Shopifyでトレンド商品を扱うストアを運営していて、「ヒット商品は瞬く間に売り切れるのに、それ以外の商品は在庫が残ってしまう」「在庫管理が経営の足かせになっている」と感じていませんか。
トレンド商品販売型グロースモデルでは、流行を捉えた商品の初速売上が収益の柱になる一方、商品サイクルが短いため在庫リスクが常につきまといます。この課題に対して有効なのが、新作通知・残り僅か通知・再入荷通知・在庫処分の4つの施策を組み合わせた在庫ライフサイクル管理です。
本記事では、トレンド商品販売型グロースモデルの基本をおさらいした上で、商品の在庫状況に応じて4つの施策を使い分け、売上を最大化しながら在庫リスクを抑える具体的な運用手順を解説します。Shopifyでトレンド商品を扱うストアの経営者・事業責任者の方に向けた内容です。
Contents
トレンド商品販売型グロースモデルのおさらい
トレンド商品販売型グロースモデルとは、流行の変化に素早く対応し、トレンドに乗った高需要商品を投入するモデルです。トレンドを捉えてスピーディに商品化する力と、初速で大きく売上をスパイクさせる施策が重要となります。yutori様(YZ STORE)などが代表的な事例です。以前インタビュー記事にもしましたので、よろしければご覧ください。

このモデルの運用では、大きく5つのステップを回していきます。
まず、事前に告知して期待値を作ることが出発点です。新商品のcoming soon告知や、再入荷通知アプリの活用で「待っている顧客」を事前に囲い込みます。
次に、メール・LINE・SNSなど各種チャネルで一斉告知し、初速の売上を最大化します。
発売後は、UGCやレビューを促進して初速の盛り上がりを可視化し、さらなる需要を喚起します。
そして、在庫を見ながら販促を調整し、在庫状況に応じた再提案や値下げを検討します。
最後に、次の販売までエンゲージメントを高めることで、顧客との関係を維持します。
トレンド商品販売型グロースモデルの特徴は、一部のヒット商品が売上の大きな割合を占める一方、その他の商品は在庫過多になりやすいという点です。だからこそ、商品の在庫状況に応じた施策の使い分けが、収益を左右する重要な経営判断になります。
トレンド商品販売型グロースモデルにおける在庫ライフサイクル管理の重要性
トレンド商品販売型グロースモデルでは商品のライフサイクルが短く、売上のピークから下降までのスピードが速いという特性があります。この特性に対応するために、商品の状態に応じて4つの施策を使い分けるのが在庫ライフサイクル管理の考え方です。
新作通知は、在庫ライフサイクルの起点となる施策です。新商品の発売をメール・LINE・SNSで一斉に告知し、初速売上を最大化します。
トレンド商品販売型グロースモデルにおいて初速売上が大きいことは、単にその商品の売上が伸びるだけではありません。初速で在庫の大部分をプロパーで消化できれば、後続の残り僅か通知・再入荷通知・在庫処分の負担が大幅に軽減されます。逆に初速が弱ければ、早い段階で在庫処分を検討せざるを得なくなり、利益率が低下します。つまり、新作通知の精度が在庫ライフサイクル全体の収益性を左右するのです。
残り僅か通知は、人気商品の在庫が減ってきた段階で活用します。「在庫残りわずか」という事実を顧客に伝えることで、購入を後押しし、プロパーでの消化を加速させます。
再入荷通知は、人気商品が売り切れた後に活用します。再入荷を待つ顧客リストを事前に構築しておき、入荷と同時に通知することで、失われた販売機会を回復します。
在庫処分は、シーズン終盤やトレンドの転換期に活用します。滞留在庫を段階的な値引きで効率的に消化し、キャッシュを回収します。
このように、新作通知 → 残り僅か通知 → 再入荷通知 → 在庫処分という流れは、商品の在庫ライフサイクルそのものに沿った施策設計です。4つの施策が連動して機能することで、トレンド商品販売型グロースモデル特有の在庫リスクを最小化しながら売上を最大化できます。
在庫ライフサイクル管理の運用手順
ここからは、4つの施策を在庫ライフサイクルに沿って運用するための具体的な手順を6つのステップに分けて解説します。
ステップ1:事前情報の整理と在庫分析
まず、自社の商品と在庫状況を整理します。確認すべきポイントは3つです。
1つ目は商品カテゴリの分類です。自社の商品を「トレンド依存度」で分類します。トレンド直結の短サイクル商品(数週間〜1シーズン)、トレンドを取り入れた中サイクル商品(1〜2シーズン)、定番的な長サイクル商品に分けることで、施策の優先度が明確になります。
2つ目は在庫切れ・滞留の実態把握です。過去の販売データから、在庫切れが頻繁に発生する人気商品と、シーズン終了後も残りやすい滞留商品を特定します。前者は再入荷通知・残り僅か通知の対象候補、後者は在庫処分の対象候補になります。
3つ目は売上集中度の確認です。トレンド商品販売型グロースモデルでは売上が一部のヒット商品に集中しがちです。上位10〜20%の商品の売上スパイクをしっかり作りながら,それ以外の商品を売り切るための運用を設計します。
在庫数や在庫残日数、消化率などの指標を見る場合も、この3つのポイントによって見方が異なります。
ステップ2:新作通知の設計と実装
在庫ライフサイクルの起点は新作通知です。新商品の発売情報をメール・LINE・SNSで配信し、初速売上を最大化します。
新作通知の設計で最も重要なのは、発売前から期待値を醸成する「事前告知 → 発売告知」の2段構えです。まず発売の1〜2週間前にcoming soon告知やティザー投稿で期待値を高め、発売日に一斉告知で購入を促します。トレンド商品販売型グロースモデルでは商品サイクルが短いため、発売直後の数日間にどれだけ売上を積めるかが勝負です。
Shopifyでcoming soon告知を実現する簡単な方法として、商品を在庫0の状態で先にリリースし、商品ページの表示を「カミングスーン」にカスタマイズしておくという方法があります。土屋鞄製造所様のような人気ブランドでも活用されています。

