「Shopifyでストアを立ち上げたものの、売上が伸び悩んでいる」
「広告費はかさむばかりで、新規顧客の獲得がどんどん難しくなっている」
「コミュニティが良いとは聞くけれど、具体的にどうすれば売上に繋がるのかわからない」
もし、このような悩みを抱えるECを運営する経営者や事業責任者であれば、この記事はお役に立てるはずです。事実、私たちの支援先では、コミュニティを戦略的に活性化させることで、新作を販売するたびに爆発的な売上を記録し、同時に広告のパフォーマンスさえも向上させるという好循環を生み出しています。
この記事では、Shopifyストアを持続的に成長させるための、体系立てられた「コミュニティ活用グロースモデル」を、具体的な事例とともに3つのステップで解説します。
Contents
なぜ今、コミュニティがShopifyストアの成長に不可欠なのか?
多くのEC事業者が、新規顧客獲得のために多額の広告費を投下しています。しかし、競争の激化やプラットフォームの仕様変更により、広告効果は年々低下し、顧客獲得単価(CPA)は高騰し続けています。このまま広告だけに依存したビジネスモデルを続けていては、いずれ成長が頭打ちになることは明らかです。
こうした状況で持続的な成長を遂げるために強力な手法が「コミュニティ」です。
活発なコミュニティは、単なる顧客の集まりではありません。それは、ブランドの価値観に共感し、商品を愛し、自発的に応援してくれる「ファン」の集合体です。ファンは商品を繰り返し購入してくれるだけでなく、SNSや口コミを通じて新たな顧客を連れてきてくれます。つまり、コミュニティそのものが、強力な販売チャネルであり、広告塔になります。
この記事で提案するのは、この強力なコミュニティを戦略的に活用し、Shopifyストアの継続的な成長を実現するための再現性あるモデルです。それは、以下の3つのステップで構成されています。
- ステップ1:関係構築
- 既存の活発なコミュニティに参加し、ブランドの存在感を高める。
- ステップ2:話題化と販売
- コミュニティ内で話題になる仕掛けを作り、販売に繋げる。
- ステップ3:自社コミュニティ化
- 熱量の高いファンを中心に、自社ブランドのコミュニティを形成する。
このモデルは、順序立ててコミュニティとの関係を深化させ、着実に売上へと転換していくためのロードマップです。次の章から、各ステップについて詳細に解説していきます。
【ステップ1】種まき期:既存コミュニティでブランドの「存在感」を作る
多くの人が「コミュニティ作り」と聞くと、いきなり自社でコミュニティサイトやLINEオープンチャットを立ち上げることを想像しがちです。しかし、それは多くの場合、失敗に終わります。まだ誰も知らないブランドのコミュニティに、人は集まってきません。
最初のステップは、自社ブランドや商品と関連性の高いテーマで、すでに盛り上がっているコミュニティを見つけ、そこで積極的に活動することです。
例えば、あなたがアウトドア用品を扱っているなら、キャンプ好きが集まるInstagramのハッシュタグや、登山に関する情報交換が活発なコミュニティサイトが活動の場となります。子育てグッズならママ・パパ向けのSNSグループ、特定の趣味のアイテムならその愛好家が集うプラットフォームが考えられます。
なぜ既存コミュニティから始めるのか?
- 効率性: ゼロから人を集める手間が省け、すでに興味関心の高い潜在顧客に直接アプローチできます。
- リサーチ: コミュニティ内の会話を観察することで、ターゲット顧客のリアルな悩みやニーズ、言語感覚を深く理解できます。これは今後の商品開発やマーケティングの貴重なインプットになります。
- 信頼獲得: すぐに商品を売り込むのではなく、まずはコミュニティの一員として価値ある情報を提供したり、積極的に交流したりすることで、信頼を築くことができます。
具体的なアクション
- コミュニティの調査: 自社の商品ジャンル、ターゲット顧客のライフスタイルや趣味を軸に、活動の候補となるコミュニティ(SNSハッシュタグ、コミュニティサイトなど)をリストアップします。
- 貢献活動の実践: 選んだコミュニティで、積極的に活動を開始します。売り込みは禁物です。専門家として役立つ情報を提供したり、他のメンバーの投稿に丁寧にコメントしたり、質問に答えたりして、「この人は詳しい」「このブランドは信頼できる」という認識(存在感)を地道に作っていきます。
このステップのゴールは、売上を上げることではありません。コミュニティ内でブランドや商品が自然と話題に上りやすくなる土壌を耕し、次のステップへの橋渡しをすることです。
【ステップ2】収穫期:コミュニティを「話題化」し、販売に繋げる
ステップ1で築いた信頼と存在感をベースに、いよいよ販売へと繋げていくのがこのステップです。しかし、ここでも一方的な宣伝はNGです。コミュニティの熱量を活用し、参加者を巻き込みながら「話題になる」ような仕掛けを通じて、販売を促進します。
この段階になると、コミュニティ内で自社の発信は注目されやすくなり、SNSやコミュニティサイトではブランドに関連する投稿が他のメンバーに表示されやすくなっています。 この「バズりやすい状態」を最大限に活用します。
話題作りと販売を両立させる施策例
コミュニティの特性に合わせて、以下のような参加型の販売施策が非常に有効です。
クラウドファンディング・予約販売
「こんな商品を作ろうと思うのですが、どう思いますか?」とコミュニティに問いかけ、意見を募りながらプロジェクトを進めます。Makuakeなどのプラットフォームを活用するのも良いですし、ShopifyであればCrowdfunderのようなアプリで自社EC内でクラウドファンディングも可能です。

