1日10件の仕事より、世界へ届くプロダクトを。世界のトップスタイリストが描く「SENSE OF HUMOR」のグロース戦略と、感性をビジネスに変える挑戦

洗練されたボトルデザインと、一度使えば虜になる香りや質感。 「SENSE OF HUMOR(センス・オブ・ヒューモア)」は、トップスタイリストとして世界で活躍した梶原健一様が2014年に立ち上げたライフスタイルブランドです。

多くのファンに愛されるブランドへと成長した現在も、その裏側にはクリエイションとビジネスの両立という、多くのD2Cブランドが直面する課題がありました。 今回は、ロンドン時代の創業秘話から、Shopifyを活用したECの成長痛、そしてStoreHeroとのパートナーシップによって乗り越えた壁と、ブランドの次なる展開について、代表の梶原様に深くお話を伺いました。

【お話を伺った方】 SENSE OF HUMOR 代表 梶原 健一 様

自分の体は一つしかない。トップスタイリストがプロダクト開発に挑んだ原体験

──まずは、SENSE OF HUMOR立ち上げの経緯からお聞かせください。梶原様は元々、ロンドンを拠点にトップスタイリストとして活躍されていましたよね。

梶原様: はい。2013年にイギリスから帰国し、翌2014年の5月に起業しました。 ロンドンにいた頃は、ファッションショーのバックステージや雑誌の撮影、セレブリティのヘアスタイリングなど、いわゆる「トップスタイリスト」として、世界でも数少ないポジションで仕事をさせていただいていました。

ただ、ある時ふと思ったんです。「自分の体は一つしかないな」と。 ありがたいことに世界中からオファーを頂くようになっても、例えば1日に10本の仕事の依頼が来ても、体が一つしかない以上、受けられるのは1本だけ。残りの9本はお断りするしかありません。 どれだけ評価されても、スタイリストである以上、物理的な限界がある。

──ご自身の「時間」と「体」がビジネスの上限になってしまうと。

梶原様: そうです。世界中を飛び回って仕事をさせてもらっている中で、自分の感性を活かして、身体的な制約を超えて世界中に届けられるものはないかと考え始めました。 そこで行き着いたのが「物販=プロダクト」だったんです。プロダクトなら、自分がその場にいなくても、世界中の人の手に届き、喜んでもらうことができる。それがブランドを立ち上げた一番の原動力ですね。

──数あるプロダクトの中で、なぜヘアケア・スタイリング剤だったのでしょうか?

梶原様: 撮影現場での違和感がきっかけです。雑誌などの撮影では、多くのメーカーから商品が提供されるのですが、正直なところ「自分が本当に納得して使えるもの」がほとんどなかったんです。

当時、海外ではオーガニック製品が当たり前になりつつありましたが、10年前の日本はまだ選択肢が少なかった。 原材料を見れば、ある程度その商品の作り方が分かるのですが、納得できるクオリティのものが日本市場には見当たりませんでした。テクスチャ、香り、デザイン……全てにおいて妥協したくなかった。無いなら自分で作ってしまおうというのがスタートです。

「ラベンダー」でも香りは全く違う。真似できないプロダクトへの執着

──SENSE OF HUMORの商品は、特に「香り」への評価が高い印象です。ここにはどのようなこだわりがあるのでしょうか?

梶原様: 香りは、私が最もこだわっている部分の一つであり、他社が絶対に真似できない領域だと思っています。 例えば、ラベンダーと一口に言っても、産地や抽出方法によって香りは全く別物になります。私たちは原材料を自社で一つひとつ世界中から取り寄せ、自分の鼻で確かめてブレンドしています。

このこだわりは、私自身の原体験が強いかもしれません。中学生の頃、初めて美容室に行った時の高揚感や、そこで感じたエッセンシャルオイルの香り。そういった記憶と結びついた香りは、理屈抜きで人の感情を動かします。いわゆる第6感に訴えかけるような、記憶に残る香りを目指して調香しています。

──まさにアーティストとしての感性が商品に落とし込まれているんですね。

梶原様: そうですね。ただ、感性だけでなく機能性も追求しています。 例えば、主力のボヘミアンシーウォーターやデューイエリクシアオイルなどは、植物性100%でありながら、プロの現場でも通用するスタイリング力を兼ね備えています。 肌に優しくてオーガニックな商品は他にもありますが、プロが使って納得できる質感まで両立できているものは、世界を見渡してもまだ少ないと思っています。

再現性のない売上と、見えなくなっていた課題

──ECサイトのプラットフォームにはShopifyを選ばれていますが、当初の運営にはどのような課題がありましたか?

