ShopifyでECストアを運営し、豊富な品揃えで顧客の多様なニーズに応えようと、日々商品数を増やしている事業者様は多いのではないでしょうか。しかし、その努力が必ずしも売上向上に結びついているとは限りません。
「商品数を増やしても、なぜか売上が思うように伸びない」
「売れているのは、ごく一部の人気商品だけ」
「気がつけば、ストアにあるSKUの90%以上が、この1ヶ月で1つも売れていない…」
もし、このような状況に心当たりがあるなら、本記事はきっとお役に立てるはずです。多くの事業者が、大量のSKUを抱えながら、そのポテンシャルを全く活かせないまま、在庫コストと管理工数だけが増え続けるという悪循環に陥っています。
しかし、その眠っている9割の商品群こそが、貴社のストアを飛躍的に成長させる「眠れる資産」です。この記事では、大量SKUを売上向上の強力なエンジンに変えるための、具体的かつ実践的な方法論を解説します。
Contents
なぜ、ただ商品を増やすだけではダメなのか?
多くの事業者が「品揃えが豊富=顧客満足度が高い=売上が上がる」というシンプルな成功方程式を信じて、商品数の増加に力を注ぎます。しかし、ECの世界では、この方程式は必ずしも成り立ちません。むしろ、戦略なき商品数の増加は、多くの問題を引き起こします。
商品が多いこと自体は、本来であればニッチなニーズに応えることができ、顧客との接点を増やす大きな強みとなるはずです。しかし、その強みを活かすためには、商品をただ並べるだけではなく、「適切な場所」で「適切な顧客」に「適切な商品」を届けるための仕組みが不可欠なのです。
本記事を最後までお読みいただければ、その仕組みの全貌を理解し、自社のストアで実践するための第一歩を踏み出せるようになります。
大量SKUを最大活用する「チャネル別・商品データ最適化」グロースモデル
売上が一部の商品に集中し、多くの商品が眠ってしまう根本的な原因。それは、各販売チャネルの特性を無視して、すべての商品を画一的に扱っていることにあります。
新規顧客を獲得するための「広告」、既存顧客との関係を深める「CRM(メールやLINE)」、そして顧客が商品を吟味する「ECサイト」。それぞれのチャネルは役割が異なり、効果的な商品の見せ方も全く違います。
この課題を解決するのが、私たちが多くの支援実績から確立した「チャネル別・商品データ最適化」グロースモデルです。
このモデルの核心は非常にシンプルです。それは、「各媒体(チャネル)のフォーマットやアルゴリズムに合わせて商品データを最適化し、意図通りに商品を露出させる」という考え方です。当たり前に思われるかもしれませんが、この当たり前を実現することが、大量SKUの場合、難しいのです。
以下のグラフは、コレクションページ(collections)と商品詳細ページ(products)が検索エンジン上にランクインしているURLの数の推移をサーチコンソールのデータを使って集計したものです。検索エンジンにURLの存在を認識されるようにサイト構造を修正した結果、ある日を境に急激にランクインURLの数が増え、検索エンジン上で見つかりやすくなりました。

