PMF(プロダクトマーケットフィット)という言葉もだいぶ一般的に使われるようになり、コマース業界でも使われることが増えてきました。PMFについて知らない方は、こちらの記事をご確認ください(PMF(プロダクトマーケットフィットをコマースビジネスに取り入れる方法)。
今回はPMFの実践編として、LP(ランディングページ)を使ってPMFを検証する方法を紹介します。この記事を読めば、最小コストで最速でPMFの検証を進めることができます。
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Contents
PMFのポイント
PMFをうまく進めるには以下の点が重要です。
- ニッチを見つける
- ページ作成に時間を使いすぎない
- 細かい検証にこだわらない
- 商品自体の見直しも覚悟する
- とにかくスピード
ニッチを見つける
ニッチな市場を見つけて、その市場に商品がフィットするかを検証することにフォーカスすることをおすすめします。
大きな市場には強い強敵がたくさんいます。どれだけ商品が優れていても、知名度やブランド力の差が大きい場合は、お客さんから商品を正しく評価されるのが難しく、PMFを進めづらいです。
まずはニッチな市場(顧客と課題)を見つけて、その市場に商品が評価されるかを検証することに力を注ぎましょう。
ページ作成に時間を使いすぎない
LP(ランディングページ)を作って、PMFをする場合も、LP作成に時間をかけすぎるのはうまい進め方ではないです。
PMFで一番検証したいことは、顧客の課題に商品の魅力が刺さるかどうかです。それを分かりやすく表現できていれば、それ以上のデザインや演出は不要です。
PMFのために作ったLPを、PMF達成後も永遠に使い続けることは少ないです。使い捨てになっても良いので、PMFの検証ができる最小限の工数でLPを作成してリリースしましょう。
細かい検証にこだわらない
LPに集客をかけて、LPの改善を行うことは大切です。ただし、細かな表現の改善には時間を使わないでください。
LP上のファーストビューでの訴求やオファー内容、CTAなど、重要な要素が同じであれば、それ以外の細かな表現を改善しても、大きく結果が変わることはないです。改善するのであれば、結果に影響する主要な要素にフォーカスしましょう。
商品自体の見直しも覚悟する
どれだけテストを繰り返しても、残念ながら全く当たらないこともあります。その場合は、商品自体の見直しの検討も必要です。
製造してしまうと商品の見直しが難しくなるため、理想を言えば、商品を作る前にPMFの検証プロセスを組み込めると良いです。開発予定の商品をLPで売り込んでみて、売れるかどうか顧客の反応を確認し、売れたら本格的に製造する方法です。
すでに商品がある場合も、大々的にプロモーションを実施する前に、PMFを実施しましょう。
とにかくスピード
PMFはスピードが重要です。ニッチな市場は、寿命が長くないことも多く、のんびり時間をかけて検証していると、市場自体が消えてしまいかねないです。
またPMFはあくまで検証作業なので、検証に余計なコストや時間をかけてしまうと、いざ本格的に事業をスケールさせたいときに資金や時間が足りなくなってしまいます。とにかくスピードを意識しましょう。
LPを使ったPMFの進め方
それでは以下でLPを使ったPMFの進め方の例を紹介します。
1,ニーズ調査
まずはどの市場でPMFを検証するかを決めるため、ニーズを調査します。ニーズの調べ方は色々ありますが、時間やコストをかけずに行える方法としては以下の方法が便利です。
- 知人へのインタビュー
- 知人へのアンケート
- マーケットプレイスのランキング
- 検索キーワード
- SNSでのトレンド
- Q&Aサイト
- 他社広告・LP
- メディアの記事
- 書籍の目次
すでに商品を販売している場合の顧客調査の仕方は以前、他の記事で紹介しましたが、PMFフェーズでは顧客データが十分にないため、積極的に取りに行く必要があります。
全ての方法を網羅する必要はないです。一部の人が強烈に悩んでいることや一部の人の中で強烈にファンがいるニッチな市場を2〜3個見つけることができれば、出だしとしては十分です。
2,提案を決める
ニッチな市場を見つけたら、どんな商品でどんな提案をするかを決めます。
同じ商品でも市場が違えば提案内容は異なりますし、同じ市場でも提案パターンは複数あります。
