GoogleのP-maxは、検索・ディスプレイ・YouTubeなどあらゆるチャネルに広告を配信できる強力な自動化キャンペーンです。その自動化の効果を最大限に引き出すには、アセットグループの戦略的な分け方が重要になります。

アセットグループは「特定のテーマやターゲット層に関連するアセットの集合」として構成するのが基本的な考え方です。​

一つのキャンペーンに対し複数のアセットグループを的確に設定することで、広告がより関連性の高いメッセージやクリエイティブで配信され、成果向上につながります。最近、P-Maxのレポート機能やコントロール機能を強化され、各アセットグループのパフォーマンスを詳細に把握・最適化できるようになってきました​。ますます、アセットグループの活用が重要になっていくと思われます。

本記事では、Google広告P-maxでのアセットグループの分け方についての考え方と事例を紹介します。

なお、Shopifyマーチャント向けGoogle広告全般の基本をまとめた記事は以下にあります。全体を理解されたい場合は、こちらをご確認ください。

アセットグループの分け方の考え方 

まず、アセットグループを分割する際の基本的な考え方として、各グループには明確なテーマや目的を持たせることが重要です。闇雲に分けすぎるとデータが分散し効果検証が難しくなりますが、逆に一つのグループに多種多様な要素を詰め込みすぎるとパフォーマンスの分析が「濁って」しまいます​。

以下のポイントに留意しながらグルーピングしています。

テーマ・ターゲット別にグループ化する

 アセットグループは商品カテゴリやブランド、訴求メッセージ、ターゲットオーディエンスなど共通性のあるテーマでまとめます​。

例えば「新製品向け」「セール対象商品」「女性向け商材」などで、それぞれに関連する広告文や画像を用意します。こうすることで各グループ内のアセットとユーザーの関心が一致しやすくなり、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。

また、各アセットグループ内にはテキスト・画像・動画など多様な素材を十分に含め、広告の評価が「良好」以上になるようにするのが公式推奨です​。これは配信面を最大化しつつ、Googleの機械学習が最適な組み合わせを見つけやすくするためです。

ビジネス課題に合わせてグルーピング

ビジネス課題に沿って選定することもあります。例えば売上最大化が目的なら「売れ筋商品グループ」、新規顧客獲得が課題なら「新規顧客の人気商品グループ」、利益率を重視する場合は「利益率の高い商品グループ」といった具合です​​。

このように「何を達成したいか」でグルーピング基準を選ぶことで、各グループに適切な目標値やクリエイティブ戦略を当てはめることができます。ただし、特定の指標に偏りすぎた分割には注意も必要です。例えば「売上トップ商品」に絞ったグループ分けは一見合理的ですが、既存顧客のデータに基づくため、新しい顧客の開拓に繋がりづらいこともあります。

従って、売上や利益だけでなく顧客の検索意図や商品特徴も考慮し、商品タイプや商品特徴で分類することが肝要です。

グループ間の重複や競合がないように分ける

最大100個までアセットグループを作成可能ですが、「使えるからといって全て使う必要は」ありません。それよりも、各グループに明確な役割を持たせ、他グループとの重複や目的の競合がない状態が望ましいです​。似たようなグループを乱立させるより、「必要な理由」を説明できないものは既存グループに統合する方がデータ蓄積の面でも有利だと思います。

一方で、一つのキャンペーンにアセットグループが1つしかない状態は非効率（学習機会の損失）と言われています。経験上もアセットグループは1つより複数の方が良くなる事が多いです。

また、予算や入札戦略が大きく異なる場合はキャンペーンごと分割するのが良いです。

業界別実例

私たちStoreHeroでは、上述の原則を踏まえつつ独自開発ShopifyグロースプラットフォームStoreHeroを使い、P-Maxのアセットグループを継続的に最適化しています。

ここでは、Shopifyでアパレル、インテリア、鞄・財布・小物を販売する架空のストアを想定して、アセットグループの運用例を紹介します。

アパレル

新作、通常品、セール品、定番品
トレンドの速いアパレル業界の場合、販売開始直後の「新作」、新作以降の「通常品」、シーズン終盤に在庫処分が必要な「セール品」、継続的に販売される「定番品」で、購入者層が異なるため、「新作」「通常品」「セール品」「定番品」でのアセットグループの分類は有効です。

商品数が多い場合は、アセットグループに紐づけるリスティンググループは、カスタムラベルを使って分類すると設定・運用がしやすいです。例えば、販売開始から15日以内はカスタムラベル0に「新作」、在庫残日数が販売終了日を超えてセール販売している商品にはカスタムラベル1に「セール品」と登録して管理するイメージです。

