ロイヤルカスタマーの重要性と、ロイヤルカスタマーデータのCRMでの活用法について解説します。
Shopifyマーチャントさんは、売上を上げること、ブランドの認知を獲得することなど、様々な目的で事業に取り組まれていますが、継続的にグロースを実現する上でポイントとなるのは、「ロイヤルカスタマーを獲得すること」です。
今回は、コマースビジネスでなぜロイヤルカスタマーが大事なのか、どうやってロイヤルカスタマーを増やしていくのかについて解説します。
Contents
サイトをグロースさせる上で重要なロイヤルカスタマー
まず、ロイヤルカスタマーとはどんな顧客なのか、なぜ重要なのかについて解説します。
ロイヤルカスタマーとは?
ロイヤルカスタマーとは、優良顧客や売上上位顧客のことです。
以前、LTV(顧客生涯価値)とCAC(顧客獲得コスト)の関係を説明したことがあります(ShopifyでLTVとCACをモニタリングしてゴリゴリに収益改善する方法)。CACに対してLTVが3倍以上あれば、有望なビジネスと言われています。そのため、ロイヤルカスタマーは、粗利で計算したLTVがCACの最低3倍以上の顧客などと定義をすることが多いです。
上位2割の顧客が、売上の8割を占めているなどと言われるように、ロイヤルカスタマーは、コマース事業の収益の源泉であり、ブランドの評判形成の源泉です。
ロイヤルカスタマーをデータで把握する
自社ストアのロイヤルカスタマーの数や金額を把握してますでしょうか?
例えば、以下は、架空のデータになりますが、1年間の購入金額が5万円未満、10万円未満、30万円未満、50万円未満、それ以上で顧客をランク分けした場合の集計結果です。
ロイヤルカスタマーの定義を、1年間の購入金額が30万円以上としたとき、顧客数は28名で全顧客の約1%と非常に少ないですが、売上は約716万円で売上全体の約5%と、無視できない規模になります。
この例では、ランクEからD、Cと上がるに連れて、購入頻度が高くなっています。一方、平均購入金額も、ランクEからCまで徐々に上がっていきますが、購入頻度ほどは高くなっていません。
この特徴を踏まえると、ランクDの顧客をランクCに上げるには、購入金額を高める施策より購入頻度を高める施策の方が効果がありそうということが分かります。
まずは、自社ストアのロイヤルカスタマーをデータで集計してみてください。施策の方向性が見えてくると思います。
ロイヤルカスタマーのデータをグロース施策で活用する
ロイヤルカスタマーのデータをグロース施策に、どのように活用するのかを解説します。
ロイヤルカスタマーのパターンを知る
ロイヤルカスタマーを増やすには、今、ロイヤルカスタマーである人たちを、まずは深く知ることが大事です。
下記のようなデータを集計するとロイヤルカスタマーの購買動向や、ロイヤルカスタマー化させやすい商品が見えてきます。
- ロイヤルカスタマーと通常顧客の購入商品の違い
- ロイヤルカスタマーと通常顧客の購入間隔の違い
- 初回購入商品別のLTVの違い
以下は、架空のストアの例ですが、初回購入商品別のLTVをグロースプラットフォームのStoreHeroで集計したグラフです。LTVは、初回購入してからの期間が長いほど大きくなるため、初回購入月で分けて集計しています。
このグラフより、スカートやワンピース・ドレスは、2022年5月に初回購入した人のLTVと2023年11月に初回購入した人のLTVの差が、パンツやトップスより小さいことが分かります。
スカートやワンピース・ドレスを購入した人向けのCRMが最近になるほどうまく回るようになったか、初回購入時にスカートやワンピース・ドレスを選ぶ人は、その後、LTVがそれほど伸びなかった、ということを表しています。
このように、Shopifyの注文データや顧客データからLTVを集計し、購買パターンを把握すると打ち手の方向性が見えてきます。
CRMの自動メールでロイヤルカスタマーデータを活用する
更に、ロイヤルカスタマーについての下記のデータも把握できれば、CRMで活用しやすくなります。
- 複数回の注文での購入商品の順番
- 1回の注文で同時に購入されやすい商品
- 購入商品別の購入間隔
これらのデータが把握できれば、どの商品を購入した人に、いつ、どんな提案をすれば良いかが分かります。以下は複数回注文の組み合わせを集計した実数と割合のシートです。
何を購入しても、次回購入はトップスを購入する確率が高いようです。またパンツを購入する人は、その後、スカートとパンツを購入する確率が他の商品より高いようです。
こういった傾向は、そのまま自動メール/LINEで活用することが出来ます。
最初は当てずっぽうでも良いですが、注文データや顧客データが溜まってくれば、事実をベースにした施策に切り替えていったほうがCRM施策の確率を高められるでしょう。
更に詳細にロイヤルカスタマーを理解