この手法は、単に売上を作るだけでなく、販売開始前に需要を予測し、顧客リストを獲得できるという大きなメリットがあります。事前に集めたリストへの広告配信も効果的です。
友達紹介・アフィリエイトプログラム
人と人との繋がりが強いコミュニティでは、紹介プログラムが機能しやすいです。「紹介した人にも、された人にもメリットがある」というプログラムを設計し、コミュニティ内のインフルエンサーや熱心なファンに協力を依頼しましょう。
ShopifyアプリのVIPやGoAffPro、Shopify Collabsなどを活用することで、効率的な運用が可能です。
ライブコマース
Instagramライブなどを活用し、リアルタイムで視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を販売します。商品のこだわりを直接伝えられるだけでなく、その場で質問に答えることで、購買への不安を解消できます。コミュニティ内で影響力のある人とコラボ配信するのも効果的です。
弊社が開発したLiveHeroというアプリは、Shopify内でゲストを招いてコラボ配信をすることができ、コミュニティを重視するブランドにマッチしています。
会員限定の先行販売・抽選販売
「いつも応援してくれる皆さんだけに、一般販売に先駆けてご案内します」といった限定感は、ファンのエンゲージメントをさらに高めます。コミュニティメンバーであることに優越感や特別感を持ってもらうことが重要です。
Shopifyでは、抽選販売はAppify、会員限定の先行販売はRuffRuff予約販売、会員限定商品の販売はRuffRuff注文制限などで実施可能です。

参加型の商品開発
「次の商品のカラーバリエーションをみんなで決めよう」「こんな機能があったら嬉しい、というアイデアを募集します」といった形で、商品開発プロセスにコミュニティメンバーを巻き込みます。自分たちの声が反映された商品には強い愛着が湧き、発売時には強力な応援団となってくれます。
実現難易度は高いですが、以前実施した際は、販売前から大きな話題を作ることができました。
これらの施策のポイントは、「企業 vs 顧客」という一方通行の関係ではなく、「ブランドとファンが一体となって盛り上げる」という共犯関係を作り出すことです。この熱狂の渦が、初速売上のスパイクを生み出し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出を促し、次の成長へと繋がる貴重な資産となるのです。
【ステップ3】資産化期:ブランド中心の「自社コミュニティ」を育てる
既存コミュニティでの活動を通じてブランドのファンが増え、熱量の高い顧客層が形成されてきたら、いよいよ最終ステップです。そのファンたちを中心に、自社ブランドがハブとなる、よりクローズドでエンゲージメントの高い「自社コミュニティ」を構築していきます。
このステップの目的は、顧客との関係性をさらに深化させ、ブランドへのロイヤリティを決定的なものにすることです。ここでは、ブランドとファン、そしてファン同士の双方向コミュニケーションが活発に行われる場作りが求められます。
自社コミュニティを活性化させる施策例
オンラインの施策とオフラインの施策を組み合わせ、コミュニケーションの回数と質を最大化していくことが重要です。
アンバサダープログラム
熱量の高いファンに「公式アンバサダー」になってもらい、ブランドの魅力を共に広めてもらう施策です。アンバサダーには新商品の先行体験や限定イベントへの招待といった特典を用意し、その活動を自社ECサイトやSNSで積極的に紹介します。これにより、アンバサダーのモチベーションを高めると同時に、そのフォロワーにも効果的にアプローチできます。
私たちStoreHeroでは、アンバサダーが投稿したコンテンツを簡単な承認作業だけでECサイト上にページ化できる機能を支援先に提供しており、効率的なコンテンツ拡充をサポートしています。

オンライン・オフラインイベント
新商品の発表会、開発者との座談会、ファン同士が交流できるミートアップなど、参加型のイベントを企画します。PopUpストアや実店舗でのイベントは、ブランドの世界観を直接体験してもらう絶好の機会となります。
オフラインイベントに参加してくれた方限定の商品をオンラインで販売する場合は、RuffRuff注文制限を使うと良いでしょう。
限定コンテンツの配信
コミュニティメンバー限定のニュースレター、開発秘話、撮影裏側ショットなど、クローズドな場だからこそ提供できる特別な情報を発信します。
Shopifyでは、限定コンテンツは、CRMで特定の顧客セグメント限定のコンテンツ配信をする方法以外に、サイトで閲覧制限機能を実装することもできます。