提案を考える上でのポイントは以下の3点です。
- 商品の強み(独自性)を提案に含める
- 提案は分かりやすいオファーに落とし込む
- 余計なプロモーションを行わない
商品の強み(独自性)を提案に含める
単に市場のニーズに応えるだけでは、差別化が弱くスケールできないため、独自の強みを使って市場のニーズに応えられるかどうかがPMFにおいて大事なポイントです。提案には、自社の独自性を含めるようにしましょう。
提案は分かりやすいオファーに落とし込む
デザイン的な意味の分かりやすさだけでなく、売り方としても提案価値が分かりやすく表現されている必要があります。
食品のECでおいしさに自信があれば、低価格のお試し商品を提案して、初回購入以降のリピート購入率が高いかを検証するようなPMFにするなどのイメージです。
LPでおいしそうに見える商品写真にこだわるより、その方がPMFの検証をスピーディに進められます。
余計なプロモーションを行わない
「今だけ30%OFF」など、余計なプロモーションをPMFと一緒に行うと、ノイズがはいってしまいます。
プロモーションで売れたのか、PMFがうまくいったのかが分かりづらくなるため、PMFをする場合は、余計なプロモーションは避けましょう。
3,LPを作成する
ニッチな市場を見つけ、提案を決めたら、LPを作成します。
Shopifyの場合、GempagesやPageflyなどのページビルダーアプリを使えばノーコードでLPが作れるため、コーディングが得意でなければ活用をおすすめします。
LPでは、ファーストビューでフックできなければ、それ以降を一生懸命作っても閲覧されないため、ファーストビューはニッチ市場の興味関心を捉えた訴求を入れましょう。
また、LPでは、長い文章がしっかり読まれることは少ないため、画像やグラフ、テーブル、イラストなどを有効活用して、直感的に理解できるようにしましょう。
4,検証&改善する
LPを作成したら、広告やSNSで集客しますが、集客前に、目標値と撤退値は決めておきます。
目標値や撤退値を決める上で、LTVやCACという考え方が参考になります。以前、LTVやCACについての記事を書きましたので、LTVやCACという言葉が聞き慣れない方は参考にしてみてください。
目標値は、事業者が主体的に決めるため、1通りの答えはないですが、撤退値は明確です。LTV > CACでないとビジネスが成立しないため、それに近い数値が撤退値になります。LTV/CAC(LTV・CAC比率)が3倍以上であればスケールする有望なビジネスと言われています(PMFフェーズで3倍になることは稀です)。
PMFの検証では、事前に定めた目標値や撤退値を基準に検証を進めます。目標値に至らない場合も、場合によっては撤退値を下回ったとしても、LPや集客の仕方を改善すれば結果が良くなることもありますので、よほどダメな場合を除けば、少し粘りましょう。
Google Optimizeを使えば、LP上でのABテストが簡単にできます。以前、別の記事でもGoogle Optimizeの使い方を紹介しましたので、参考にしてみてください。
また、ClarityやHotjarなどのレコーディング・ヒートマップツールを使えば、改善するべきポイントが見やすくなるので、使ってみてください。Hotjarの使い方は以前、別の記事で紹介しました。Clarityでも同様の使い方はできますので、Clarityユーザーの方も含めて参考にしてみてください。
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まとめ
LPを使ってPMFの検証を進める方法を紹介しました。
どこまで丁寧にPMFの検証をするべきかは、事業に求められる成長速度によりますが、PMFが全く達成されないままに、広告費用やプロモーション費用をかけて売上を作っても、成長が長続きしないため、成長を急ぐ場合も、PMFは意識してグロース施策を組み立てる必要があります。
これまで、PMFのプロセスを全く通らずに売上を作ってきたマーチャントさんは、今、走らせているプロモーションを完全に止める必要はないですが、一部のリソースをPMFに使って検証をしてみることをおすすめします。結果的に事業成長速度を上げることにもつながることも多いはずです。
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