更に、ロイヤルカスタマーのアンケートや診断、レビューなどから、商品の何を気に入っているかなどが分かっていれば、CRMのコンテンツの精度を高める事ができます。
例えば、品質が評価されている場合は、品質や機能性を訴求したコンテンツを配信した方がパフォーマンスが出やすいですし、ブランドのコンセプトや考え方が評価されている場合は、もっとエモーショナルなコンテンツが必要になります。
ちなみに、KlaviyoやOmnisendでもアンケートフォームは作ることができますし、StoreHeroで開発したShopifyアプリPersonalizeHeroを使えば診断も行うことができます(PersonalizeHeroのアプリ紹介ページ)。
また、顧客属性ごとにもLTVは異なります。以下のグラフは3種類の顧客属性の初回購入月別のLTVを表しています。
上述したように、どの顧客属性も、昔に初回購入した人ほどLTVが高い傾向にあります。例えば、2022年11月に初回購入した人は2023年11月時点で平均3万円〜4.5万円のLTVで、それが2023年10月に初回購入した人は1.5万円程度のLTVです。
青の顧客属性は、1年前より、最近登録した場合の方がLTVが高い月があります。この層に対する初回購入後のCRM施策が改善したのかもしれません。
このようにロイヤルカスタマーの顧客属性を調査したり、顧客属性ごとのLTVを知ることで、ロイヤルカスタマーのことを深く理解できるようになり、ロイヤルカスタマー向けの施策やロイヤルカスタマー候補の新規獲得施策の精度を高める事ができます。
Klaviyoでロイヤルカスタマー化する自動メールの設定
CRMのシナリオと配信するコンテンツの内容が決まれば、CRMのアプリに設定をしていきます。CRMアプリのKlaviyoの場合は、購入商品ごとの自動メールは、Flowという機能で設定します。
Flowを設定する際に、トリガーに購入商品でフィルターをかけることができますので、購入商品ごとに自動メールを作成することができます。また1つのFlowの中で、購入商品ごとにシナリオを分岐させることもできます。
メールの配信タイミングも設定することができます。これらの機能を使って、次回購入されやすい商品を、購入されやすいタイミングで提案することができます。
Omnisendなど、Klaviyo以外のCRMアプリでも同様の設定ができるかと思います。CRMアプリを利用されている方は、ぜひ、設定をしてみてください。
購入商品によって自動メールを出し分ける場合、メール別のパフォーマンスをモニタリングして、必要に応じて改善していきます。状況が把握しやすいよう、メール別にUTMパラメータを設定しておきます。
Klaviyoの場合は、UTMトラッキングをONにしておくとメールのリンクに自動的にUTMパラメータを設定してくれます。
UTMパラメータは、デフォルトでは以下のようなルールで付与されますが、必要に応じてカスタマイズすることができます。
ロイヤルティプログラム
ロイヤルティプログラムも、重要なロイヤルカスタマー施策です。一定期間運営して、ロイヤルカスタマーの購買行動の傾向が分かってきたら、ロイヤルティプログラムを設計してロイヤルカスタマー化を促進していきましょう。
ロイヤルティプログラムは、ポイント割引だけでなく、上位ランク限定の先行販売、シークレットイベントへの招待、景品交換など、様々な形でインセンティブを付けることができます。
ShopifyのロイヤルティプログラムアプリのVIPでは、ポイント還元、会員ランク管理、リワード(景品交換)、友だち紹介などの機能があり、Shopify POSやスマレジと連携することで、店舗とECのポイントを一元化することもできます。
VIPを使って、ランク管理やポイント管理をすることで、グロースプラットフォームのStoreHeroでランク別の売上、ランク別の購入商品、ポイント利用動向、ランク/ポイントによるLTVへの影響などを可視化することができます。
店舗・ECの利用動向まで組み合わせるとかなり、打ち手の幅が広がります。オンライン/オフラインをまたいだロイヤルカスタマー施策に必要な機能が、アプリを組み合わせるだけで実現できるShopifyは、やはりすごいなと思います。
まとめ
ロイヤルカスタマーの重要性と、ロイヤルカスタマーデータのCRMでの活用法について解説しました。
まず何よりロイヤルカスタマーの実態を具体的に把握する事が重要です。ロイヤルカスタマーの人数や購入金額、ロイヤルカスタマーに人気の商品などから、まずは把握してみましょう。
ロイヤルカスタマーのデータからロイヤルカスタマー像が把握できれば、CRMの自動メールや特集企画、広告などでも活用ができ、グロース施策全体のパフォーマンス改善に役立ちます。
参考にしていただけると幸いです。
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