Shopifyでこだわりの専門的な商品を扱っているものの、「なかなか売上が伸びない」「集客の仕方がわからない」と悩んでいませんか?
専門店モデルは、特定の商品ジャンルに特化するため、一見すると市場が狭く、成長が難しいように感じられるかもしれません。しかし、その専門性こそが、熱狂的なファンを生み出し、競合他社には真似できない強力なブランドを築く源泉となります。
この記事では、なぜ専門店モデルのストアが伸び悩んでいるのか、そしてどうすればその壁を突破し、継続的な成長軌道に乗せることができるのか、その具体的な道筋を示します。
Contents
なぜ、「専門店」は伸び悩むのか?
専門店モデルが成功するか否かは、単に珍しい商品を並べることでは決まりません。成功の鍵は、「顧客の課題・悩みを深く理解した上で、その課題・悩みにあった販売方法や集客方法を運用すること」 にあります。
曖昧な「こだわり」ではなく、顧客の具体的な「悩み」や「課題」に焦点を当てること。それこそが、専門店モデルが持つ真の付加価値を引き出すコツです。
この記事では、そのコツを活用して、Shopifyストアで専門店モデルを成功させ、事業を継続的に成長させるための方法を具体的な5つのステップで紹介します。
専門店モデルを成功させる「グロースモデル5ステップ」
Shopifyで専門店モデルを成長させるためには、体系化された「考え方の軸」=グロースモデルが必要です。私たちが提唱する専門店モデルのグロースモデルは、シンプルですが強力です。
その概要は、「特定ジャンルの課題や悩みを解決することにフォーカスする」 こと。
そこでは、商品そのものだけでなく、商品や商品の使い方に関する深い専門性が求められます。顧客が「選び方」や「使い方」を相談しながら購入できること自体が、専門店の付加価値となるのです。そのためには、事業者が顧客の課題・悩み、そして商品の知識に誰よりも深く精通していることが絶対条件となります。
このグロースモデルが継続的に成長するためのポイントは2つあります。
- 課題や悩みを持つ顧客が利用するチャネルを構築して、新規顧客の獲得スピードを早くする。
- 課題や悩みを解決した顧客からの評判により、指名検索やリピート購入されやすくする。
では、この成長サイクルを生み出すために、具体的に何をすべきか。私たちは、その運用方法を5つのステップに分解しています。
- STEP1: 顧客の課題・悩みを理解
- STEP2: マッチした提案・販売方法を作る
- STEP3: マッチしたチャネルを開拓
- STEP4: 評判が可視化されるようにする
- STEP5: 改善サイクルを回す
この5つのステップを、一つずつ詳細に解説します。
ステップ1:顧客の課題・悩みを徹底的に理解する
専門店モデルの出発点は、常に「顧客」です。特に、彼らが抱える具体的な「課題」や「悩み」を深く理解することが何よりも重要です。多くのストアは「売りたい商品」からスタートしますが、専門店モデルでは「解決したい課題」からスタートします。ストアが扱う専門的な商品は、顧客のどんな「不便」「不満」「不安」を解消するために存在するのでしょうか?
顧客の悩み、不満、課題を理解するプロセスは、優れた専門店であれば商品開発の段階で既に行っていることが多いです。主な手段としては、以下のようなものが挙げられます。
- 顧客インタビュー:既存顧客や、ターゲットに近い潜在顧客に直接話を聞きます。「なぜこの商品を選んだのか?」「購入前にどんなことで悩んでいたか?」「他にどんな商品を比較したか?」などを深掘りします。
- アンケート:購入者やサイト訪問者に対して、Webアンケートを実施し、定量的に悩みの傾向を掴みます。
- コミュニティサイトやSNSの調査:ターゲット顧客が集まるコミュニティサイト、X、Instagramなどで、彼らがどのような「悩み」を発信しているかを収集します。
顧客の課題・悩みの理解はこの後のステップの基盤になるため、StoreHeroの支援先が顧客解像度が低い場合は、顧客インタビューを実施させて頂くこともあります。
ステップ2:顧客の課題・悩みにマッチした提案や販売方法を作る
顧客の課題・悩みが明確になったら、次はその「解決策」を提示する番です。これは単に商品を並べることではありません。専門店の付加価値である「相談しながら安心して選べる」体験を、オンライン・オフラインでどう構築するか、という視点が求められます。
「課題・悩み」を「提案・販売方法」に変換するための仕組みが必要です。
診断コンテンツの実装
オンラインでもピッタリの商品を選びやすいように診断機能を導入することがあります。これにより、顧客が抱える「自分だけで選ぶ不安」という悩みを解消しています。事例インタビュー記事でも紹介したhomeal様も幼児食診断を運用して、商品を選ぶ悩みを軽減しています。

