「Amazonや楽天のモールでは順調に売上が立っているのに、Shopifyの自社ECサイトが、なぜかさっぱり売れない…」
「モール依存から脱却して、利益率の高い自社ECを育てたいのに、何から手をつければいいか分からない」
今回は、このようなモールで先行して成功した事業者が陥りがちな罠と、そこから抜け出すための方法を紹介します。
Contents
モール実績はShopify成長の武器
Amazonや楽天といった「モール」と、Shopifyで構築する「自社EC」は、似ているようで全く異なる生態系を持つ「別の市場」です。モールでの成功体験が、時として自社EC成長の足かせになってしまうことすらあります。
しかし、悲観する必要はありません。モールで先行して売れている事業者は、他社が喉から手が出るほど欲しい「認知」と「実績」が既に備わっています。
この記事では、その武器をShopifyストアの成長に最大限活用するための、体系化されたノウハウ(グロースモデル)をステップバイステップで解説します。
モール実績を活かす「グロースモデル」5つのステップ
ここからは、私たちがShopifyを活用する事業者様を支援する中で体系化した「モール先行型グロースモデル」の考え方と、その具体的な運用方法について解説します。
このモデルの目的は、Amazonや楽天などのモールで既に売上実績がある事業者が、Shopify(自社EC)を第二の柱として確立し、LTV(顧客生涯価値)を最大化することです。
このモデルを継続的に成長させるポイントは、以下の2点です。
- モールでの販売実績を自社ECサイト、広告、SNSなどで活用し、信頼性を高め、新規獲得効率を上げる。
 - 自社ECでは、顧客リストを蓄積し、CRM経由でのLTV最大化を目指す。
 
このグロースモデルを運用するための具体的な5つのステップを見ていきましょう。
ステップ1:モールとShopifyで「売るべき商品」を整理する
最初に行うべきは、自社EC(Shopify)とモールの「役割分担」の明確化です。 多くの事業者が、モールとShopifyで全く同じ商品を、同じ販売方法、同じ価格で販売してしまっています。
モールで売れやすい商品とShopifyで売れやすい商品は異なります。 まずは、自社の商品ラインナップを棚卸しし、どちらのチャネルで販売するのが最適かを整理しましょう。
ECモール(Amazon、楽天など)向きの商品の傾向
- 価格競争力のある商品・型番商品
 - 日用品・消耗品(買い回り品)
 - 初回購入者が購入しやすい商品
 
Shopify(自社EC)向きの商品の傾向
- ブランド力・世界観が強い商品(指名買い商品)
 - ニッチな商品・専門性の高い商品
 - リピート型の商品
 - リピート購入者が購入しやすい商品
 
この整理ができていないと、「Shopifyで型番商品を売ろうとしたが売れなかった」あるいは「ニッチな商品が、モールに埋もれて誰にも見つけてもらえない」という事態に陥ります。まずは、Shopifyではどの商品を「主役」にするのかを定義することがスタートラインです。
ステップ2:Shopifyで「購入する理由」を作る
次に「なぜ、お客様はモールではなく、わざわざあなたのShopifyストアで購入しなければならないのか?」という問いに答える必要があります。
Amazonや楽天の利便性(強力なポイント割引、迅速な物流サービス)に対抗するには、自社ECならではの「付加価値」が必要です。 自社ECはモールと比べて利益率が高いため、その利益を原資に、以下のようなユニークな購入理由を提供することができます。
Shopifyで購入する理由の例
- 自社EC限定商品
 - 手厚いサポート(修理、相談対応など)
 - 特別な企画・コンテンツ
 - 会員プログラム
 - 特別なオファー(まとめ買い、定期購入割引など)
 
お客様が「ポイントが付かなくても」「送料が別途かかっても」、あなたのShopifyストアで買いたいと思うような、魅力的な「購入理由」を設計しましょう。
Shopifyの場合、チャット接客サポートはチャネルトークやGorgias、会員プログラムはVIPで実装できます。特別なオファーは、Shopifyの標準機能でもかなり対応できますが、より高度なオファーを実装する場合は、Rebuyなどのアプリを活用することになります。
以前、インタビュー記事でご紹介したグラマープリンセスでは、ZOZOで販売をしながら、自社ECでは、サイズ・骨格診断、試着会、コーディネイトコンテンツ、会員プログラムなど、充実したサービスを提供して購入理由を作られています。

ステップ3:自力で集客し「顧客リスト」を作る
モールと自社ECの大きな違いは、「顧客リスト」の扱いです。モールでは、購入した顧客情報は基本的にモールに帰属しますが、自社ECでは購入・未購入問わず、メールアドレスやLINEのリストを自社の資産として蓄積できます。
この顧客リストこそが、将来の安定した売上を作ってくれる源泉です。
しかし、Shopifyストアはモールと違い、待っているだけでは誰も訪れません。「自力での集客」が必須です。 モール依存から脱却したいと本気で思うなら、Google広告、Meta広告、SNS運用、アフィリエイトなどを活用して集客力をつける必要があります。
集客・顧客リスト作りにおいて、「モールの実績」を活用した以下のような施策は有効です。
- 広告のクリエイティブに「楽天〇〇ランキング1位獲得!」と明記する。
 - Shopifyの商品ページ(LP)の冒頭に、「Amazon◯◯部門ランキング1位!」と掲載する。
 
