メルマガ登録者の2回目購入率は約1.6倍|コミュニティの熱量をリピートに変えるCRMの作り方
グロースノウハウ

メルマガ登録者の2回目購入率は約1.6倍|コミュニティの熱量をリピートに変えるCRMの作り方

「広告費を増やしても、前ほど売上が伸びなくなってきた」「SNSのフォロワーは増えているのに、リピートにつながっている実感がない」「メルマガは、割引を出したときしか反応がない」。ECの売上がある程度まで伸び、次の一段をどう作るかを考えている方から、こうした声をよく聞きます。

広告で新規顧客を集め、クーポンでリピートを促すやり方は、立ち上げ期には有効です。ただ、売上を数倍に伸ばそうとする段階では、広告費もクーポンの原資も売上と一緒に膨らみ、利益が残りにくくなります。本記事では、お客様同士やブランドとのつながりを成長の原動力にする「コミュニティモデル」の考え方と、購買データをもとに、広告やクーポンに頼りすぎないCRMの作り方を解説します。Shopifyでの具体的な進め方もあわせて紹介します。

売上が伸びてから広告とクーポンが効かなくなるのは、顧客との関係の型が決まっていないから

CRM(メールやLINEなどで顧客との関係を育てる取り組み)で成果を出したいとき、まず思い浮かぶのは、購入後のステップメール、カゴ落ちメール、誕生日クーポン、ポイント還元といった施策でしょう。どれも大切な施策ですが、施策の数を増やしても反応が頭打ちになり、配信のたびに割引を付けないと売れなくなっている場面によく出会います。

施策が効かなくなる原因は、配信の中身やタイミングだけではありません。施策を選ぶ前に決めておくべきことが2つあります。1つは、自社がどんな型で成長するビジネスなのか。もう1つは、お客様にどんな理由で買ってもらうのかです。この2つが決まっていないと、CRMで何を伝えればよいかが定まらず、結局は「今だけ◯%オフ」という一番分かりやすい理由に頼ることになります。

コミュニティモデルとは:人のつながりが新規とリピートを同時に生むビジネスの型

StoreHeroでは、EC事業の成長の型を15種類の「グロースモデル」として整理しています。そのうち、お客様とのつながりを成長の原動力にするのがコミュニティモデルです。

コミュニティモデルは、盛り上がっているコミュニティの中で目立つ存在になり、商品を販売するモデルです。子育て、アウトドア、スポーツ、趣味など、SNSで投稿や交流が活発なテーマの中で、販売以外の情報提供や貢献を続けることで信頼と存在感を作り、ファンを獲得していきます。次のような特徴があるブランドは、このモデルの考え方が参考になります。

  • 特定のコミュニティの中で知られることを重視している
  • 情報提供など、販売以外の貢献活動を続けている
  • コミュニティの人たちからの信頼や口コミが、新規顧客を連れてきている
  • コミュニティの中での評判や存在感が大切だと感じている
  • コミュニティの意見を、商品開発や改善に反映している

このモデルは、売上がある程度伸び、もう一段スケールさせたい段階と相性が良いモデルです。立ち上げ期は、まず商品の価値を伝えて買ってもらうことが先決です。ある程度のお客様が集まったあとに、そのお客様のつながりが次のお客様を連れてくる状態を作れると、広告費に比例しない伸び方ができるようになります。

海外では、医療用スクラブのD2Cブランド「FIGS」がこの伸び方の代表例です。現役の医師や看護師、医学生1,000名超をアンバサダーに迎え、当事者の発信で認知を広げました。顧客獲得コストを2018〜2020年に61%下げながら、年商は2019年に1億ドルを突破し、2020年には約2.6億ドルに伸び、初回購入後のリピート率は約50%に達しています。詳しくは「【事例研究】医療スクラブが毎週"即完売"するブランド──FIGSはなぜニッチ市場から爆速で上場できたのか」で解説しています。

このモデルで積み上がる資産と、北極星指標

コミュニティモデルで積み上がる資産は、エンゲージメントとLTVの高い顧客リスト、コミュニティ内での評判、コミュニティが生み出すUGC(お客様が投稿する写真やレビュー)、話題が生むメディア掲載、そしてSNSでのエンゲージメントです。なかでも成長を支えるのが、アンバサダーや紹介者という「人の資産」です。この資産が積み上がるほど、広告に頼らない新規獲得の経路が太くなります。