Amp Back in Stock | PreOrderなどの再入荷通知・プレオーダーアプリを導入すれば、在庫0の商品ページに「入荷お知らせ」ボタンを自動表示でき、発売前から見込み顧客のメールアドレスを収集できます。発売日に在庫を入れた瞬間、登録者に一斉通知が届く仕組みを作れるため、事前告知と発売告知の2段構えを効率的に実現できます。
新作通知で重要なのは、メール・LINE・アプリプッシュなど複数チャネルで同時に通知を届けることです。顧客によって普段使うチャネルは異なるため、1つのチャネルだけでは届かない顧客が必ず出てきます。
StoreHeroでは、メール・LINE・アプリに同時通知を行う独自ツールを活用し、もれなく顧客に新作情報を届ける運用を支援しています(詳しくはトレンド商品販売型グロースモデルの運用解説記事でも紹介しています)。

新作通知がもたらす初速売上は、在庫ライフサイクル全体に波及効果をもたらします。初速で在庫の50〜60%をプロパーで消化できれば、残り僅か通知のタイミングが早まり、在庫処分に回る量を大幅に抑えられます。また、初速の売れ行きデータは追加発注の判断材料にもなり、再入荷通知の精度向上にもつながります。
ステップ3:残り僅か通知の設計と実装
新作通知による初速販売が進み、人気商品の在庫が減ってきた段階で残り僅か通知を発動します。メールやLINEで「在庫残りわずか」という事実を顧客に伝え、プロパーでの消化をさらに加速させます。
設計のポイントは、希少性の訴求と買い煽りを明確に区別することです。「残り5点です」という事実の伝達は良い希少性訴求ですが、「今買わないと二度と手に入りません」は買い煽りになります。
トレンド商品販売型グロースモデルではブランドへの信頼が次のトレンド商品の購買にも影響するため、ブランド毀損につながる過度な煽りは避けるべきです。トレンド商品販売型グロースモデルに適したメッセージの核は「今季注目の○○、ラストチャンス」のように、トレンドの旬と在庫の希少性を掛け合わせた表現です。
在庫閾値の設定
残り僅か通知の設計で最初に決めるべきは「在庫が何点以下になったら通知を出すか」という閾値です。商品の特性と販売ペースに応じて以下を目安に設定します。一点物やラグジュアリー品(単価5万円以上)は在庫1〜3点以下、通常の商品は4〜10点以下、1日5点以上売れる人気商品は11〜20点以下が目安です。迷った場合は10点以下をデフォルトとして開始し、運用しながら調整するのが実践的です。
トレンド商品販売型グロースモデルでは商品の動きが速いため、閾値を高めに設定して早めに通知を出す方が機会損失を防げます。
Klaviyoの「Low Inventory」フローで自動配信
具体的な実装では、Klaviyoに用意されている「Low Inventory(低在庫)」フロートリガーを使うのがおすすめです(Klaviyo公式ガイド)。これはKlaviyoが公式に提供している残り僅か通知専用の機能で、Shopifyとの連携に対応しています。
設定手順はシンプルです。Klaviyo管理画面で「Flows > Create Flow > Build your own」からフローを新規作成し、トリガーに「Low Inventory」を選択します。

