【Glamour Princess様 事例インタビュー】「娘に合うブラがない」社員の切実な訴えが原点に。OEMメーカーが“悩める誰かのためのものづくり”に挑む理由

大きいサイズのブラジャーに「好みのデザインがない」「種類が少ない」といったイメージを抱く人は少なくないかもしれません。そんな常識を覆し、「ファッションを諦めなくて大丈夫」というメッセージと共に、豊富なサイズと心ときめくデザインの下着を届けているのが、プラスサイズ専門ブランド「Glamour Princess(グラマープリンセス)」です。

運営するのは、60年以上の歴史を持つ下着メーカーの株式会社いずみ。長年、OEM/ODM事業を主軸としてきましたが、なぜ今、自社ブランドで在庫リスクを抱えてまで、この市場に挑戦するのでしょうか。

そこには、一人の社員の切実な悩みから始まった、ものづくりへの熱い想いと、お客様との感動的な物語がありました。今回は、同社の佐藤社長にブランド誕生の経緯から、弊社StoreHeroとのパートナーシップ、そして今後の展望までを伺いました。

【お話を伺った方】

  • 株式会社いずみ 代表取締役社長 佐藤 大助様
  • (インタビュアー:株式会社StoreHero 代表取締役CEO黒瀬)

「娘がつけるブラジャーがない」社員の一言がすべての始まり

黒瀬: 本日はありがとうございます。まず、御社の事業内容と、プラスサイズ専門下着ブランド「Glamour Princess」を立ち上げられた経緯についてお聞かせください。

佐藤様: もともと弊社は64年の歴史がある下着メーカーです。2002年に現在の親会社になってからは、在庫リスクのないOEM/ODM(他社ブランドの製品製造・開発)に特化した事業を展開してきました。

そんな中で「Glamour Princess」が生まれたきっかけは、社内会議でのあるパタンナーの一言でした。その方が「中学生の娘がつけるブラジャーがないんです」と。詳しく聞くと、娘さんがプラスサイズで、ファーストブラはもちろん、少しでも可愛いと思えるデザインのブラが市場にほとんどないと。手に取れるのは、いわゆる“おばさんくさい”デザインのものばかり。「下着会社で働く母として、自分の娘にこんな思いをさせていいのでしょうか」と切実に訴えられたんです。

黒瀬: それは切実な悩みですね…。

佐藤様: 正直、最初は半信半疑でした。でも、実際に市場調査をしてみると、本当にない。これは何とかしなければ、と。同時に、大手アパレルチェーンで大きいサイズの下着売り場を担当していたのですが、そこが驚くほど売れていた。「4Lが売れるなら5Lも、6Lも需要があるんじゃないか」という手応えも感じていました。ただ、こちらの大手アパレルチェーンはお値打ち価格という制約があります。だからこそ、もっと品質やデザインにこだわったものを作れば、同じように「着たいものを諦めている」人たちに喜んでもらえるはずだ、と。

親会社の事業モデルは在庫を持たないOEMが基本です。でも、身体が大きいというだけで選択肢を奪われている人たちの「私にはこれしかない」という思いをなくしたい。そんな気持ちから、リスクを取ってでも、このブランドを立ち上げることを決意しました。

誰もやらないなら、私たちがやる。200万円の特注ボディと“当たり前”への挑戦

黒瀬:大きいサイズのブラジャーを作る上で、技術的な難しさはあったのでしょうか?

佐藤様: はい、全く違いました。通常の下着開発とは異なり、Eカップの85cmといった大きいサイズを基準にしたマスターパターンを新たに作る必要がありました。一番苦労したのは、着心地を確認するためのターゲット(モニター)を集めることです。そこで、一体200万円もする3Lと6Lの特注ボディ(マネキン)を発注しました。専門ブランドを名乗る以上、そこまでやらないとエビデンスがない、説得力がないと思いました。

黒瀬: 200万円!ものづくりへの本気度が伝わります。届けたい価値はサイズだけではなかったのですね。

佐藤様: その通りです。私たちが届けたかったのは、「ファッションを楽しむ“当たり前”の選択肢」です。コロナ禍でナイトブラが流行っても、プラスサイズの人は「どんなものだろう?」で終わってしまう。だから私たちが作りました。ストラップが外せるTシャツブラ(1/2カップブラ)も同じです。「これで私も透明ストラップがつけられる!」と喜んでいただけたんです。

