Shopify&Klaviyo自動メールの設計から改善まで(セグメント、シナリオ作成、運用改善)

メルマガを活用して、新商品やイベント情報を送っている方は多いと思います。Shopifyでグロースを進めていくために、メールを使ったCRMはとても有効な手段です。

この記事では、顧客に必要なタイミングにあわせて最適な情報をお伝えできるよう、自動メールを配信して効果的にグロースしていく方法をご紹介します。

CRMを適切に設計し運用できていれば、売上の20〜30%を自動メール経由で売り上げることもあります。ぜひ積極的に取り組んでみてください。

また、今回の記事はKlaviyoの基礎的な使い方を解説した記事ですが、ShopifyでのCRMやKlaviyo活用を基礎から応用までまとめた記事は以下となります。全体を理解されたい場合は、こちらをご確認ください。

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伸びしろのあるセグメントを確認する

まずは、条件にあわせてメルマガ会員をセグメント分けします。

セグメント分けのポイントは、追加提案することで会員の購入検討が進むかどうかです。たとえば、商品のカート追加から購入完了までの間で離脱が多くなっている場合や、購入率の高い顧客が歩留まりしている場合は狙い目です。

自社サイトにおける、購入者の購入までのステップ(バイヤージャーニー)を一度整理し、どのセグメントに何人くらいメルマガ会員がいるのか把握し、ある程度人数が見込めるセグメントから優先して次以降のステップを進めましょう。

セグメントを作成する

Klaviyoで実際にセグメントを作ってみます。Klaviyoでは顧客セグメントをいくつでも作成し後から編集できるので、思いつくセグメントはとりあえずどんどん作ってみましょう。

よく使うセグメントと、Klaviyoでの設定方法を紹介します。

初回購入に多い商品の購入後の顧客

初回購入でよく買われている商品を特定し、その商品を購入している顧客セグメントを作成(「初回購入でよく買われている商品の特定」は、Shopifyの「レポート」で確認可能)。

What someone has doneで、Placed OrderやFulfilled Orderを選択し、Whereで商品やコレクションを指定します。

クーポン期限日直前の顧客

Klaviyoでは、自由なタイミングでメルマガ会員ごとの期限つきクーポンを生成・配布することができます。この機能はKlaviyo Flowでないと実施できないことから、Flowのメールを受け取った日から●日後、のような考え方をします。

What someone has doneでReceived Email at least once in the last ● daysを選択し、Whereで Flow equals {クーポン配布しているFlow名}を指定します。

次回購入想定日直前の顧客

前回の購入日から●日後、のようなセグメント条件を作成します。商品ごとに次に購入する商品のインターバルは異なりますので、事前に集計しておきましょう。

Klaviyo上での設定としては、What someone has doneでFulfilled Order at least once before ● daysを選択します。「購入」ならPlaced Order、「発送完了」ならFulfilled Orderを選びます。

お気に入り登録後顧客

Klaviyoにはお気に入りリスト機能自体はありませんので、別のShopifyアプリと連携します。

たとえばWishlist Plusというお気に入りアプリとKlaviyoを連携すると、Wishlist Plusでお気に入り登録した顧客が、Klaviyoに顧客データとして取り込まれます。

Wishlist Plusと連携した場合のセグメントは、What someone has doneでSwym-AddToWishlist at least once over all timeを選択して作成します。

Wishlist PlusとKlaviyoの連携方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています(Wishlist PlusとKlaviyoを連携して活用する方法)。

Klaviyoには、よく使うセグメントもいくつかプリセットされています。あわせて参考にしてみてください。

セグメントごとの顧客理解を深める

作成したセグメントに対してどんなメールを送るかを決めるために、顧客理解を深めます。日ごろからお客様に接して、何となく検討がつく方も多いと思いますが、注文データを使って顧客の購買行動を分析したり、顧客アンケートやレビューを集計し、定量的に理解を深めることもできます。

例えば、「初回購入に多い商品の購入後の顧客」セグメントについて、以下のようなデータをShopifyの注文データやアンケート・レビュー見ることで、顧客理解と、自動メールでの提案を決める際に役立ちます。

  • 初回購入に多い商品の購入後に何を買っているか
  • 次回購入までの期間は何日か(商品別)
  • 初回購入に多い商品の購入者は、何を理由に買っているか

SQLを使って注文データと顧客データをかけあわせた集計を行うと分かることが多いですが、Shopifyスタンダードプラン以上であれば、Shopify管理画面の「レポート」でもかなり詳しく集計ができます。自動メールに限らず顧客理解に役立つので、ぜひチェックしてみてください。

