどちらかを選びます。後者を選ぶと、変更は恒久的に反映され、元に戻せません。

機能3:2つのテーマを比率で振り分けて、成果を比較できます

Experiment は、現行の状態(control)と変更後の状態(treatment)に訪問者を振り分け、変更の効果を測る種類です。Shopify Changelog には「2つのまったく異なるテーマ(またはチェックアウト構成)の間で A/B テストを実施できる」と書かれています。

比較できるのは、control と treatment の2つです

公式ヘルプでは、Experiment は control と treatment の2つで構成されます。1つの rollout に追加できるテーマの変更は1件までです。3つ以上のテーマを同時に比べる機能は、公式ヘルプでは確認できませんでした。

たとえば、商品ページの購入ボタンの位置だけが異なる2つのテーマを用意し、同じ期間に訪問者へ振り分けて比べる、という使い方が考えられます。

control購入ボタンは説明文の下
商品画像
ブラックホワイト
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treatment購入ボタンは価格の直下
商品画像
★★★★☆ レビュー 128件
ブラックホワイト
カートに追加

商品ページを比べる場合のイメージ図です。点線で囲んだ部分が、2つのテーマで位置の異なる購入ボタンです。画面の構成や数値は説明用の例で、実際のテーマや結果を示すものではありません。

配信の比率は「Traffic split」で決めます

Audience セクションの「Traffic split」で、control と treatment の割合を設定します。

  • 既定は control 50%・treatment 50%です。
  • プリセット(あらかじめ用意された割合)の選択、またはスライダーで割合を変更できます。
  • 実施期間の既定は、開始から90日間です。
  • treatment を100%未満にする場合は、終了日時の指定が必要です。

Traffic allocation と Traffic split は別の設定です。Traffic allocation は「条件に当てはまる訪問者のうち、実験の対象にする割合」、Traffic split は「その対象を control と treatment にどう分けるか」を決めます。

この例では、control と treatment がそれぞれ全体の20%(40% × 50%)にあたります。割合の数値は説明用の例です。

確認できる指標

公式ヘルプ「Rollout analytics」によると、オンラインストアのテーマの Experiment で確認できる指標は次のとおりです。

  • Conversion rate over time(コンバージョン率の推移)
  • Bounce rate(直帰率)
  • Reached checkout rate(チェックアウト到達率)
  • Add to cart rate(カート追加率)

勝者の判定方法、統計的な信頼度の基準、必要な最小の実施期間やトラフィック量は、公式ヘルプでは確認できませんでした。結果の読み方は、ストア側で基準を決めておく必要があります。

プランの条件

公式ヘルプによると、Rollouts は Basic プラン以上で利用できます。Experiment は Grow プラン以上が必要です。

どんな場面で使えるか

場面 向いている種類 理由
大きなデザイン変更の公開前に、影響を小さく確かめたい Launch(Traffic allocation を100%未満) 一部の訪問者だけに先に見せ、問題がないか確認できます。
セール期間だけテーマを変えたい Event 終了日時に自動で元へ戻るため、切り戻しの作業が要りません。
新旧デザインのどちらが成果につながるか比べたい Experiment 同じ期間に2つを並行して表示し、指標を比べられます。

設定の流れ

公式ヘルプ「Create a rollout(ロールアウトを作成する)」にもとづく流れです。

  1. 作成:「Markets」→「Rollouts」を開き、「Create rollout」を押します。名前を入力し、種類(Launch / Event / Experiment)を選びます。種類を選ぶと、日付・対象・終了時の動作の既定値が決まります。
  2. 変更の追加:「Changes」セクションの「Add changes」から、「Online store」を選びます。メインテーマを編集する(Edit theme)か、別のテーマに差し替えます。「Apply」で確定します。
  3. 対象の設定:「Audience」セクションで Traffic allocation を指定します。Experiment の場合は Traffic split も指定します。
  4. 日時の設定:「Scheduling」セクションで開始日時を指定します。Event と Experiment、および割合が100%未満の場合は、終了日時も指定します。
  5. 競合の確認:保存前に、他の rollout との競合が表示されます。「Resolve rollout conflicts」と表示された場合は、解消しないと保存できません。「Review rollout conflicts」は確認のうえ保存できます。

使う前に確認しておきたい制約

  • 古いテーマは対象外:公式ヘルプでは、vintage themes(ヴィンテージテーマ。Online Store 2.0 より前の形式のテーマ)には rollout を適用できないとされています。
  • Liquid テンプレートは変更できない:rollout の変更として、Liquid テンプレート(テーマのコードファイル)を変更することはできないとされています。
  • テーマの変更は1つだけ:1つの rollout に追加できるテーマの変更は1件です。
  • 対象はオンラインストア:テーマとチェックアウトの変更は、オンラインストアにのみ適用されます。ヘッドレス(独自構築)のストアフロントは対象外です。
  • 複数の rollout が重なる場合:Traffic allocation は、実施中の rollout の間で比例して再計算されます。複数の Experiment には、それぞれ重ならない訪問者のグループが割り当てられます。
  • アーカイブの扱い:rollout をアーカイブすると、そのテーマの変更はすべて削除されます。アーカイブした rollout を元に戻すことはできません。
  • 権限:スタッフが rollout を操作するには、オーナーまたは管理者のロールのほか、カスタムロールの場合は「Markets > Rollouts」と「Online store > Themes」などの権限が必要です。

公式ヘルプで確認できなかった点

  • Traffic allocation の割合が、時間の経過とともに自動で増える仕組み
  • A/B テストの勝者を判定する基準や、統計的な信頼度の表示
  • 実験に必要な最小の期間やトラフィック量
  • 3つ以上のテーマを同時に比較する機能

これらは、公式ヘルプの記載の範囲では確認できなかった点です。実際に運用する際は、管理画面の表示と最新の公式ヘルプを確認してください。

まとめ

Rollouts は、テーマの変更を「日時」「対象の割合」「期間」で管理する機能です。

  • 日時を指定して公開し、一部の訪問者から反映するなら Launch です。
  • 期間を決めて切り替え、終了後に元へ戻すなら Event です。
  • 2つのテーマに比率を指定して振り分け、成果を比べるなら Experiment です(Grow プラン以上)。

テーマの差し替えを全訪問者へ一度に反映する前に、まず対象を絞って試せる点が、この機能の使いどころです。

出典(いずれも2026年10月時点で確認した Shopify 公式のページです)