モールで得た実績を提示することで、お客様は「ああ、あの楽天で人気のお店か。それなら安心だ」と、一気に信頼度を高めてくれます。この信頼が、集客効率や購入率を劇的に改善します。ただし、モールの規約は厳しくレビューのスクショを自社ECで活用することなどは違反になりますので注意してください。
モールから自社ECへの間接誘導
Amazonや楽天では、規約により、モールのお客様を自社サイトへ直接誘導すること(例:商品ページにURLを記載する、メルマガで自社サイトのセールを告知する)は厳しく禁じられています。 商品に同梱するチラシやパンフレットで、URLやQRコードを載せて直接誘導することも同様に禁止されています。
では、どうすればよいか?
答えは「間接的な誘導」です。例えば、同梱物は「ブランドブック(冊子)」などにして、自社サイトのURLではなく、以下のような「自社ECで体験できる価値」を魅力的に記載します。
- 自社ECで提供している限定商品の紹介
 - 手厚いサポート体制や会員プログラムの案内
 - ブランドの哲学やストーリー
 
そして、お客様に「このブランドをもっと知りたい」「限定品が欲しい」と思わせて、「ブランド名で検索」してもらうのです。 これが、規約に抵触しない、賢い間接誘導です。
以前、インタビュー記事でご紹介した腸活を中心としたライフケアブランドのAuBでは、商品を購入すると、商品の使い方、腸活カレンダー、腸活の知識など、商品情報に収まらない充実したコンテンツが同梱物として届きます。ここまで充実していれば、明示的に自社ECに誘導しなくても、流れてくるでしょう。

集客を頑張り、メルマガ・LINE登録、SNSフォロワーを増やし、未来の売上につながる「顧客リスト」を育てていきましょう。
ステップ4:リピート購入を促す
ステップ3で獲得した顧客リストは、活用しなければ意味がありません。自社ECの真価は「リピート購入」で発揮されます。
モールと違い、自社ECでは顧客リストに対して、メール、LINE、会員プログラムなどを通じて、自由なタイミングで、自由な内容のアプローチが可能です。
- 新商品(特にShopify限定品)の先行案内
 - 購入者限定のシークレットセール
 - 誕生日クーポンやお気に入り商品の再入荷通知
 - ステップ2で設計した「手厚いサポート」や「会員プログラム」の案内
 
こうした施策を駆使して、リピート購入を促しましょう。Shopifyの場合、顧客セグメント別・シナリオメールの配信はShopify EmailやKlaviyoで、LINEの場合はCRM Plusで実装・運用が可能です。
リピート購入は、新規獲得にかかる広告費用も、モールに支払う高い手数料も必要ありません。 そのため、利益率が非常に高いのが特徴です。自社ECは、このリピート売上が積み上がってくると、事業全体の利益が残りやすくなる構造を持っています。
リピート購入促進のメールでは、商品紹介はもちろん行いますが、Shopify(自社EC)ならではの付加価値をしっかり伝えることが大事です。先程紹介したAuB様のメールでは、腸活に関するノウハウや会員向けサービスをしっかり紹介されています。

ステップ5:モニタリング&改善
このグロースモデルが正しく機能しているかを「モニタリング」し、継続的に「改善」していくステップです。重要なのは、「モール」と「自社EC」の役割を分けてKPI(重要業績評価指標)をチェックすることです。
モール先行型のグロースモデルにおいて、モールと自社ECは、以下のような役割でした。
- モール:新規顧客獲得、ブランド認知拡大
 - 自社EC:LTV最大化、顧客との関係性構築(CRM)
 
目的に合ったKPIを定期的にモニタリングし、それぞれの役割が果たせているかをチェックしましょう。
モニタリングすべきKPIの例
- チャネル別売上(モール、自社EC):自社ECの売上比率が上がっているか?
 - 自社ECのLTV:リピート施策が機能し、顧客単価が向上しているか?
 - 自社ECサービス利用数:会員プログラムや定期購入の利用者が増えているか?
 - 顧客リスト数:メルマガ、LINEの登録者数が順調に増えているか?
 - ブランド名での指名検索数:間接誘導や認知施策が効いているか?
 - モール利用者の自社EC顧客数(アンケート):「モールで知って、自社ECで買った」人などが増えているか?
 
これらの数値が伸び悩んでいる場合、例えば「LTVが低い」ならステップ4(リピート施策)やステップ2(購入理由)が弱い、「顧客リストが増えない」ならステップ3(集客)が足りない、といったように、5つのステップのどこに問題があるかを特定し、改善アクションを行います。
まとめ
本記事では、楽天やAmazonなどのモールで先行して売上を立てた事業者が、次にShopify(自社EC)を伸ばしていくための「モール先行型グロースモデル」について解説しました。
要点
- モールとShopifyは「別の市場」であり、同じ売り方では成功しない。
 - 成功の鍵は、モールで得た「実績」と「認知」を、Shopifyの「集客」と「購入率改善」に活用すること。
 - 「商品整理」「購入理由作り」「集客&顧客リスト作り」「リピート施策」「モニタリング&改善」の5ステップで、モールと自社ECの役割を明確化し、LTVの最大化を目指す。
 
「モールでは売れるのに、Shopifyで売れない」 という悩みは、裏を返けば「すでにモールで成功するだけの実力(商品力・販売力)がある」という証明でもあります。あとは、その力を正しい方向に向けるだけです。
次の具体的な一歩を踏み出すために
「理論はわかったが、自社の場合はどこから手をつければ良いかわからない」
「このモデルを実践するためのリソースが足りない」
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