セグメントごとにシナリオを設計する

配信先顧客のイメージと効果的な提案が見えれば、配信メールのシナリオを設計します。

シナリオ設計では、決めたセグメントに対して「いつ」「どの商品を」「どういう提案をするか」を決めていきます。

例えば、「初回購入に多い商品の購入後」の顧客セグメントに対して、「次回購入までの期間」の少し前に、「次に購入されやすい商品」を「初回購入に多い商品を買った理由」を踏まえてシナリオを作ります。

KlaviyoのFlowでは、Conditional Splitという機能があり、シナリオの配信対象セグメントの中を分岐をさせながらより細やかなシナリオを作ることができます。

たとえば、「初回購入に多い商品の購入後」の顧客セグメントへ、1通目のメール配信後に、商品を購入した顧客としなかった顧客に分けて、その後のメールメッセージを変える、などです。

シナリオ間のコンフリクト解消と頻度調整

効果的な自動メールを設定していくと、複数シナリオが同時に走ります。同時に10本以上の自動メールが入れ替わり配信されている状態になることもあります。

そのまま放置しておくと、想定以上に顧客にメールが送られてしまい、購読解除の原因になりえます。シナリオごとに優先順位をつけ、自動メール間の辻褄を合わせ、グロース効果の高い設計を行いましょう。

例えば、以下3種類のメールシナリオを同時に配信する場合に気をつけるべきことは何でしょうか?

  • 初回購入後の自動メール
  • お気に入り登録後の自動メール
  • 一斉配信している定期メルマガ

例えば、お気に入り登録後のメールシナリオの途中で初回購入に至ったかどうかをConditional Splitで判定し、購入者にはお気に入り登録後のメールシナリオを終了させることは必要でしょう。

他にも、Klaviyoにはメール配信ごとにSmart Sendingという機能があり、「何かしらのメールを受け取ってから●時間は、このメールを送らない」という条件をつけることもできます。

グロースワークフローを設計・運用する

グロース施策は改善を繰り返し行いながらブラッシュアップすることが大切です。

現場でスピーディに改善を実施するには、良し悪しの判断基準と打ち手を、事前にある程度決めておきます。どんなKPIで判断し、どんな施策を打つべきかを整理してから、運用することをStoreHeroでは「ワークフロー化」と言っています。

KPIと改善施策の例を以下で紹介します。

開封率・開封数

  • 主に影響する要素:タイトルと配信タイミング
  • 計測方法:Klaviyo FlowのAnalyticsで確認可能
  • モニタリング方法:
    • ほかのシナリオメールと比較して高いか低いか
    • 時系列で増減しているか
  • 改善例:
    • 対象セグメントが開きたいと思えるタイトルになっているか
    • Preview textも適切か
    • 配信タイミングは適切か

クリック率・クリック数

  • 主に影響する要素:メール本文、オファー内容、CTA
  • 計測方法:Klaviyo Flowの、メール単位のAnalyticsで確認可能
  • モニタリング方法:
    • CTAが一番クリックされているか
    • 他のシナリオメールと比較して、クリック率は高いか低いか
    • 時系列で増減しているか
  • 改善方法:
    • オファー内容は、対象セグメントにとって魅力的か
    • CTAは分かりやすいか
    • リンクは分かりやすいデザインか

購入率・購入数

  • 主に影響する要素:オファー内容、リンク先のページ
  • 計測方法:
    • Google Analyticsでリンク先ページの収益、CVR
    • Google Analyticsで対象シナリオメール単位の収益、CVR
    • ヒートマップツールで、リンク先ページを確認
  • モニタリング方法:
    • 収益、CVRは他のメールと比較して高いか低いか
    • 時系列で増減しているか
  • 改善方法:
    • メールのCTA、オファーと、リンク先ページに整合性が取れているか
    • リンク先ページは分かりやすいか、購入までの導線はスムーズか

以上のような項目を事前に決めたら、自動メールを運用開始し、データが貯まってきたら、ワークフローに則って改善していきます。

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まとめ

この記事では、ShopifyとKlaviyoを使ってグロースを進めるための自動メールの設計方法についてまとめました。分析や仮説にもとづき確率の高いシナリオを設計することと、改善方針まで整理して実施することで、運用フェーズに入ってからスピーディに改善を進めることができます。

Klaviyoを例にしていますが、似た機能があるほかのCRMツールの方にも役立てていただけると思います。ぜひ、メールを有効にご活用ください!

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