次に、在庫が何点以下になったら通知するかの閾値を設定画面で直接指定します(例:10点以下)。トリガー対象は商品単位かバリアント単位かを選べます。Shopifyの場合、商品単位ではViewed Product・Added to Cart・Started Checkoutの3つのイベントに対応しており、顧客が低在庫商品を閲覧・カート追加・チェックアウト開始した際に自動で通知フローが発動します。

この機能には購入済み顧客の自動除外が組み込まれているため、すでに購入した顧客に通知が届く心配がありません。さらにトリガーフィルターで特定の商品やコレクションを除外したり、商品ページを直近7日以内に閲覧した人だけに制限をかけたり,プロフィールフィルターでフローへの再入場制限(例:過去7日以内に同じフローに入っていない)を設定することもできます。
なお、Klaviyoの公式ガイドではタイムディレイを入れないことが推奨されています。在庫が少ない商品はすぐに売り切れる可能性があるため、閲覧後すぐに通知を届ける方がコンバージョン率が高まるという考え方です。トレンド商品販売型グロースモデルでは商品の動きが速いため、この即時配信の設計はとくに有効です。
パーソナライズされたメールの設計
残り僅か通知の効果を高める鍵は、メールの件名と本文に商品名や在庫の逼迫感を盛り込むことです。Klaviyoではフロー内のメールテンプレートで動的変数を使い、トリガーとなったイベントの商品情報(商品名、商品画像、商品ページURL)をメールに自動差し込みできます。
件名の設計では「残りわずかです」という曖昧な表現よりも、具体的な商品名を入れる方が顧客の行動を促す効果が高いことがわかっています。たとえば,動的変数({{ event.product_name }}など)を使って「【残りわずか】〇〇デニムジャケットが間もなく完売です」のように商品名を明示した件名を設定します。
本文では商品画像、商品ページへのリンク、顧客の名前を組み合わせて、パーソナライズされたメールを構成します。
ステップ4:再入荷通知の設計と実装
人気商品が売り切れた際に備えて、再入荷通知の仕組みを構築します。トレンド商品販売型グロースモデルでは在庫切れのタイミングがシーズンの売上ピークと重なりやすく、再入荷通知は非常に効果的な施策です。
まず、商品ページに再入荷通知の登録ボタンを設置します。売り切れ時に「再入荷をお知らせ」というフォームを表示し、メールアドレスを収集します。この登録者リストがそのまま「確度の高い見込み顧客リスト」になります。
次に、再入荷検知から通知までの自動フローを構築します。Klaviyoにもback-in-stock機能は備わっていますが、再入荷通知に特化したAmp Back in Stock | PreOrderなどの専門アプリを使う方が、登録者数の推移や通知後のコンバージョンなどモニタリングがしやすく運用効率が上がります。在庫が補充された瞬間に登録者へ即時配信する仕組みを作ります。トレンド商品販売型グロースモデルでは再入荷のタイミングが限られるため、配信までの時間差をできるだけ短くすることがコンバージョンを最大化するポイントです。
ステップ5:在庫処分の設計と実装
シーズン終盤やトレンドの転換期には、滞留在庫の処分計画を策定します。トレンド商品販売型グロースモデルでは季節変動が大きいため、在庫処分の実施時期とスピードが収益に直結します。
ただし、値引きに頼る前にまず取り組むべきなのは、プロパー(定価)のまま売り切るための工夫です。トレンド商品販売型グロースモデルの運用解説記事でも紹介されているように、特集コンテンツでの提案、SNSでのスタイリング提案、メルマガでの切り口を変えた再提案など、値引き以外の方法で商品の魅力を再訴求することがプロパー消化率を高める鍵です。
StoreHeroでは,売れ行きが鈍化した商品をコーディネート特集や季節の着こなし提案として再編集してサイト上の特集ページ,SNS,メルマガで紹介したり,「スタッフおすすめ」として別の角度から訴求するといった運用をしています。
その際,売れている商品と売れてない商品の購入者の属性や購入チャネル、購入時間帯などを比較して、売り方を検討しています。