その状態にあるかは、新規獲得のオーガニック比率(新規顧客のうち、広告以外の経路で来た顧客の割合)で確認できます。StoreHeroでは、これをコミュニティモデルの北極星指標(事業の健全性を示す最重要の指標)と位置づけています。コミュニティモデルの全体像は「広告だけに頼らない!熱狂的ファンコミュニティがShopify売上を爆増させる3つのステップ」でも解説しています。

SNSで生まれた熱量は、メール・LINEでつながって初めてリピートに変わる

コミュニティモデルというと、SNSの盛り上がりばかりに目が向きがちです。しかしShopifyグロースの現場では、SNSでつながっていても、メールやLINEでつながっていないお客様はなかなか2回目の購入に進まない、と感じる場面が少なくありません。

試しに、単価帯の異なるShopifyストア2社(いずれもコミュニティモデル)で、生涯で初めて購入した顧客を、初回購入の時点でメルマガに登録していたかどうかで分け、その後の購入を比べてみました。2社とも、登録していた顧客のほうが2回目に進む割合が約1.6倍高くなっていました。

ブランド 2回目に進んだ割合(登録者) 2回目に進んだ割合(未登録者) 差
低単価ブランドA 約10% 約6% 約1.6倍
高単価ブランドB 約30% 約19% 約1.6倍

※生涯で初めて購入した顧客を初回購入時点のメルマガ登録状態で分け、直近12か月に2回以上購入した割合を比べています。集計条件は各社で一部異なるため、数値は傾向をつかむための目安です。

もともとのリピートの多さがまったく違う2社で、差の倍率がそろったのは興味深い点です。一方で、1回あたりの注文金額は登録者と未登録者でほとんど変わらず、LTVの差は購入回数の差から生まれていました。

ただし、この差は「メルマガに登録してもらえばリピートが増える」ことを示しているわけではありません。逆の関係、つまり購買意欲が高く、もともとリピートしやすいお客様ほど、初回購入のときにメールやLINEを登録している可能性も十分にあります。

どちらの関係であっても、確かに言えることが1つあります。熱量の高いお客様とつながれる機会は、初回購入のタイミングにほぼ限られるということです。2社とも、初回購入時に登録しなかった顧客のうち、その後に登録したのは1割未満でした。つまり、初回購入の瞬間につながれなかったお客様は、その後どれだけSNSが盛り上がっても、ブランドから直接声をかけられないまま離れていきます。

売り方が変わると、CRMで送るものが変わる

グロースモデルが決まったら、次は販売方法、つまり「お客様にどんな理由で買ってもらうか」を決めます。StoreHeroでは販売方法も数多く整理しており、コミュニティモデルと相性が良い販売方法の一つが参加券型販売です。

参加券型販売は、商品を買うことが、コミュニティや限定イベント、限定情報、先行購入などへの「参加権」を得ることにつながる売り方です。お客様の購入理由が商品そのものだけでなく、「その輪に入ること」「関わり続けること」になります。会員権、優先購入権、限定のオンラインの場、共同開発への参加権などの形をとります。

たとえば、人気YouTuberのMr.Beast氏が展開するお菓子ブランド「Feastables」は、自社のチョコレートを、Amazon Prime Videoで配信される大規模リアリティ番組「Beast Games」シーズン2への「応募券」にするキャンペーンを実施しました。ファンにとって、このチョコレートを買うことは、単なるおやつの購入ではなく、Mr.Beast氏の企画に参加するための「参加券」を買うことになります。購入者はその体験に熱狂し、SNSでこぞって投稿します。詳しくは「トラフィックを売上に変える!Shopifyで実現するメディアコマース成功の5ステップ」で紹介しています。

同じCRMでも、送るものは売り方で変わる

たとえば、1つの商品を定期購入で買い続けてもらうブランド(単品リピート通販モデル×定期購入)なら、CRMの中心は、商品を使い切るタイミングに合わせたステップ配信です。「そろそろなくなりませんか」と伝え、継続してもらうことがCRMの役割になります。