トレンドの速いアパレルストアの場合、広告だけでなく、CRM、サイト、SNSなどを組み合わせて、新商品の投入から在庫処分までの流れに対応する必要があります。そこで、当社では、販売数や在庫データにもとづいて、全チャネル横断で最適な商品をおすすめする仕組みが必要だと思い、ShopifyグロースプラットフォームStoreHeroを開発しました。当社はStoreHeroを活用して状況変化の速いアパレルストアのグロース運用に対応しています。

デザイン、色・柄
顧客アンケートから顧客属性別に購入商品を分析すると、年齢や購入理由によって好まれる商品デザインや色・柄が異なることがあります。 それに気づいたらデザイン・色・柄で分けることも有効です。

「かわいい」「きれい」「スタイリッシュ」「無地」「派手め」などといった具合にアセットグループを分けます。この場合も商品数が多い場合は、リスティンググループをカスタムラベルで分類します。

以下のグラフは、P-maxでデザインや柄でアセットグループを分けてからのパフォーマンスを表しています。赤線がROASで、青線がコンバージョン値（売上）です。アセットグループを適切に分けたことで効率が良くなり、費用を増やしてもROASを維持しなら売上が伸ばせました。

新作やセールをそれほど頻繁に行わないブランドの場合は、デザインや色・柄で分類して運用すると、安定してパフォーマンスが出せる感覚があります。

インテリア

家族構成
一人暮らしと4人家族では、家の間取りや生活様式が異なるため、同じカテゴリの商品でも、購入される商品は異なります。

そのため、アイテムカテゴリ×家族構成でアセットグループを分けます。机×一人暮らし、机×夫婦、机×子持ち家庭などといったイメージです。

Shopifyの商品データの商品タイプとGoogle広告の商品カテゴリは対応しているため、商品タイプにアイテムカテゴリを設定し、カスタムラベルに家族構成を設定すれば、カテゴリと家族構成の掛け合わせのリスティンググループが作れます。また、対象家族構成によって広告の見出しや画像・動画は最適化します。

スタイル、色
アパレルのデザインと同様、インテリアの場合、顧客属性によって購入される商品のスタイルや色が異なります。「北欧モダン」「和風」「ミニマル」「モノトーン」「明るめ」など、スタイルやカラーごとにグループを分けます。リスティンググループやアセットは対象顧客に最適化します。

インテリアは、売上の季節変動はありますが、アパレルより長期的に販売できる商品が多いため、アセットグループ別にLPを作って広告からのCVRを高める施策も有効です。

鞄・財布・小物

年齢、性別、仕事
鞄、財布、小物は、年齢・性別・仕事によって購入傾向が大きく異なります。顧客アンケートと購入商品を付け合わせてみると顧客セグメント別の人気の商品が把握できます。

顧客セグメントごとにアセットグループを分け、人気商品をリスティンググループに設定し、広告見出しや画像・動画を設定します。人気商品の判定はカスタムラベルで行います。

用途
鞄・財布・小物は、通勤・通学、 旅行・出張、自宅・ギフトなどの用途でも購入される商品が異なります。用途別にアセットグループを分け、用途ごとの関心（サイズ、機能性、デザイン、価格など）に合わせた訴求を行います。

こういった施策を行うためにも、業種に関わらず、購入者属性の収集と、購入履歴との紐づけは必須です。答えを知って施策を決められると施策の精度が高められます。

オーディエンスシグナルとして、購入者リストを登録するだけでなく、ターゲットの興味・関心を反映することも有効です。

まとめ

Google広告のP-Maxキャンペーンにおけるアセットグループの分け方は、戦略的なアプローチが可能です。単に商品カテゴリやキーワードで分けるだけでなく、自社のビジネス目標・顧客インサイトを織り交ぜて設計することでパフォーマンスを引き上げる事ができます。

近年はアセットグループ単位での詳細なデータ分析が可能になる方向に、P-maxがアップデートされており、運用者の腕の見せ所が増えてきました。また、Shopifyの顧客データをGoogle広告のオーディエンスデータとして標準連携できるようになり、拡張コンバージョンの設定もノーコードで実装できるようになり、ShopifyとGoogleの連携も日々進化を続けています。

今回の記事と、Googleの公式ドキュメントや最新事例を参考に、自社ならではのP-maxアセットグループ活用を磨き上げてください。

ShopifyでのGoogle広告運用に迷ったらShopifyグロース運用のStoreHeroにご相談ください。お役に立てると思います。

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