自社コミュニティ化の鍵:アンバサダーとの連携
特に重要なのが、アンバサダープログラムです。アンバサダーは、単なるインフルエンサーとは異なり、ブランドへの深い愛情を原動力に活動してくれる強力なパートナーです。彼ら・彼女らと密に連携し、その活動を最大化する仕組みを整えることが、コミュニティの熱量を維持・向上させる上で不可欠です。
例えば、アンバサダー経由で購入した顧客をCRM上でセグメントし、当該アンバサダーのコンテンツを配信するといった特別なコミュニケーションも有効です。このような細やかな配慮が、ブランドとアンバサダー、そして新たな顧客との間に強い絆を生み出します。
【事例】ウェスキー株式会社:顧客の孤独に寄り添い、熱狂的コミュニティへと昇華させたベビーブランド「b.box」
このコミュニティ活用グロースモデルを体現し、成功を収めているブランドの一つが、ウェスキー株式会社様が運営するオーストラリア発のベビー・キッズ向けライフスタイルブランド「b.box」です。

彼らの成功は、商品を売ることではなく、「子育て中の親が抱える孤独感に寄り添いたい」という強い想いから始まった、まさにコミュニティ起点の好事例と言えます。以前行ったインタビュー記事から要点を抑えていきましょう。

ステップ1:関係構築(インスタライブでコミュニティを開始)
最初のステップは、製品を売ることではありませんでした。子育て中に社会との繋がりが薄れ、孤独を感じやすい親たちに向けて「オンライン上で繋がれる場を提供したい」という想いから、インスタライブを開始。悩みや喜びを共有する場として機能させることで、まず顧客との深い信頼関係を構築することに注力しました。これが、熱狂的なコミュニティの土台となったのです。
ステップ2:話題化と販売(コミュニティの熱量を売上に転換)
コミュニティが活性化すると、その熱量を売上へと繋げるフェーズに入ります。ウェスキー様は、SNS上での盛り上がりを広告やCRMを通じてより多くの顧客に伝え、購買意欲を高めました。
ブランド公式の広告クリエイティブだけでなく、Metaのパートナーシップ広告を活用して、実際に商品を使っているアンバサダーが作成したリアルな写真や動画(UGC)を積極的に活用したことです。これにより、広告の説得力を高め、効果的な販売へと繋げています。
ステップ3:自社コミュニティ化(顧客と卸先を巻き込む仕組み)
最終ステップとして、ウェスキー様はファンをさらに巻き込み、コミュニティを強固なものにしています。公式のアンバサダー制度を設け、熱心なファンと共にブランドを盛り上げる体制を構築。
さらに、商品を扱う卸先の店舗を「フレンドショップ」と位置付け、単なる販売拠点としてではなく、ブランドの価値観を共有し、地域コミュニティの核となるパートナーとして連携を深めています。これにより、オンライン上のファンコミュニティを、オフラインの販売網をも巻き込んだ、より立体的で強力なものへと進化させているのです。
ウェスキー様の事例は、商品を売る前にまず顧客の課題解決に真摯に向き合い、信頼関係という土台を築き、その熱量を起点にして販売とファン拡大の好循環を生み出しています。この「コミュニティ・ファースト」の姿勢こそが、模倣困難なブランドの強さを生み出す鍵になっています。
まとめ
本記事では、熱狂的なファンコミュニティを軸にShopifyストアを成長させるための具体的な3つのステップを解説しました。
- ステップ1:関係構築
- まずは自社ブランドと親和性の高い既存コミュニティに参加し、売り込むのではなく、価値提供を通じて信頼と存在感を築くことから始めましょう。
- ステップ2:話題化と販売
- 築いた信頼をベースに、クラウドファンディングや友達紹介プログラムなど、ファンを巻き込んで「話題になる」仕掛けを作り、販売へと繋げます。
- ステップ3:自社コミュニティ化
- 熱量の高いファンを中心に、アンバサダープログラムや限定イベントを通じて、ブランド中心の強固なコミュニティへと育て上げます。
このグロースモデルは、一朝一夕で成果が出るものではありません。しかし、地道にステップを踏んでいくことで、短期的な売上だけでなく、競合他社が容易に模倣できない「ファンの熱量」という、ビジネスにおける最強の資産を築くことができます。
次の具体的な一歩を踏み出すために
「理論はわかったが、自社の場合はどこから手をつければ良いかわからない」
「このモデルを実践するためのリソースが足りない」
もしそう感じられたなら、ぜひ一度、私たちStoreHeroにご相談ください。StoreHeroの「無料ストア診断」では、Shopify運営のエキスパートが、あなたのストアの現状をヒアリングとデータに基づいて丁寧に分析。コミュニティ活用施策を含む、今取り組むべき最も優先度の高い課題と具体的な施策をご提案します。
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