メーカー・ブランドがShopifyで売上を伸ばす――持続的な成長を生む「グロースモデル」の作り方

「商品には自信があるのに、ECでの売り方が分からない」、「少人数で何から着手すべきか迷う」。

そんな悩みを抱えるメーカー・ブランドにとって、成功の分かれ目は商材×顧客×チャネルに合った「グロースモデル」を設計できるかどうかです。グロースモデルとは継続的に事業が成長していく仕組みです。自社に合ったグロースでモルを見つけて作り込んでいくことで、事業が継続的に成長していきます。

今回は、StoreHeroの支援現場で使っている判断軸と、実際の事例をもとに、グロースモデルの設計と運用の流れを解説します。

自社ECに取り組む意味

日本のEC市場は、依然として右肩上がりの成長を続けており、EC市場は大きくモールECと自社ECに分けられます。

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Amazonや楽天に代表されるモールは強力な集客装置ですが、モール内は比較に晒されやすく価格競争に陥りがちです。自社ECは、集客から販売まですべて自社で行う必要がありますが、世界観やものづくりの思想、使い心地の物語まで含めて「価値」を丁寧に提示し、顧客と直接つながることができます。

製品企画・開発に強みのあるメーカーやブランドは、顧客の不満や使用実態を拾い、商品開発につなげて、商品に合わせたCRMや広告に還流させることで、利益率の改善→再投資→成長の循環が回りやすくなります。こういった流れは、製品開発ができるメーカーこそ作りやすく、StoreHeroの支援先でも、自社ECでの販売で成果を上げているメーカーの典型的なパターンでもあります。

なぜShopifyか――少人数でも“すぐ試し、すぐ直せる”基盤

Shopify は在庫・受注・顧客の管理と行った自社ECの基盤となる機能が手軽に利用でき、Shopifyアプリや充実したAPIにより高い拡張性(予約/定期/レビュー/UGC/検索強化など)も持ち、立ち上げから成長局面まで一貫して活用できる自社EC用のプラットフォームです。

年間2000億円以上の開発投資をされているにも関わらず、月に数千円や数万円で使える画期的なプラットフォームです。自社ECを運用する多くの事業者にとって非常に費用対効果が高く、ECでの販売経験やリソースが限られるメーカー・ブランドでも受け入れられ、利用が増えています。

まずグロースモデルを決める

そんな便利なShopifyですが、グロースモデルが決まらないままストアを運用していても継続的に成長することは難しいです。逆にグロースモデルが定まれば、サイト・商品ページの構成、広告の配信設計、CRMシナリオなど、個別施策の具体的な内容が一気に決めやすくなります。

グロースモデル設計の5ステップ

StoreHeroの場合以下のような流れでグロースモデルの設計を行います。

  1. 自社・競合比較
    • 自社・競合の特徴を調査して棚卸しする。
  2. 方向性検討
    • 1の示唆+現場ヒアリング・調査をしてグロースモデルの方向性を決める。
  3. データで課題把握
    • 売上・顧客・商品・チャネルのKPIで課題やボトルネックを特定する。
  4. 販売方法の設計
    • 単品/まとめ買い/予約/定期など、グロースモデルや現状の課題に合う販売方法を決める。
  5. 具体施策の設計
    • 販売方法の効果を加速するよう集客・販促/コンテンツ/コミュニティの個別施策を決める。

各ステップについては、以下で解説します。

① 自社・競合比較

事実ベースで自社と競合を調査し、比較表を作り棚卸しをします。主に、取り扱い商品ジャンル、商品の特徴、商品数、価格帯、顧客層、販売チャネル、販売方法、集客方法、強みや各種デジタル関連指標(指名検索数、フォロワー数など)を自社・競合比較をします。

② 方向性検討

①の示唆に、販売現場ヒアリング、顧客インタビュー・アンケート、製造現場ヒアリングなどの情報を加えて、グロースモデルの方向性を検討します。

様々なグロースモデルの中から、自社と相性の良いモデルを選択します。複数モデルのハイブリッドにすることもあります。グロースモデルは体系的にまとめられた書籍などがあるわけではないですが、StoreHeroの場合は、これまでの経験などからグロースモデルをパターン化して整理し、参考にしやすいようにしています。

グロースモデルの例

  • 高単価・高付加価値型:高単価高付加価値商品を販売。商品の品質・デザイン・機能性などで、高単価の納得感を作り販売。付加価値の作り方として機能性、デザイン性、希少性、パーソナライズなどがある。
  • インフルエンサー・ファングッズ型:インフルエンサーや作品のファン向けに世界観を反映した商品を販売。ファンが熱狂する体験を買い物を通じて提供し、物販とファンビジネスの両立を目指す。
  • 単品リピート通販型:日常で繰り返し使う商品を定期購入で販売。悩みを持つ顧客向けの問題解決型の商品が多く広告、LP、CRMの最適化が重要。

③ データで課題把握(モデル仮説に沿ってデータを読む)

販売データ(売上・注文点数・注文単価など)、顧客データ(初回→2回目の遷移、顧客属性など)、商品データ(注文数、在庫など)、チャネルデータ(流入経路別のセッション、CVR、ROASなど)を、②のモデル仮説に沿って読み、課題を把握します。