商品ページが大量に存在していても、検索エンジンに表示されなければ、検索エンジンというチャネル上では存在していないことと同じです。これと同じことが、SKUが大量にある場合、SNS、CRM、広告などの各チャネルでも、起きやすいのです。
これを解消しましょうというのが「チャネル別・商品データ最適化」グロースモデルです。以下では、このモデルを実現するために、3つのステップで解説します。
ステップ1:各チャネルで「何を」「誰に」売るか? 販売方針を定義する
まず最初に行うべきは、チャネルごとの役割を明確にし、「どの商品を、どの顧客に優先して見せるか」という販売方針を定めることです。要はチャネルごとに買ってくれる顧客や商品が異なるので、それに合わせて露出していきましょう、ということです。
- 広告チャネル(Google、Metaなど): 主な役割は「新規顧客の獲得」です。であれば、全商品をやみくもに配信するのではなく、新規顧客に人気の商品や、ストアの入口となるフック商品を優先的に露出すべきです。
- CRMチャネル(メール、LINEなど): 「リピート購入の促進」が主な目的です。顧客の過去の購入履歴や属性データに基づき、関連性の高い商品や、次の購入を促す商品をパーソナライズして提案することが重要になります。
- ECサイト内: サイトに来てくれた顧客の「回遊性」と「購買意欲」を高めることが目的です。トップページのおすすめ枠、商品一覧(コレクション)ページ、関連商品のレコメンド機能など、各エリアの目的に合わせて、表示する商品の条件を細かく定義する必要があります。
では、どうすれば自社にとっての最適な販売方針を導き出せるのでしょうか?答えはデータの中にあります。
GA4のチャネルデータ、アンケートアプリで収集した顧客属性データ、そしてShopifyの注文データを組み合わせて分析することで、「どのチャネルで、どの商品が、どの顧客に売れているか」を客観的に把握することができます。この分析結果こそが、販売方針を決定するための羅針盤となります。

ステップ2:各チャネルの「言語」に合わせて商品データを翻訳する
販売方針が決まったら、次はその方針を各チャネル(媒体)に「伝える」作業が必要です。GoogleやMeta、Klaviyoといったプラットフォームは、私たちが決めた方針を直接理解してくれるわけではありません。彼らが理解できるのは、彼らが定めたフォーマットに沿った「商品データ」だけです。
ここで重要になるのが、各媒体のフォーマットを正しく理解し、自社の販売方針に合わせて商品データの各項目を最適化することです。
例えば、Google広告で「新規顧客に人気の高い商品グループ」に絞って広告を配信したいと考えたとします。しかし、Googleの標準の商品データ項目には「新規購入者向け」などという項目は存在しません(Google広告 商品データ仕様)。
そこで活用するのが「カスタムラベル」という項目です。この項目を使うと、任意で商品にラベルを付けることができます。例えば、ステップ1の分析で特定した「新規向け人気商品」に、custom_label_0 = “新規向け” というデータを持たせるのです。これにより、Google広告の管理画面で「custom_label_0が “新規向け” の商品群」だけを対象とした広告キャンペーンを作成できるようになります。

Meta広告のカタログ設定、Klaviyoのメール配信で使う商品フィード、サイト内検索のための商品タグなど、各チャネルにはそれぞれ独自の「言語(データフォーマット)」が存在します。販売方針という「伝えたいこと」を、各チャネルの言語に正しく翻訳してあげることが、このステップのゴールです。
ステップ3:「仕組み」でデータ運用を自動化する
販売方針を定め、チャネルごとのデータフォーマットも定義しました。しかし、本当の挑戦はここからです。なぜなら、最適な商品は日々変化するからです。
- レビューの点数が4.5以上の商品
- 直近7日間の売上が10万円を超えた商品
- 在庫が潤沢にある(在庫残日数が100日以上ある)商品
このような動的な条件で商品を絞り込み、広告配信やメールの内容を常に最新の状態に保つには、手動での更新ではすぐに限界が訪れます。
そこで不可欠になるのが、商品データを各チャネルのフォーマットに合わせて自動的に生成・更新する「仕組み」を構築することです。
Shopifyアプリの中には、Multifeed Google Shopping Feed のように、商品データをGoogleのフォーマットに自動変換してくれるものもあります。こうしたアプリを活用するのも有効な手段です。
さらに高度な、売上や在庫といった動的な条件を組み合わせたデータフィードを生成したい場合は、独自の仕組みが必要になることもあります。私たちStoreHeroでは、支援先事業者の複雑な要件にも応えられるよう、独自開発のグロースプラットフォームを活用して、こうしたデータ運用の自動化を実現しています。

