Eコマースの成長支援において、「正解」は存在しない。商材、ブランドの歴史、組織体制、そして担当者の熱量。無数の変数が複雑に絡み合う中で、最適解を導き出し、実行までやり切るのがStoreHeroの「グロースパートナー(GP)」です。
創業期から約4年間、最前線でGPとして活躍してきた高倉さんは、何社ものマーチャント(事業者)の成長を背負いながら、StoreHero独自のプラットフォーム開発にも現場の声を反映させ続けてきました。
「ツールが進化し、業務はシンプルになった。だからこそ、より深く、難しい課題に向き合えるようになった」
そう静かに語る高倉さんの言葉には、EC支援の現場を知り尽くした者だけが持つリアリティがあります。彼が追い求める「ロマン」とは何か。そして、StoreHeroのGPとして働くことの真の醍醐味とは。代表の黒瀬が深く切り込みます。
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戦略を描くだけでなく、最後の1ミリまで伴走する覚悟。
黒瀬: 高倉さんはStoreHeroのグロースチームで約4年、GPとして活躍されています。まずは改めて、現在の業務内容について教えていただけますか?
高倉: 現在は、複数のShopifyマーチャントを担当しています。扱っている商材はアパレル、食品、雑貨と様々ですし、SKU(商品数)も数点の単品通販から数千点規模まで多種多様です。共通しているのは、多くのマーチャントさんが「成長途上」のフェーズにあるということ。大企業の一部門としてECをやっているケースもありますが、事業規模としてはこれからさらにアクセルを踏んでいかなければならない、いわば「成長痛」を感じている段階の企業が多いですね。
黒瀬: 具体的にはどのようなサイクルで支援を行っているのでしょうか?
高倉: 基本的には週次で定例ミーティングを行い、その時々の課題と目標(KGI/KPI)を共有します。そこから逆算して、季節ごとのキャンペーン施策や、中長期的な常時施策を企画し、実装へ落とし込んでいきます。
GPの仕事は「アドバイスをして終わり」ではありません。広告運用のチューニング、Shopifyアプリの選定と設定、CRM(顧客関係管理)のシナリオ設計、さらにはコンテンツの企画から制作ディレクション、実装まで、泥臭い実務も含めて「丸っと」支援します。2025年現在では、そこにAI活用も加わり、打てる施策の幅は格段に広がりました。
黒瀬: 複数のマーチャントのパフォーマンスを見ながら、それぞれの成長フェーズに合わせて頭を切り替え、手も動かす。かなりマルチタスクな環境ですよね。
高倉: そうですね。ただ、単にタスクをこなすのではなく、各社の「事業成長」というゴールにコミットしている点が重要です。売上目標に向かって、広告、サイト改善、CRMなど、色々な手段を総動員して伴走し続けています。
対等な「パートナー」として、時に摩擦を恐れずリード
黒瀬: StoreHeroではコンサルタントではなく「グロースパートナー」という肩書きを使っています。この「パートナー」という言葉に込められた意味を、高倉さんはどう解釈して体現していますか?
高倉: パートナーとは、上下関係のない対等な信頼関係で結ばれた存在だと捉えています。クライアントと受託業者という関係性でよくある「言われたことをやる(御用聞き)」でもなければ、上から目線で「こうすべきだ」と指示する「先生」でもない。
もちろん、マーチャントさんがやりたいことを実現できるようにサポートする側面はありますが、もしその方向性が事業成長にとってマイナスだと判断すれば、「それは違います」と止めることもあります。議論を恐れず、認識を擦り合わせ、プロジェクトを正しい方向へリードしていく。それがパートナーとしての責任だと考えています。
黒瀬: 4年間、様々なマーチャントさんと関わる中で、そのスタンスや関わり方に変化はありましたか?