例えば、インフルエンサーモデルなのに、SNS経由での売上や流入数が減っていたら早く手を打たないと危ないですよね、といった具合です。

④ 販売方法を選ぶ

商品を単品で販売するだけでなく、まとめ買い、予約販売、ライブコマース、定期購入、セット/バンドル販売など、自社ECでは自由に販売方法を選べるため、自社のグロースモデルや課題に合う販売方法を検討します。

例えば、インフルエンサーモデルでファンに商品を販売するだけでなく、ライブコマース参加者だけに特典をつけたり、リピート購入者限定の商品を用意して、ワクワク感を演出するたりといったイメージです。

⑤ 具体施策の設計(集客・販促/コンテンツ/コミュニティ)

集客・販促施策(広告・CRM・オファーなど)、コンテンツ施策(LP、コーディネイト・スタイリング、動画、UGCなど)、コミュニティ施策(アンバサダー、ロイヤルティプログラム、イベントなど)を、④の販売方法にマッチするように設計します。整合性がとれていれば初期モデルは完成です。以降は運用しながら磨き上げていきます。

面倒なことをやっていると思われるかもしれませんが、以前、業界の常識の型を鵜呑みにして失速したケースがあります。自社ブランド・商品の特徴を、販売方法や各種施策にフィットさせること以外に、再現性高く成長を作ることができない、これが現場での結論です。

具体事例でみるグロースモデル

StoreHeroの事例インタビュー記事から各ストアがどういったグロースモデルを運用されているのかを確認してみましょう。

1) Bizoux――プレミアムブランディング型

カラーストーンジュエリーのBizouxは、天然石100種類以上という圧倒的な品揃えを、写真やストーリーや世界観で“日常に寄り添う最愛の一本”として提案する「プレミアムブランディング型」のモデルです。

サイトやメールマガジンも商品の羅列ではなく、宝石の小話やコーディネート提案などを組み合わせて、情緒と合理の両輪を回されています。

宝石や商品のストーリーや世界観で最愛の一本を提案

高価格帯ゆえにオンラインの情報設計と実店舗体験のシームレスな連携が不可欠で、オンラインからの来店促進も行っています。店舗スタッフのリングのコーディネイトコンテンツは、オンラインでの検討促進と店舗集客を兼ねた施策です。

店舗スタッスによるコーディネイトコンテンツ

2) b.box――コミュニティ型

オーストラリア発ライフスタイルブランドb.boxは、子育てという共通の課題を持つ顧客とコミュニティを築き、その盛り上がりが新規の顧客を呼び込む「コミュニティ型」モデルです。

アンバサダーの募集時は、一緒にブランドを広めたい熱量高い方が2000名近く応募する

SNSやアンバサダーで共感の輪を広げてきました。インスタライブも毎回600人ほど参加しコミュニティに活気を生む原動力になっています。アンバサダーはすでに7期にわたり、アンバサダー卒業後もコミュニティに残り新商品の相談ができる“長い関係”が続いているのも特徴です。

ブランドと一緒にコミュニティを盛り上げるアンバサダー紹介コンテンツ

「フレンドショップ」と呼ぶ卸先企業にも、積極的に販売支援を行い、一体となってブランドを盛り上げられています。

3) グラマープリンセス――ニッチ特化型

プラスサイズ専門下着ブランドGlamour Princessは、特定のニッチな顧客層(プラスサイズの女性)の深い悩みに特化し、専門性と共感で顧客を惹きつける「ニッチ特化型」モデルです。

プラスサイズ専門という明確な未充足ニーズに対し、マスターパターンを新たに設計し、3L/6Lの特注ボディ(1体200万円)まで用意して「着心地の検証」に本気で向き合った結果、ポップアップでは母娘で涙する場面もあるほど顧客からの支持を得ました。サイト上では、サイズ、悩み、骨格など様々な切り口で下着が選べ、定期的にオフラインで試着会も行っています。

様々な切り口で自分にピッタリのプラスサイズ下着を選ぶことができる

ブランドは約20名のアンバサダーと撮影会・座談会・デザイン投票など「共創」でファンベースを強化してきました。市場がニッチな分、幅広く広告などで集客するよりアンバサダー経由で共感する顧客を集客したほうが効率が良いためです。

アンバサダーと密に連携をとってブランド運営を行っている

まとめ

Shopifyで持続的に売上を伸ばすカギは、商材×顧客×チャネルに合った「売り方=グロースモデル」を先に定め、広告・CRM・サイト改善などの各種施策をその“型”にそろえていくことです。今回の記事では、①自社・競合比較→②モデル方向性→③データで課題把握→④買い方の設計→⑤施策設計というStoreHeroが普段行っているグロースモデル設計の流れとグロースモデルの実例を解説しました。

「自分たちだけでやり切れるか不安」という方は、StoreHeroにご相談ください。現在、Shopify無料ストア診断を実施中です。現状をデータで分析し、

  • 課題の特定
  • 優先度の高い施策提案
  • 簡易版グロースモデルの作成

までをご提示します。まずは最初の一歩から。あなたのブランドに最適な「売り方」を、一緒に設計していきましょう。

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