StoreHero流 Shopifyグロースプロジェクト計画作成の5ステップ

これからShopifyでコマース事業を立ち上げられる方に向けて、グロースプロジェクト計画の作成方法について解説します。StoreHeroでも、グロースプロジェクトに取り組む際に、事前にプロジェクト計画を立てて、目標達成確率を高めています。

今回は、StoreHeroがプロジェクトの初期に実践している、プロジェクト計画作成を5ステップに分けてご紹介します。参考にしていただけますと幸いです。

1. 最適な「グロースモデル」を見つけ出す

まず、最初に行うのは、グロースモデルを理解することです。扱う商品、ブランドの個性、顧客層、成長フェーズによって、最適なグロースモデル(成長するための型)は異なると考えています。

たとえば、

  • 高単価な寝具やバッグを扱い、付加価値をしっかり伝え信頼を蓄積しながら成長するモデル
  • トレンド性の高いアパレルや小物を頻繁にリリースし、在庫を見ながら露出や価格を柔軟に調整するモデル
  • 少数SKUでサプリメントなどを扱い、定期購入でLTV(顧客生涯価値)を最大化するモデル

グロースモデルが異なると、重視するKPIも異なります。

高単価な商品を販売する場合、検討期間が長くなるため、売上だけでなく、検討中の見込み客のリスト数、お気に入り登録数などが大事なKPIになります。トレンド型の商品を販売する場合、トップラインを作るうえでスター商品の売上が非常に重要となり、一方で、その他商品の在庫管理も鍵となります。定期購入モデルの場合、新規顧客獲得コスト(CAC)とLTVのバランスが重要になります。

このように対象のストアにマッチするグロースモデルとそれに合ったKPIを選ぶことがプロジェクト計画作成やグロースの取り組みの出発点となります。

余談ですが、昨年まで、StoreHeroでは、グロースモデルをざっくり5〜6種類に分類して取り組んでいましたが、日々、マーチャントさんと取り組ませて頂く中で、私達も知らなかった成長過程を経ているケースに出会うことがあり、グロースモデル自体も増えてきました。

2. 3つの視点から「伸びしろ」を一生懸命探す

グロースモデルが定まったら、次に現状の課題を洗い出します。私たちが重視しているのは、以下の3つの視点からデータを分析することです。

  • 顧客視点: 1年間の購入金額や購入回数別に顧客の分布を分析し、「リピーターを増やしやすいセグメントはどこか?」「VIP顧客を維持する施策を打てているか」といった、隠れた成長機会を発見します。
  • 商品視点: 季節性の高い商品や、安定して売れている商品など、売れ方の変動から商品の特性を理解します。さらに、商品タイプ別の注文数や在庫の分布を確認し、魅力がまだ伝わっていない商品を見つけ出します。
  • チャネル視点: 各集客チャネル(広告、SNS、CRMなど)のセッション数、CVR、注文単価などのデータを各種チャネル運用方法と比較しながら分析します。グロースモデルや商材に適した運用ができていなければ、適した運用に変えることでどれぐらい伸びそうか確認します。
1年間の購入金額・購入回数別顧客分布
商品タイプ・注文数別のSKU数分布

分析には、主にShopify、Shopifyアプリ、GA4、Search Console、広告などのデータを活用します。StoreHeroの場合、これらのツールと連携して課題を可視化するチャートを自動作成できるグロースプラットフォームがあるため、効率的に分析を進めることができます。

3. 目標から逆算して現実的な事業計画に落とし込む

課題と伸びしろが明確になったら、目標を具体的な事業計画へと落とし込みます。目標から逆算する「バックキャスト」という手法で事業計画を作成します。

目標達成時の、各チャネル・顧客・商品別の売上構成を様々なパターンで考え、確率が最も高いパターンを採用します。パターンを評価する際、計画が本当に実現可能か、裏付けを取ります。