画像、テキスト、商品の情報を登録すれば簡易的な特集ページが作れる仕組みを実装して、在庫の状況に合わせた臨機応変な提案コンテンツの運用も行っています。

これらの施策でプロパー消化率を最大限に高めた上で、それでも残った在庫に対して値引き施策を実行するのが正しい順序です。
値引きに移行する場合の設計の出発点は段階的な値引きスケジュールです。いきなり大幅値引きをするのではなく、たとえば「シーズン終了2週間前に10%OFF → 1週間前に20%OFF → 終了後に30%OFF」のように段階的に設定します。これにより、価格感度の異なる顧客層を段階的に取り込みながら、ブランドイメージへの影響を最小限に抑えられます。
チャネルの使い分けも重要です。セール情報の全面告知はブランドイメージに影響するため、まずはメール・LINEで既存顧客に限定告知し、段階的にSNSや広告に拡大するアプローチが効果的です。
在庫処分の判断基準として、プロパー消化率と在庫回転日数を定期的にモニタリングします。トレンド商品販売型グロースモデルでブランド毀損しないよう運営していくには、プロパー消化率の目標を高めに設定し、上述の特集コンテンツ・SNS・メルマガなどあらゆるチャネルでプロパーでの提案を尽くした上で、残った在庫を迅速に処分する判断力が求められます。
ステップ6:効果測定と4施策の連携最適化
4つの施策を運用し始めたら、定期的に効果を測定し、施策間の連携を最適化します。
施策ごとの主要KPIを整理します。新作通知は「初速売上高」と「発売3日間のプロパー消化率」、残り僅か通知は「通知経由の売上」、再入荷通知は「再入荷通知売上」と「登録者のコンバージョン率」、在庫処分は「キャッシュ回収金額」と「平均割引率」を中心に追跡します。
重要なのは、4施策を独立して評価するのではなく、在庫ライフサイクル全体での最適化を図ることです。新作通知で初速売上が伸びれば残り僅か通知の発動が早まり、プロパー消化率が高まります。残り僅か通知でプロパー消化が進めば在庫処分の割引幅を抑えられますし、再入荷通知の登録者数が多い商品は強気の仕入れ判断ができます。
測定のタイミングとしては、週次で各施策のKPIを確認、月次で施策間の連携効果を評価、シーズン終了後に在庫ライフサイクル全体の振り返りを行います。特にトレンド商品販売型グロースモデルではシーズンごとの振り返りが次シーズンの仕入れ計画と施策設計に直結するため、この効果検証サイクルの確立が継続成長の鍵になります。
まとめ
トレンド商品販売型グロースモデルにおいて、在庫管理は売上成長を支える経営の生命線です。新作通知・残り僅か通知・再入荷通知・在庫処分の4つの施策を、商品の在庫ライフサイクルに沿って使い分けることで、初速売上の最大化、プロパー消化率の向上、販売機会の回復、滞留在庫の効率的な処分を実現できます。
特に新作通知は在庫ライフサイクルの起点であり、初速売上の大きさが後続3施策すべての効果に影響します。初速でしっかり売り切れるからこそ、残り僅か通知の希少性訴求が効き、在庫処分に頼る比率を下げられるのです。
運用手順を改めて整理すると、商品カテゴリの分類と在庫分析から始まり、新作通知で初速売上を最大化、残り僅か通知でプロパー消化を加速、再入荷通知で売り切れ商品の販売機会を回復、在庫処分でシーズン終盤のキャッシュ回収を最大化、そして4施策の連携効果を測定して次シーズンに活かす。この6つのステップをシーズンごとに回し続けることが重要です。
最初から4施策すべてを完璧に運用する必要はありません。まずは新作通知と再入荷通知から始め、残り僅か通知、在庫処分と段階的に導入していくのも有効なアプローチです。
次の具体的な一歩を踏み出すために
「在庫ライフサイクル管理の考え方はわかったが、自社の場合はどこから手をつければ良いかわからない」
もしそう感じられたなら、ぜひ一度、私たちStoreHeroにご相談ください。StoreHeroの「Shopify無料ストア診断」では、Shopify運営のエキスパートが、あなたのストアの現状をヒアリングとデータに基づいて丁寧に分析。今取り組むべき最も優先度の高い課題と具体的な施策をご提案します。
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