Shopifyでグロースを目指すための基本ノウハウ「グロースワークフローとは」

StoreHeroでは、Shopifyマーチャントさんのコマース事業の継続的な成長を支援するために、グロースワークフローという手法を使っています。今回は、グロースワークフローを使ったグロース施策の取り組み方の全体像について解説したいと思います。

この記事を読んでいいただくと、グロース施策の進め方の全体像を把握していただくことができます。

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グロースワークフローとは

StoreHeroでは、継続的な成長を生み出すための、仕組みや業務ルールのことをグロースワークフローと呼んでいます。

継続的に成長するには、再現性が必要です。偶然に特大ホームランの施策を1発当てることは目指さず、ホームラン、ヒットに関わらず、継続的に安打を打ち続けられることを目指します。

グロースワークフローに重要な3つのポイント

グロースワークフローを構築する上で重要なポイントは以下の3つです。

  • 仕組み化
  • 打ち手の幅
  • 計測可能

継続的に結果を出し続けるには仕組み化が重要です。「新規顧客を増やす」、「既存顧客の購入回数を増やす」、「新商品の売上をスパイクさせる」など、コマース運営での様々な課題には解決するための「型」があります。その「型」を自社に適応して仕組み化します。

仕組みには、ある程度の柔軟性を持たせます。初期設計時点で「この通りやれば100%うまくいく」マニュアルを用意することは不可能です。運用しながら、自社にマッチした仕組みに改善していきます。初期設計時に、改善施策の打ち手に範囲を決めておくことで、現場での判断が早くなります。

計測できなければ、改善の必要性が判断できません。ShopifyやGoogle Analyticsなどのデータを組み合わせてグロースワークフローがうまく回っているかを計測できるようにする必要があります。

グロースワークフロー活用の5ステップ

グロースワークフローを活用するには、5つのステップを踏みます。

  • 課題特定
  • グロースモデル設計
  • KPI設計
  • グロースワークフロー設計
  • グロースワークフローの運用&改善

各ステップの詳しい解説は、次回以降に回して、ここでは、簡単に概要だけ解説してみます。

課題特定

グロースの課題は、目標と実績の差分から特定します。課題を特定するにはKPIツリーが便利です。以下の図は、売上を最上位においたKPIツリーです。

課題は、KPIツリーの上位にある大きな指標からブレイクダウンして把握します。

例えば、下記のように課題をブレイクダウンします。

  1. 全体の売上が目標に対して20%不足している
  2. 新規顧客の売上が目標に対して40%不足しているが、既存顧客の売上は目標から大きく不足していない。
  3. 新規顧客の売上のうち、目標に対しての不足は、広告経由で20%、CRM経由で10%が大きな要因になっている。

グロースモデル設計

課題を特定できれば、課題を解消するためのグロースモデルをShopify上に設計します。グロースモデルは、オーディエンス構築、集客、購入促進、リピート促進に分けて整理します。

オーディエンス構築の目的は、見込み客を作ることです。SNSでエンゲージメントを獲得したり、メディア掲載を増やす施策などが該当します。ここでのKPIは、メール・LINE登録数、ブランド指名検索数、広告のマーク数などになります。

次に、見込み客を、自社ストアに集客します。見込み客を狙ったターゲティング広告や、SNSフォロワー、メール・LINE登録者に向けた購入促進などの施策が、こちらに該当します。

集客した見込み客を初回購入に誘導します。初回購入はハードルが高いため、様々な工夫が必要です。広告専用のLPを作成したり、初回購入用のフック商材、初回限定オファーなどを行います。

更に、初回購入者を、メールやLINE、アプリを活用し、リピート購入に誘導し、LTV向上を狙います。

この、オーディエンス構築、集客、購入促進、リピート促進の一連の施策を自社ブランドに適したように組み立てたものがグロースモデルです。

グロースモデル設計のポイント

グロースモデルに含まれる施策は、良い効果と悪い効果の両面があるため、良い面だけでなく悪い面も考慮しながら、グロースモデルを設計する事が重要です。

例として、購入促進の小さな課題として、メール経由の売上を63万円から100万円に改善する施策を組み立てる場合を考えてみます。

一見、メールマガジンの配信頻度を高めれば良さそうに思いますが、メールの配信頻度を高めると一時的にメール経由の売上は増えますが、読まれなくなる確率も高まり、長期的に100万円を維持するのが難しくなります。

そこで、メールの配信セグメントを細かくし、配信内容をそれに合わせ、購読率を維持したり、メール登録キャンペーンを実施してメール登録数を増やす施策を組み合わせ、メール経由の売上が継続的に100万円向上するようにします。

このように、多くの施策には、良い効果と悪い効果があるため、複数の施策を組み合わせて良い効果が悪い効果を上回るように設計することがグロースモデル設計時のポイントです。

KPI設計

グロースモデルに組み込まれた施策には、施策ごとにKPIを設定します。KPIは、施策に与えられた目標を分解して、使いやすいようにします。

例えば、先程と同様にメール施策の場合、メール全体の売上だけでなく、メール登録者のうち未購入者と購入済み顧客に分けてKPIを設計してみます。すると、未購入者・購入済み顧客のどちらの売上がどれだけ不足しているかが可視化されるため、打ち手が考えやすくなります。

KPIの裏側には色々な想定・前提条件が入っています。その想定・前提条件も可視化しておくと、チームに理解されやすくなります。

例えば、上記の目標内の各KPIの背景には、下記の想定・前提条件がありました。何となく上記のシートを眺めているだけだと、気づかないですが、このように可視化されると、目標やKPIの裏側にある考え方が理解されやすくなります。