こうした診断機能は、Shopifyアプリの「PersonalizeHero」や「Lantern」などを使えば実装可能です。アパレル、化粧品、健康食品、趣味の道具など、あらゆる専門店で応用できます。
専門家による相談窓口の設置
専門性が高い商品ほど、「プロに相談したい」というニーズは強くなります。チャットやLINEでの手軽な相談窓口を設けるのはもちろん、Shopifyの予約アプリなどを活用し、オンラインや対面での「個別相談予約」を受け付けているストアもあります。これは、まさに専門店の付加価値である「相談しながら購入できる」 体験を提供する強力な方法です。
オフラインでの体験提供
定期的に「試着会」「体験会」を開催することもあります。そこではプロが直接接客し、悩みを伺いながら商品選びの手伝いをします。これにより、オンラインでは解消しきれない不安を抱える顧客に「安心してピッタリの商品を選べる」 という決定的な価値を提供しています。
このように、ステップ1で特定した顧客の「悩み」を先回りして解決するような提案・販売方法を設計することが重要です。
ステップ3:顧客の課題・悩みにマッチしたチャネルを開拓する
素晴らしい商品と販売方法が準備できても、それを「必要としている人」に届けなければ意味がありません。ステップ3は、顧客をストアに呼び込むための「集客チャネルの開拓」です。
専門店モデルの集客は、闇雲に広告を打つことではありません。ステップ1で明確にした「課題・悩み」を持つ顧客が、普段どこに集まり、どんな情報を信頼しているかを見極め、そのチャネルに入り込むことが鍵となります。
ストアが扱うジャンルに、すでに影響力のある専門家や専門メディア(ブログ、雑誌、インフルエンサーなど)は存在しませんか? もし存在するなら、彼らとの関係構築は最優先事項です。
アフィリエイト・記事掲載・コラボ
彼らに商品を提供し、レビューしてもらったり、タイアップ記事を掲載してもらったり、共同で商品を開発(コラボ)したりします。そのジャンルの権威からのお墨付きは、新規顧客の強力な信頼獲得につながります。StoreHeroで支援する場合も、アフィリエイトメディアやコラボ相手の開拓は、行っています。
Shopify Collabsやgoaffproといったアプリは、こうしたアフィリエイトプログラムやインフルエンサーマーケティングを管理するのに便利です。
自社コンテンツの蓄積
他社メディアへの露出と並行し、自社サイト内にも専門的なコンテンツを蓄積していくことが、中長期的な資産となります。顧客が検索するであろう「悩みのキーワード」(例:「〇〇 選び方」「〇〇 できない 理由」)に対して、専門家の視点で回答するブログ記事やガイドを作成します。これは、SEOによる集客(オーガニック検索からの流入)になるだけでなく、サイトを訪れた顧客が購入を決める際の「安心材料」にもなります。
自社だけでコンテンツ作成が難しい場合は、外部の専門家からコンテンツ提供を受けて運用することも有効です。以前、事例インタビュー記事で紹介したb.box様も専門家に協力してもらいコンテンツを蓄積されています。