以上の3つのステップ—「方針定義」「データ最適化」「仕組み化」—を着実に実行することで、大量のSKUはもはや管理の対象ではなく、チャネルごとに最適化され、自動的に売上を生み出し続ける強力な「資産」へと生まれ変わるのです。
【事例】大量SKUのコンタクトレンズECは、いかにして「探せる・見つかる」を実現したか
ここでは、私たちStoreHeroが支援したカラーコンタクトレンズ販売ストア「Mew contact(ミューコンタクト)」様の事例をご紹介します。詳しくは、以下の事例ページで紹介されていますが、まさに大量SKUのポテンシャルを最大限に引き出した好例です。
今回解説している「チャネル別・商品データ最適化グロースモデル」の観点で、Mew contact様の事例から読み取れることを解説します。

Mew contact様が取り組んだのが、まさに本記事で解説した「チャネルによって露出する商品と商品データを最適化し、それを仕組みで有効活用する」という方法でした。元々注力されていたCRMや広告の最適化に加えて、サイト内・サイト外の検索に対しても最適化し、それをスケーラブルな「仕組み」として実装させていただきました。
- 豊富な検索軸による、優れた検索体験:
お客様が自分の欲しい商品をピンポイントで見つけられるよう、「イメージ」「カラー」「フチの種類」「素材」「レンズ直径」「着色直径」といった、カラコン選びに欠かせない豊富な検索軸(絞り込みフィルター)を実装しました。これにより、お客様は膨大なSKUの中からでも、ストレスなく好みの商品にたどり着けるようになりました。 - 絞り込みページを資産化するSEO戦略:
ここで重要なのは、単に絞り込み機能を実装しただけではない点です。絞り込んだ結果のページ(例:「ブラウン系」で「フチあり」のカラコン一覧)が、Googleなどの外部検索エンジンに正しく評価(index)されるよう、内部リンク構造やURLの正規化といったSEO対策を徹底しました。
これにより、「カラコン ブラウン フチあり」といったニッチな検索キーワードで検索したユーザーが、直接その条件で絞り込まれたページにたどり着くことができます。商品数が多い場合、これらのページを手動でコレクションとして作り続けるのは、メンテナンスの観点から現実的ではありません。絞り込み機能とSEOを連携させる「仕組み」を構築することで、お客様の多様な検索ニーズそのものを、無数の集客の入口へと変えることに成功したのです。
お客様はどのチャネルを通じても自身のニーズに合った商品と出会うことができ、ストアは工数を抑えながら売上を伸ばしていく。これこそが、大量SKUを管理コストのかかる「負債」から、売上を生み出す強力な「資産」へと変えるということだと思います。
まとめ
本記事では、Shopifyで大量のSKUを扱う事業者が陥りがちな「商品を増やしても売上が伸びない」という課題を解決するための、「チャネル別・商品データ最適化」グロースモデルについて解説しました。
この記事の要点サマリー
- 大量のSKUも、ただ並べるだけでは「負債」になります。SKUの9割が売上貢献していないという状況は珍しくありません。
- 「広告」「CRM」「サイト内」など、チャネルごとに役割を定義し、誰に・何を・どう見せるかという販売方針を明確にすることが全ての始まりです。
- 定めた方針を、Google広告のカスタムラベルやCRMのフィードなど、各媒体のフォーマットに合わせて商品データに落とし込み、最適化する必要があります。
- これらの運用を手動で行うには限界があり、アプリや独自の仕組みを活用してデータ運用を自動化することが、持続的な成長の鍵を握ります。
まずは、自社の現状を把握することから始めてみましょう。GA4を開き、広告経由と自然検索経由では、どの商品の売上が大きいかを見比べるだけでも、新たな発見があるはずです。
もし、「自社だけではデータの分析が難しい」「具体的にどんなデータフォーマットを作ればいいのか分からない」「データ運用の仕組み化なんて、どうすればいいんだ…」と感じられたなら、ぜひ一度、私たちStoreHeroにご相談ください。
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