高倉: 基本的なスタンスは変わりませんが、相手に合わせて関わり方の「型」を柔軟に変えるようになりました。10社あれば10通りの企業文化があり、担当者の個性がありますから。例えば、ブランドの世界観やデザインへのこだわりが非常に強いマーチャントさんの場合。ここでは、僕たちが論理的な正解だけを押し付けても機能しません。限られたリソースの中で、彼らのこだわりをどう実現するか、一緒になってクリエイティブを作り込んでいくプロセスを大切にします。「一緒にモノを作る」という共犯関係のような感覚ですね。
一方で、社内に強力な制作チームを持っているマーチャントさんの場合は、僕たちがクリエイティブを作る必要はありません。代わりに、「どのようなクリエイティブを作れば数字が伸びるか」という判断材料を提供することに徹します。定量的なデータ分析や、他社の成功事例などの定性的な情報をセットで渡し、意思決定を支援する黒衣に徹します。
黒瀬: 相手の強みを活かし、足りないピースを自分が埋める。そして最もインパクトが出る「クリティカルな一点」に自分のリソースを集中投下するわけですね。
高倉: はい。全てを自分でやることは物理的に不可能ですから、相手の状況を見極めて、自分がどこに入り込めばレバレッジが効くのかを常に考えています。
プラットフォームの進化がもたらしたパラダイムシフト
黒瀬: この4年間で、StoreHeroという会社や環境も大きく変わりました。特に仕事の進め方において、どのような変化を感じていますか?
高倉: 一言で言えば、仕事が「シンプル」になりました。これは「楽になった」という意味ではありません。StoreHeroが開発しているグロースプラットフォームや、社内に蓄積されたナレッジが飛躍的に進化したことで、以前は個人の職人芸に頼っていた部分が、システムとして標準化されたんです。
例えば、複雑なデータ分析やShopifyアプリの設定、基本的なCRM施策の構築などは、ツールを使えば誰でも高いレベルで、しかも短時間で実行できるようになりました。以前はそこに多くの時間を割かれていましたが、今はその工数を大幅に圧縮できています。
黒瀬: 「シンプルになった」ことの真意は、空いた時間で何をするか、という点にありそうですね。
高倉: おっしゃる通りです。ツールやAIで効率化できた分、僕たちは「人間にしか扱えない、数値化しにくい本質的な課題」に向き合う時間が増えました。以前なら「広告の設定どうしよう」「メールの配信設定どうしよう」というHowの部分に脳のリソースを使っていたのが、今は「なぜこの商品は売れないのか?」「このブランドの本当の魅力は何なのか?」「担当者の熱量を上げるにはどうすればいいか?」といった、WhyやHumanityの部分に深く潜れるようになったんです。
黒瀬: なるほど。テクノロジーが進化すればするほど、GPの仕事は逆に人間臭く、泥臭いものになっていくと。
高倉: ええ。オンライン上の数字を追うだけならAIでもできます。でも、マーチャントさんと対面で膝を突き合わせ、現場の空気を感じ、言葉の裏にある感情や文脈を読み取って、それを施策に落とし込む。これは人間にしかできません。
「シンプルになった」というのは、余計なノイズが減り、本来向き合うべき「商売の面白さと難しさ」に純粋に没頭できる環境になった、という意味です。実力が上がってきたからこそ、昔は見えていなかった深い課題が見えるようになり、それを解決しに行けるようになった。難易度は上がっていますが、その分、面白さも増しています。
0が1になる瞬間の熱狂
黒瀬: 具体的に、GPとして「やりがい」を感じる瞬間について教えてください。
高倉: 綺麗事抜きで言うと、施策はうまくいかないことの方が多いです。でも、だからこそ、苦しい時期を一緒に乗り越えて、成果が出た瞬間の喜びは何物にも代えがたいですね。
特に印象に残っているのは、立ち上げ当初から担当している、あるマーチャントさんの案件です。最初は本当に売れませんでした。ストアはあるけれど、お客様が来ない、買わない。あの時の重苦しい空気は今でも覚えています。それでも諦めずに、マーチャントさんと議論を重ね、「これならいけるかもしれない」という仮説を立てて、こだわりのランディングページ(LP)を1枚作りました。そこに広告を当ててプロモーションをかけた瞬間、今までピクリとも動かなかった数字が動き出し、商品が売れ始めたんです。
黒瀬: まさに0→1の瞬間ですね。
高倉: はい。「0」だったものが「1」になり、やがて「100」になっていく過程を目の当たりにした時は、シンプルに震えました。楽しかったですね。何より嬉しかったのは、マーチャントさんが「自分たちがやってきたこと、信じてきたことは間違いじゃなかったんだ」と自信を持ってくれたことですね。
黒瀬: 売上が伸び始めると、現場の空気も変わりますか?