「このトラフィックの時にこのCVRと注文単価を本当に維持できるか?」 、「この成長スピードで、顧客分布は狙い通りに推移するか?」

過去の経験と照らし合わせつつ、具体的な施策と、それによって想定される効果をシミュレーションし、現実的な成長プランを構築します。

例えば、広告やCRM、サイト運用が不適切であれば、改善によってどれだけ売上が伸びるかを試算します。また、顧客属性に合わない商品の露出をしている場合は、それを正すことでどれだけ伸びるかをシミュレーションします。

支援する立場としての説明の重要性

StoreHeroは支援する立場として、事業計画達成までのロジックをShopifyマーチャントさんに丁寧に伝えることが大事だと感じています。

「広告に課題があるから改善してほしい」、「サイトのUIが良くないから改善したい」など、ピンポイントの課題についてご相談頂くことがありますが、実際に分析するとそういった部分的な課題の解決だけで目標達成できないことが多く、マーチャントさんが期待していない取り組みまで実施しないといけないことがあるためです。

また、非連続な成長を目指す場合や、構造的にマイナス成長している場合、リスクの高い施策が必要になることもあります。例えば、運用体制の強化、プレミアム商品や限定商品の開発、商品ラインナップの変更、生産拠点・物流拠点の増設・変更などです。

説明がちゃんとできていないために、うまく進められなかったこともあります。そういった反省を踏まえ、支援する立場として、事業計画達成までの道筋を丁寧に説明し理解を得て、同じ方向性で取り組みを進めていきたいと考えています。

4. 事業計画達成に必要な「実装・運用体制」を確認

どんなに緻密な事業計画も、実装や運用が回らなければ意味がありません。事業計画を達成するための実装や運用まで落とし込んだものがプロジェクト計画です。プロジェクトを成功させるには、実装や運用が回るかも確認する必要があります。

最近、StoreHeroでは、現状の体制内での施策を実施するだけでなく、運用の自動化・効率化、体制の強化にも取り組み、取り組める幅を広げています。Shopifyマーチャントの多くが、目標達成に必要な実装・運用体制が備わっていないことが多いためです。

一方で、企画・コミュニケーション・コンテンツなど、マーチャントさんの方が得意なことについては、マーチャントさんに体制を用意して頂いています。

5. 事業計画を実行スケジュールに落とし込む

第5ステップでは、計画に盛り込んだ各種施策の実装・運用を具体的なスケジュールに落とし込みます。

StoreHeroの場合、グロースのプロジェクトは3ヶ月、6ヶ月単位で注力施策を決めつつ、状況に応じて注力施策自体を変える動きができるようアジャイル型でプロジェクト進行しています。また、実装作業などのタスクは、週単位のスプリント型のタスク管理をしています。

3〜6ヶ月単位で注力施策を決める

施策は複数同時に並行して走りますが、施策同士は独立しているわけではありません。ある施策の結果が、他の施策のパフォーマンスを向上させるという相互関係も考慮に入れて、スケジュールを決定していきます。

各施策は、設計、実装、運用、検証・改善のステップを経て最適化されます。検証と改善を何度か繰り返して効果が最大化された施策は、自動運用に移行し、定期的なモニタリングのみ行います。

まとめ

本記事では、StoreHeroが実践するグロースプロジェクト計画作成の5つのステップをご紹介しました。グロースのプロジェクト計画作成で重要なのは、クリティカルな課題を起点に事業計画やプロジェクト計画を立てることです。今回ご紹介した5ステップは、その考えをベースにしています。

  1. 自社に合ったグロースモデルを特定し、伸ばしやすい型を把握する
  2. 3つの視点(顧客・商品・チャネル)からデータを徹底分析し、クリティカルな課題と伸びしろを見つける。
  3. 目標から逆算して、課題と伸びしろを踏まえた実現可能性の高い事業計画を作成する。
  4. 事業計画を確実に実行できるよう、運用の自動化・効率化を視野に入れた体制を構築する。
  5. 施策の従属関係を考慮してスケジュールに落とし込み、アジャイル型でプロジェクトを進行する。

当社で実施しているShopifyグロースのプロジェクト計画作成の方法ですが、参考にして頂けますと幸いです。

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