グロースワークフロー設計

事業計画やKPIとリンクしたグロースモデルができたら、仕組みや業務ルール(グロースワークフロー)に落とし込みます。

仕組みについては、Shopifyの場合、Shopifyとその周辺エコシステムを、自社のグロースモデルに合わせて設計・実装するという考え方が大事です。

Shopifyは自身の標準機能、テーマ、Shopifyアプリを活用するだけで、高度な仕組みがスピーディに実装できます。また、GoogleやMeta、Tiktok、Pinterestなど、外部プラットフォームとの連携性も高く、OMS・WMSを通じた在庫・物流との連携も簡単になりました。Shopify FlowZapierParabolaなどを使って、Shopify、Shopifyアプリ、周辺サービス同士を連携させることもできます。

エコシステム活用の恩恵を最大限受けられるよう、カスタマイズしすぎずに、連携性を確保しながら仕組みを構築しましょう。

構築した仕組みの活用を、グロースワークフローに落とし込む上でのポイントは、打ち手に一定の幅を持たせることと、自然にベストプラクティスが実践できるようにすることです。

こちらのシートは、メールの運用方針を整理した場合の例です。

打ち手に一定の幅を持たせる

事業計画やKPIは、過去データをもとに設計することが多いかと思います。過去データは、計画を立てる上では役に立ちますが、現実とは異なるため、目標達成するには、仕組みや業務を、運用しながら現実に合わせて一定の幅の中で調整する必要があります。

1回のメール配信で100万円の売上を見込んで計画を立てても、商品のトレンドの変化や、競合の動きによって、目標に達しないことがあります。そんなときに、現場判断で、どういった打ち手を取るのか、一定の幅で決めておき、臨機応変に対応できるようにします。

上記のメール運用方針シートの一番右のオプション施策というのが、この改善幅に当たります。

自然にベストプラクティスを実践

当たり前のことを当たり前に実行できるようにしておくことも重要です。

例えば、どの商品がどのチャネルで誰に買われているかを把握して、打ち手を決めることは大事だと、誰もがご存知かと思います。

しかし、現場の業務は多忙で多岐にわたるため、何がどのチャネルで売れているかを確認する余裕もない場合があります。そういった判断に必要なデータや情報は、業務の中で自然に確認できるように仕組み化するべきです。人の判断が必要ないプロセスは自動化しても良いでしょう。

また、オンラインで販売する場合、InstagramやAmazonなど、プラットフォーマーのアルゴリズムや動向は、売上に影響しますが、全員がキャッチアップし続けることは難しいでしょう。そこで、全員が自然とベストプラクティスの業務ができるよう、仕組みや業務ルールを作っておくことが大事です。

グロースワークフローの運用&改善

グロースワークフローを設計したら、各担当がそれぞれの持場で運用します。運用中は、目標・実績差分をモニタリングし、現場レベルの細かな指標で課題を特定して、改善の打ち手を実施します。

当社ではShopify専用グロースプラットフォームであるStoreHeroを活用して目標・実績差異のモニタリング、改善の打ち手の議論、タスクを集約管理しています。

精度の高い打ち手は、データを深掘りすれば見えてきます。以下は、メール経由の売上推移を年齢別に集計した例です(データ架空の事例)。定期的に30代中心に売上がスパイクしていますが、直近は、30代に加えて40代、50代の売上も伸びています。一方、20代はあまり売上が伸びていません。最近の訴求が若い層にヒットしていないと考えられます。30代以上には今の訴求を継続しつつ、20代には訴求を変えてメールを打ってみると良さそうです。

先程。事前に指標ごとに改善の打ち手の方向性をある程度決めておけば、施策実施のスピードが速くなると書きましたが、打ち手につながるデータをいつでも見れるようにしておくことで、スピードだけでなく施策の精度向上にもつなげられます。

グロースモデルやグロースワークフローの進化

事業が成長すれば、課題が変わり、それに合わせてグロースモデルやグロースワークフローも変えていく必要があります。グロースモデルやグロースワークフローを変更する場合のポイントは、変更前の良い部分が引き継がれるように再設計することです。

例えば、初期は、集客に課題があり、集客力を高める施策を中心としたグロースワークフローを運用していて、その後、リピート購入に課題が移り、リピート促進施策を中心としたグロースワークフローに組み替える場合を考えます。

グロース施策全体に使える工数が同じであれば、リピート促進施策に時間を使えば、集客に使える時間が減ります。

しかし、GoogleやInstagramなどからの評価が高ければ、広告も高パフォーマンスで配信されやすいため、オーガニック集客の一部を広告で補いやすくなります。また、集客施策でInstagramで活性化していれば、UGCをCRMで活用して、リピート促進の効果を高めることも狙えます。

このようにグロースワークフローを変更する際は、変更前に作った資産を、変更後に効率的に活用することが重要になります。再設計がうまくいけば、更に大きな事業に成長させることができます。

まとめ

今回はStoreHeroがShopifyマーチャントさんを支援させていただく際に活用するグロースワークフローという考え方の基本を解説いたしました。グロースワークフローを使ったグロース施策の取り組み方の全体像についてご理解いただけましたでしょうか。

次回以降、グロースワークフローの考え方にもとづいた運用について、成長フェーズ別に解説していきます。

成長フェーズ別解説記事

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