梶原様: Shopifyを選んだのは、最初から世界を見据えていたからです。ただ、ECの成長には大きな波がありました。 立ち上げ当初は、著名人の方がInstagramで紹介してくださったことなどがきっかけで、ありがたいことに売上が伸びました。しかし、それは裏を返せば施策を打って伸ばしたものではなかったんです。

──そこでStoreHeroとのお取り組みが始まりました。

梶原様: はい。StoreHeroさんにお問い合わせさせて頂いた当時の売上は完全にリピート顧客に依存していました。売上の8割近くを「5回以上購入しているロイヤル顧客」が支えている状態で、一見安定しているように見えますが、新規購入者数は減少傾向にありました。 「売れる時は売れるが、再現性がない」状態です。

また、広告運用を外部の代行会社に任せていたのですが、運用方針が不明瞭で、ブラックボックス化していました。CRMも「サロン来店サンクス」や「カゴ落ちメール」といった最低限のものしかなく、LINE公式アカウントも活用できていない。 新規が入ってこない上に、F2(2回目購入)への転換率も下落傾向にあり、ブランドとしての持続的成長に危機感を感じていました。

── そこから弊社と一緒に成長に向けて取り組んできましたね。

梶原様: まずは徹底的な「守り」の整備です。当時の私たちは、せっかく来てくださったお客様をザルのように逃している状態でした。 具体的には、CRMツールの導入による自動メール整備(Welcomeメール、リマインド、定期継続など)や、LINEの自動配信、離脱時のポップアップによるリスト獲得などを行いました。診断ページの企画・制作も行い、お客様が自分に合った商品を選べる導線も作りました。

──CRMの基礎を固めるフェーズですね。

梶原様: そうです。これによりCRM経由の売上が発生し始め、まずは既存のお客様をしっかりとケアできる体制が整いました。 しかし、それだけでは新規売上の爆発的な伸びには繋がりません。

──そこで次の「攻め」のフェーズ、新規獲得と商品戦略に移るわけですね。

梶原様: はい。ここで改めて「注力商品」を明確化しました。「デューイエリクシアオイル」と「ボヘミアンシーウォーター」を軸に据え、セット商品のラインナップも拡充しました。

これに合わせて、広告運用を再構築しました。Meta広告では、ASCを活用し、UGCや縦長動画を積極的に投入。 StoreHeroさんと共に、注力商品と顧客ニーズに合わせた「勝ち訴求」を検証し続け、広告LPも最適化していきました。

──CRMと広告、そして商品戦略が連動し始めたと。

梶原様: その通りです。新規のお客様に対しては、広告で興味を持っていただき、LPで魅力を伝え、もし離脱しそうになっても、カゴ落ちや商品閲覧のリマインドメールでフォローする。 購入後は、単品から定期コースへのアップセルシナリオや、サンプル購入者への本品提案など、F2転換を促すステップメールが自動で走る仕組みを作り上げました。

新規が増え、リピーターも育つ好循環へ

──一連の取り組みを経て、どのような変化(実績)が生まれましたか?

梶原様: 明確に「新規獲得」ができるようになり、それに伴って「リピーターの総数」も増えるという好循環が生まれました。 以前は定期コースへのハードルが高かったのですが、まずは単品でのリピートが増え、そこから自然と定着していく流れができています。

数字で見ても、施策実施以降の購入者が、3回目、4回目へと購入を続けてくださる割合が改善傾向にあります。 新規が増えたから全体の顧客数が増えたというシンプルな事実ですが、以前のような一過性のブームではなく、再現性のある仕組みとして構築できたことが最大の成果だと感じています。

「ジプセット」な生き方を。SENSE OF HUMORが提案する新しいラグジュアリー

──ブランドコンセプトについても改めてお伺いしたいです。「ボヘミアン」や「ジプセット」というキーワードには、どのような想いが込められているのでしょうか?

梶原様: 「ジプセット」は、自由奔放な「ジプシー(Gypsy)」と、世界を飛び回る「ジェットセッター(Jet Setter)」を掛け合わせた造語です。 仕事をバリバリとこなしながらも、精神的には自由で、何にも縛られない生き方。そんな現代的なライフスタイルを提案したいと考えています。

──ターゲットとなる顧客層も、そういった価値観を持った方々なのでしょうか?

梶原様: そうですね。分かりやすい言葉で言うなら、ギラギラするようなラグジュアリーではなく、海辺で静かに暮らすような知的な豊かさを求めている方々です。 一見するとシンプルで自然体だけれど、実は一番贅沢な時間の使い方を知っている。そんな静かでエレガントなお客様に、SENSE OF HUMORの商品は支持されていると感じます。 だからこそ、商品開発においても分かりやすいゴージャスさではなく、本質的な品質や、琴線に触れる香りにこだわっているんです。

香りを軸にライフスタイル全般へ。SENSE OF HUMORの次なる挑戦

──最後に、今後の展望について教えてください。

梶原様: まずは商品ラインナップの拡充です。 現在はヘアケアが中心ですが、今後は香りを軸にライフスタイル全般へ広げていきたいと考えています。 例えば、ファブリックスプレーなど、ペットや赤ちゃんがいる家庭でも安心して使える、消臭・除菌効果と香りを両立させたプロダクトなどを開発中です。 バスルームから出た後、通勤中、オフィス、寝室…生活のあらゆるシーンにSENSE OF HUMORの製品がある状態を目指しています。

2つ目は、実店舗としての「ヘッドスパ」事業です。 2026年に、表参道でヘッドスパサロンのオープンを計画しています。ここではブランドの世界観をより深く体験できる場を作ります。 同時に、これは美容業界への課題解決でもあります。美容師免許を持ちながらも、過酷な労働環境などで辞めてしまった休眠美容師の方々が、ヘッドスパという技術を通じて再び輝ける場所を作りたい。教育と雇用を生み出すことで、業界に恩返しができればと考えています。

──ブランドの深化と拡張ですね。これからの展開が楽しみです。

梶原様: SENSE OF HUMORは、私の感性を表現する場所として、これからも妥協なく突き詰めていきます。感性とビジネス、その両輪を回しながら、これからも新しい価値を提案し続けていきたいと思います。

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