作成したコンテンツは、サイト上に置くだけでなく、CRMでも活用します。例えば、メルマガやLINEで顧客の悩み別にセグメント分けし、それぞれの課題解決にフィットするコンテンツを届けることで、顧客の信頼を獲得し、リピート購入につなげます。
ステップ4:顧客の評判が可視化されるようにする
ステップ1〜3を通じて、顧客の課題・悩みを解決し、満足度を得ることができたら、それを「評判」として可視化する仕組みが不可欠です。なぜなら、このグロースモデルの成長ポイントは、「課題を解決した顧客からの評判が、次の新しい顧客を呼び込む」ことにあるからです。
UGCとレビューの重要性
UGC(ユーザー生成コンテンツ)やレビューは、第三者による客観的な評価として、新規顧客の購入決定を強く後押しします。
とはいえ、扱う商品がコンプレックス(悩み)に直結する場合、顔出しのUGCをSNSに投稿してもらうのは難しいケースもあります。その場合でも、匿名での詳細なレビューや、匿名のインタビュー記事は非常に有効です。実体験に基づくコンテンツは、同じ悩みを抱える人々にとって何よりも説得力のある情報源となります。
アンバサダープログラム
更に一歩踏み込んで「アンバサダープログラム」を運用することがあります。これは、単なるインフルエンサーマーケティングとは異なります。商品やブランドを愛し、生き生きと活躍されている方々がアンバサダーとして活動することで、ブランドの思想や価値を体現してくれます。アンバサダーの取り組みをサイトやCRMで紹介することが、「評判の可視化」に強力につながります。
事例インタビュー記事でも紹介したb.box様では、アンバサダーの活動をSNSやサイト上で積極的に紹介されています。

ステップ5:改善サイクルを回す
これら4つのステップは、一度実行して終わりではありません。顧客の課題・悩みを解決して評判を作り、その評判が新しい顧客を呼び込む —— この流れを絶えず監視し、改善し続けることが「継続的な成長」の鍵です。
売上だけを追っていては、このモデルが上手く回っているかは分かりません。専門店モデルでは、以下のようなKPIも同時にモニタリングする必要があります。
- 販売方法:診断で提案した商品の的中率(購入率)
- 商品・満足度:商品のリピート率、商品レビューの数と評価
- 集客チャネル:課題・悩み解決チャネル(専門メディアや自社コンテンツ)からの集客数
- 顧客対応:チャットやLINEでの相談件数・成約率
これらのKPIをモニタリングして、「自分たちの施策が、本当に顧客の課題・悩み解決に繋がっているか」を把握します。例えば、「診断の的中率が低い」のであれば診断ロジックの見直しが必要です。「特定チャネルからの集客が少ない」のであれば、そのチャネルの開拓方法を再検討する必要があります。
この5ステップのサイクルを回し続けることこそが、専門店モデルを成長させるエンジンとなります。
事例:顧客の「悩み」に徹底的に寄り添う「グラマープリンセス」
ここで、5ステップモデルを実践し、顧客の信頼を獲得しているストアの事例として、大きいサイズの下着専門ブランドグラマープリンセス様がいらっしゃいます。グラマープリンセスを運営するのは、60年以上の歴史を持つ下着メーカー株式会社いずみ様です。
以前いずみ様に行ったインタビュー記事から、これまで解説してきたグロースモデルを実践されていることを紹介いたします。

【ステップ1:課題・悩みの理解】
ブランド誕生のきっかけは、社内会議でのあるパタンナーの「中学生の娘がつけるブラジャーがないんです」という切実な訴えでした。
その社員の娘さんはプラスサイズで、市場には少しでも可愛いと思えるデザインのブラがほとんどない。「下着会社で働く母として、自分の娘にこんな思いをさせていいのか」という言葉が、事業の原点となりました。
市場調査をすると、その悩みは個人的なものではなく、市場に存在する大きな「課題」であることが明確になりました。「身体が大きいというだけで選択肢を奪われている」という、顧客の深い悩みを特定されました。
【ステップ2:提案・販売方法の作成】
課題を解決するため、同社は「ファッションを楽しむ“当たり前”の選択肢」を提供することを決意します。
単に大きいサイズを作るのではなく、Eカップ85cmといったサイズを基準にしたマスターパターンを新たに作成。さらに、着心地を確認するため、一体200万円もする3Lと6Lの「特注ボディ(マネキン)」を発注しました。これは、「専門ブランドを名乗る以上、説得力を持たせる」という、課題解決への本気度の表れです。
また、オンラインの不安を解消するため、「サイズ・骨格診断」を導入。さらに、大阪の商業施設でポップアップストアを開催した際には、コンプレックスから普段お店で伸び伸びと買い物ができない顧客が、心から嬉しそうに買い物をする姿が見られました。ある母親は「うちの娘がこんなに嬉しそうに買い物している姿を初めて見ました」と涙を流したといいます。