一方、コミュニティモデル×参加券型販売では、CRMの役割は「次の参加」への招待です。

項目 単品リピート通販モデル×定期購入 コミュニティモデル×参加券型販売
CRMの役割 次の購入・継続を促す 次の参加・発信・紹介に招く
配信の起点 使い切るまでの日数 購入、イベント、投稿などの関わり
主な中身 使い方、買い足しの案内、継続特典 限定イベント、先行販売、UGCの依頼、仲間の紹介
成果の見方 継続率、F2転換率 参加した顧客としていない顧客のLTVの差、紹介経由の売上

参加した顧客ほど、ブランドとの関係が深まり、発信や紹介によって次のお客様を連れてきてくれます。CRMで送るべきものは、割引ではなく、この「参加する理由」です。

Shopifyでコミュニティ型のCRMを回す5つのステップ

ステップ1:初回購入の瞬間に、メール・LINEでつながる

最初にやるべきことは、初回購入のタイミングで、お客様にメールやLINEで登録してもらうことです。先ほどの2社では、初回購入時に登録しなかった顧客が後から登録する割合は1割未満でした。逆に、低単価ブランドAでは、初回購入時に登録した顧客の約1割が、その後に登録を解除していました。登録してもらった直後の配信が、関係を続けられるかどうかを左右します。

登録の案内は、チェックアウトだけに頼らず、サイト訪問中のポップアップ、SNSのプロフィール、商品の同梱物など、お客様の熱量が高い場面に置きます。登録の理由も「割引クーポン」より、「先行販売のお知らせ」「会員限定のイベント」など、参加の入口として伝えると、コミュニティモデルの売り方とつながります。

自社の顧客のうち、初回購入時にどれくらいの人とつながれているか、データで確かめたい場合は、StoreHeroのShopify無料ストア診断でも分析しています。

Shopifyでの進め方

  • チェックアウトで配信の同意を取る:チェックアウト設定で、メールマーケティングの購読欄をチェックアウト画面に表示します。
  • ポップアップで登録してもらう:Shopify Formsなどのフォームアプリで、サイト訪問中に登録を案内するポップアップを出します。
  • LINEでもつながる:LINE連携アプリを使い、Shopifyの顧客とLINEの友だちを紐付けます。
  • 登録直後に歓迎の配信を送る:Klaviyoなどのメール配信ツールで、登録直後の歓迎メールを自動配信し、ブランドの活動や参加できる場を案内します。

ステップ2:顧客を「関わり方」で分け、最初の火種を見つける

次に、顧客を購入回数や金額だけでなく、ブランドとの関わり方で分けます。熱量の高い長文レビューを書いてくれた顧客、★5のレビューを付けてくれた顧客、ブランド名のハッシュタグで投稿してくれている顧客、他社から乗り換えてきた顧客などです。

こうした顧客は、のちに紹介者やアンバサダーになってくれる「最初の火種」です。全員に同じ配信を送るのではなく、まずこの火種となる顧客を見つけ、特別な関係を作るところから始めます。

Shopifyでの進め方

  • 熱量の高い顧客にタグを付ける:レビューアプリの★5や長文レビュー、SNS投稿をしてくれた顧客に、顧客タグ(例:火種_レビュー、火種_UGC)を付けます。
  • セグメントを作る:Shopifyの顧客セグメントで、購入回数・購入金額とタグを組み合わせたグループを作ります。
  • 配信ツールに連携する:Klaviyoなどにセグメントを連携し、火種の顧客だけに送る配信を用意します。

ステップ3:買うと何に参加できるのか(参加権)を決める

3つ目のステップは、参加権の中身を決めることです。会員限定の先行販売、新作の先行案内、限定イベント、商品づくりへの参加など、買ってくれたお客様だけが得られる情報・体験・つながりを具体的にします。

ポイントは、金銭的な還元より、特別な体験を報酬にすることです。FIGSは、会員向けに限定セールや新色への早期アクセスを用意し、毎週の限定カラーの発売をコミュニティの楽しみにしました。参加権は、一度用意して終わりではなく、継続して中身を供給し続けられるものを選びます。

Shopifyでの進め方

  • 会員限定のページを作る:顧客タグで閲覧できる顧客を制限できるアプリを使い、会員限定のページや先行販売の商品を用意します。
  • 先行販売の対象者を絞る:先行販売の案内は、ステップ2で作ったセグメントや会員タグの顧客だけに配信します。
  • お客様の声を集める:Shopify Formsなどで商品へのアンケートや投票を募り、回答した顧客にタグを付けます。