高倉: ガラッと変わります。「次はもっとこういう展開をしよう」「横展開でこの商品もいけるんじゃないか」と、議論が前向きで建設的になります。もちろん、次の施策がまた当たる保証はありません。でも、一度成功体験を共有しているから、「また一緒に乗り越えられる」という信頼がある。その信頼をベースに、さらに高い山に挑戦していく。その繰り返しのプロセスそのものが、僕にとっての最大のやりがいです。
個人の限界を超え、再現性を追求する「ロマン」について
黒瀬: 高倉さんは以前、社内のインタビューで自身の仕事を「ロマン」という言葉で表現していました。その真意について改めて聞かせてください。
高倉: 僕のロマンは、「どんなマーチャントさんが来ても、どんな商材でも、必ず伸ばせる」という再現性のある状態を作ることです。EC支援の世界は、どうしても属人性が高くなりがちです。「あのすごい担当者がいるから伸びた」ではなく、StoreHeroという仕組みを使えば誰でも成果が出せる。そんな状態を目指しています。
黒瀬: そのために、ご自身の現場での経験をプラットフォームに還元し続けているわけですね。
高倉: そうです。僕一人が担当できるのはせいぜい10社ですが、僕が現場で汗をかいて得た「成功の種」や「失敗の教訓」をStoreHeroのプラットフォームという「仕組み」に落とし込めば、それは新しく入ってくるメンバー全員の武器になります。「職人の暗黙知」を「システム」に変えて、民主化していく。そうすれば、僕らチーム全体でサポートできるマーチャントの数は100社、1000社と増えていきます。
黒瀬: 自分がプレイヤーとして活躍するだけでなく、チーム全体のレベルを引き上げる仕組みを作る。そこにGPとしてのもう一つの面白さがあるということですね。
高倉: はい。4年前と比べて、チームのメンバーも増え、新しく入ってきた人がスムーズに立ち上がり、僕たちが苦労して積み上げてきたノウハウを最初から使いこなして成果を出しているのを見ると、本当に嬉しいんです。
自分一人の力には限界があります。でも、チームとシステムを掛け合わせれば、もっと大きなインパクトを世の中に残せる。僕自身の「個の力」も磨き続けながら、同時にその力を組織にインストールしていく。その両輪を回していくことが、今の僕の挑戦であり、ロマンなんです。
これからStoreHeroのGPを目指す人へ
黒瀬: 最後に、これからStoreHeroのGPを目指す方へメッセージをお願いします。
高倉: StoreHeroの環境は、4年前とは比べ物にならないほど整ってきました。強力なプラットフォームがあり、体系化されたナレッジがあります。
でも、勘違いしてほしくないのは、「楽ができるわけではない」ということです。武器が強力になった分、求められるのは、その武器を使って「いかに深く、本質的な課題に切り込めるか」という人間力と思考力です。
「ツールを使えば売上が上がる」なんてことはありません。ツールを使って、目の前のマーチャントさんの想いをどう形にするか、泥臭く考え抜くことができるか。うまくいかない時でも逃げずに、マーチャントさんの隣で悩み、考え、行動し続けられるか。
そういう「商売のリアル」を楽しめる人にとって、ここは最高の遊び場であり、成長の舞台だと思います。テクノロジーと泥臭い人間力の両方を武器に、一緒に「ロマン」を追いかけられる方と働けることを楽しみにしています。
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