これは、商品を売るだけでなく、「安心してピッタリの商品を選べる」という「体験」そのものを販売方法として設計した好例です。
【ステップ3:チャネルの開拓】
グラマープリンセスは、顧客との繋がりを非常に大切にしています。その中心が「アンバサダー制度」です。
これは単なるPR依頼ではありません。アンバサダーと座談会を開いて悩みを共有したり、新商品のデザインについて意見を頂いたりと、深く関係性を築いています。深い関係性と熱量が、顧客に伝わりブランド認知に貢献しています。

【ステップ4:評判の可視化】
現在20名近くいるアンバサダーは、ブランドと共に「共創」するパートナーです。彼女たちの「リアルな声」や、商品との出会いを通じて生き生きと活躍する姿そのものが、同じ悩みを持つ他の顧客に響き、「私も変われるかもしれない」という希望となります。
これが、広告では作れない最も強力な「評判」となり、ブランドの信頼構築にも貢献しています。課題や悩みを持つテーマだからこそ、こうした「実体験にもとづくコンテンツ」が何よりも説得力を持つのです。

【ステップ5:改善サイクル】
アンバサダーとの座談会や、日々寄せられる顧客の声は、そのまま商品開発に活かされます。
新商品のデザインについてアンバサダー内でアンケートを取り、その意見を反映させています。コロナ禍でナイトブラが流行ってもプラスサイズ向けは市場に少なかったため、顧客の要望に応えて開発されました。
このように、顧客の「悩み」を起点に商品を改善・開発し続けるサイクルが、グラマープリンセスを唯一無二の存在に押し上げ、評判が評判を生み、顧客の輪が広がっています。
グラマープリンセスは、「社員の娘の悩み」という非常に解像度の高い課題からスタートしました。そして、その課題を解決するために、採算度外視とも思えるほどの投資を行い、顧客が安心して選べる「体験」(ポップアップストアや診断)を設計。さらに顧客を「アンバサダー」として巻き込み、「共創」することで「評判」を可視化。そして、そのコミュニティから得た声で「改善」を回し続けています。
まさに、専門店モデルのグロースモデル5ステップを体現した事例と言えるでしょう。
まとめ
Shopifyで専門店モデルを成功させ、継続的に成長させるためには、単に商品を売るのではなく、「顧客の課題・悩みを解決する」という視点が不可欠です。
本記事で紹介した5つのステップを再確認しましょう。
- 顧客の課題・悩みを徹底的に理解する
- その課題・悩みにマッチした提案や販売方法(診断や相談体制)を作る
- 課題を持つ顧客が集まるチャネル(専門メディアや自社コンテンツ)を開拓する
- 課題解決の証拠である「評判」(レビューやUGC)が可視化されるようにする
- これらのサイクルが回っているかをKPIで観測し、改善を続ける
次の具体的な一歩を踏み出すために
「理論はわかったが、自社の場合はどこから手をつければ良いかわからない」
「このモデルを実践するためのリソースが足りない」
もしそう感じられたなら、ぜひ一度、私たちStoreHeroにご相談ください。StoreHeroの「Shopify無料ストア診断」では、Shopify運営のエキスパートが、あなたのストアの現状をヒアリングとデータに基づいて丁寧に分析。今取り組むべき最も優先度の高い課題と具体的な施策をご提案します。
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