ステップ4:購入後の配信を「次の参加」につなぐ

4つ目のステップは、購入後の配信に「参加の入口」を組み込むことです。配信は、もっとも離脱しやすい初回購入者に集中させ、購入から3日、7日、14日、30日といった節目で送ります。商品が届いた直後には写真の投稿やレビューを、少し時間が経過してからはイベントや会員限定の場を案内します。

紹介をお願いするのも、このタイミングです。紹介の依頼は、商品を開けた直後や、良さを実感したときなど、お客様の気持ちが最も高まっているときに送ります。紹介される側の飛び先は、迷わず選べるスターターセットや定番商品に絞ります。

購入金額や回数の多いロイヤル顧客には、自動配信に加えて、担当者からの個別のメッセージや、新商品のモニター募集を混ぜると、「特別扱いされている」という実感につながります。

Shopifyでの進め方

  • 購入後フローを作る:Klaviyoなどで、購入日を起点に3・7・14・30日の購入後フローを作り、UGCの依頼やイベントの案内を組み込みます。
  • メールとLINEを使い分ける:短いお知らせはLINE、ブランドの活動や読み物はメールと、役割を分けて配信します。
  • 紹介プログラムを用意する:紹介アプリで紹介リンクを発行し、紹介経由の注文を計測できるようにします。

ステップ5:熱量の高い顧客をアンバサダーに迎え、参加した顧客との差で測る

最後のステップは、ステップ2で見つけた火種の顧客をアンバサダーとして迎えることです。最初から大きく公募するのではなく、5〜10名ほどのクローズドな運用から始めます。専任の担当者が投稿を見て、感謝を伝える。こうした人間味のあるやり取りが、アンバサダーの熱量を保ちます。

米国のフーディーブランド「comfrt」は、誰でも参加できるアフィリエイトの仕組みを入口にしながら、日々のやり取りはDiscordで行い、アンバサダーのストーリーズ投稿を公式アカウントで再掲して、貢献を公式に認めています。報酬だけに頼らず、「ブランドに認められる」ことを動機にしている点が参考になります。詳しくは「comfrtのアンバサダー戦略」で解説しています。

Comfrtのアンバサダープログラム

成果は、キャンペーンごとの売上だけでは測れません。参加した顧客としていない顧客のLTVの差、紹介経由の売上、そして新規獲得のオーガニック比率の推移で確認します。

Shopifyでの進め方

  • アンバサダーの発信を計測する:Shopify Collabsなどのアフィリエイトアプリで、アンバサダーごとのリンクやコードを発行し、経由した売上を計測します。
  • 参加した顧客にタグを付ける:イベント参加、先行販売の購入、紹介などの関わりがあった顧客にタグを付け、参加していない顧客とLTVを比べます。
  • 毎月記録する:新規顧客のうち広告以外の経路で来た顧客の割合を、毎月記録します。

まとめ:グロースモデル・販売方法・施策の順で考えると、CRMは割引に頼らなくなる

売上が伸びてきたブランドがもう一段スケールするには、広告とクーポンだけに頼らず、お客様のつながりが次のお客様を連れてくる状態を作ることが大切です。そのためのCRMは、次の3つの順番で設計します。

  • ① グロースモデル:自社はどんな型で成長するのか(例:コミュニティモデル)
  • ② 販売方法:どんな理由で買ってもらうのか(例:参加券型販売)
  • ③ ファネル別施策:その売り方を最も魅力的に伝える施策は何か(例:初回購入時の登録、購入後フロー、紹介プログラム、アンバサダープログラム)

最初の一歩は、自社の新規顧客のうち、初回購入の時点でメールやLINEでつながれている人が何割いるかを確かめることです。ただ、初回購入時点の登録状態を顧客データの履歴からたどり、その後の購入と比べるには、手間も分析のノウハウも必要になります。

StoreHeroのShopify無料ストア診断では、Shopifyなどのデータを連携し、顧客・商品・在庫・チャネルの観点から成長課題を洗い出します。そのうえで、自社に合うグロースモデルと販売方法、CRM・広告・サイトの施策を、優先順位を付けてご提案します。診断結果は1〜2週間でご報告し、費用はかかりません。

初回購入のお客様と、どれくらいつながれているか、データで確かめてみませんか。まずはお気軽に無料診断をお申し込みください。