特に印象的だったのは、大阪の商業施設でのポップアップストアです。プラスサイズの方はコンプレックスから、普段お店で伸び伸びと買い物ができない方もいらっしゃいます。でもそこは大きいサイズのものしかなく、お客様もプラスサイズの方ばかり。ある時、お母様が「うちの娘がこんなに嬉しそうに買い物している姿を初めて見ました」と、涙を流されたんです。その話を聞いて、私たちも胸が熱くなりました。

お客様との共創が生む、熱狂的なファンコミュニティ

黒瀬:お客様との繋がりを非常に大切にされていると感じます。アンバサダー制度も積極的に活用されていますね。

佐藤様: はい。現在20名近くのアンバサダーがいますが、彼女たちの存在はブランドの成長に不可欠です。中には、活動をきっかけにフォロワーが数千人から数万人規模になり、インフルエンサーとして活躍されている方もいます。

単なるPRだけでなく、プロのカメラマンを呼んだ撮影会を開いてモチベーションを高めていただいたり、座談会で悩みを共有してもらったり、新商品のデザインについてアンバサダー内でアンケートを取って意見を反映させたりと、深くコミュニケーションを取りながら一緒にブランドを“共創”しています。彼女たちのリアルな声や生き生きとした姿が、同じ悩みを持つお客様に響き、ブランドの信頼を築いてくれているんです。

EC運営における挑戦とパートナーシップ

黒瀬: ECサイトを立ち上げるにあたり、数ある選択肢の中からShopifyと、パートナーとして弊社StoreHeroを選んでいただいた理由を教えていただけますか?

佐藤様: もともとECサイトはありましたが、不満が出るたびにリニューアルを繰り返し、3回ほどカートシステムを変えてきました。今回、将来的な海外販売も視野に入れていたのでShopifyは魅力的でした。そしてパートナーを探す中で、StoreHeroさんがマーケティングを基盤に成長されてきた企業だと知り、ここなら信頼できると感じたのが決め手です。

黒瀬: ありがとうございます。支援させて頂くにあたり、サイズの豊富さが強みである一方、在庫管理は大きな課題かと感じました。

佐藤様: まさにその通りで、いつまでも売れ残ってしまうサイズがあるのも事実です。そこで今後は、お客様の購買データに基づいて「定番で売っていくもの」と「季節性のもの」を分けて、戦略的に在庫を持つことを考えています。

黒瀬:その戦略は広告運用とも非常に相性が良いですね。機械学習が必要な広告は、在庫が安定している定番品に集中させて学習データを蓄積するようにし、限定品はSNSなどでファンの熱量を高める起爆剤にするなど、グロース施策に落とし込めそうです。うまく私たちもぜひご支援させていただきたいです。

黒瀬: お客様との長期的な関係づくりにおいて、会員プログラムの活用も重要だと思いますが、現状の課題などはありますか?

佐藤様: 正直、クーポンの割引率を少し変えたところで、お客様の購入頻度が大きく変わるとは思えません。それよりも、インスタのフォロワー達成記念で実施した「試着会へのご招待(交通費支給)」のように、お金よりも「特別な体験」を還元していく方が、お客様に喜んでいただけるのではないかと考えています。

黒瀬:まさにそうですね。以前ご提案した「診断コンテンツ」で、お客様一人ひとりのお悩みに関する貴重なデータが集まっています。これを活用し、特に貢献度の高いお客様を商品企画会議にご招待するなど、特別な体験を提供することで、より強いファンコミュニティを形成できる可能性があります。そうした拡散力のある施策を一緒に作っていきたいです。

逆風を越え、夢の実店舗へ

黒瀬:最後に、ブランドとしての今後の展望をお聞かせください。

佐藤様: 一番の夢は、実店舗を持つことです。実はこれまで何度も、「いつ撤退するんだ」という話が持ち上がったこともあります。それでも諦めずに続けてきて、ようやくZOZOTOWNと公式サイトを合わせて黒字化が見えてきたところです。

次のステップは、やはり店舗。ECだけで生き残るのは難しいと感じています。秋葉原のような場所に店舗を構えれば、インバウンドのお客様にもアプローチできるかもしれない。店舗が話題作りの拠点となり、ECの売上にも繋がるはずです。やってみないとわからないことは、やりたい。逆風はありましたが、これからも挑戦を続けていきます。

黒瀬:素晴らしいお話です。ブランドを広げていくことへの強い意志に感銘を受けました。店舗という新たな挑戦、そしてブランドのさらなる飛躍を、私たちも全力でサポートさせていただきます。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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