Shopify×グロース成長フェーズ別の注力課題〜拡大期〜

今回も、Shopify×グロースの成長フェーズごとの注力課題とその対策の解説です。1回目は立ち上げ期、2回目は成長期についてでしたが、3回目の今回は拡大期について解説します。

拡大期は、成長期までに培った顧客基盤をベースに、スピードを落とさずに成長することが求められるフェーズです。今回は、拡大期にしばしば課題になる以下の3点について解説します。

  • セグメント分けしたCRM運用
  • ロイヤルカスタマー施策
  • 2ステップマーケティング

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セグメント分けしたCRM運用

メールやLINEは、配信頻度が増えるほどに、1通あたりのパフォーマンスが低下するため、拡大期ではRevenue per sessionを維持しながら、配信頻度を高めるために、セグメント分けした運用が重要です。

拡大期では、顧客リスト数が多く、細かくセグメント分けしても、セグメント内の顧客数を確保できるため、セグメント分けのメリットが大きいです。

単純化した例ですが、以下の表は、メールの配信頻度が増えるほどにRevenue per sessionとCTRが低下する場合に、週1、3、5回配信のいずれの売上が高いかをシミュレーションした表です。この例では、週5配信より週3配信の方が売上が大きく、闇雲に配信するとパフォーマンスが落ちてしまうことを示しています。

次に、以下は顧客をセグメント分けして、顧客に適したメールを配信し、CTRとRevenue per sessionを改善できた場合の例です。今回は週5配信の売上が最も大きくなりました。恣意的なシミュレーションではありますが、配信頻度が高いほど、セグメント分けによる効果が大きいため、あながち非現実的な結果でもありません。

セグメント分けしたCRMでもパフォーマンスのモニタリングが重要です。セグメントごとのパフォーマンスを継続的にモニタリングし、パフォーマンスに変化があった場合は、必要に応じて改善施策を実施し、運用をチューニングします。

売上が上がった・下がったを知っただけでは、打ち手が決めづらいですが、売れている商品や購入者の属性にどんな変化が起きているかが分かれば、確度の高い打ち手が決めやすくなります。

以下は、メール経由の売上推移を年齢別に集計した例です(データ架空の事例)。定期的に30代中心に売上がスパイクしていますが、直近は、30代に加えて40代、50代の売上も伸びています。一方、20代はあまり売上が伸びていません。最近の訴求が若い層にヒットしていないと考えられます。30代以上には今の訴求を継続しつつ、20代には訴求を変えてメールを打ってみると良さそうです。

Shopifyでセグメント分けしたCRM運用をするには、メールの場合は、KlaviyoOmnisendDotditalなどを、LINEの場合はCRM PLUS on LINEを活用することが多いかと思います。

Klaviyoの使い方については、以前、記事に書きましたので参考にしてみてください。

顧客に合わせて細やかにメールやLINEを出し分ける場合、運用負荷が重くなるため、運用しやすいテンプレートや仕組みの実装も大事です。また、効果のあるセグメントが作れるようアンケートやチャットなどで顧客情報を収集しておくことも重要です。

ロイヤルカスタマー施策

購入頻度や注文単価が高い顧客を増やしたり維持する施策を、StoreHeroではロイヤルカスタマー施策と呼んでいます。ロイヤルカスタマーが増えれば、継続的に成長しやすくなります。

ロイヤルカスタマー施策に取り組む前に、まず自社の顧客構成を把握しましょう。購入金額や購入回数から顧客をランク分けし、各ランクの購買行動を集計してみましょう。

以下は、架空のデータになりますが、1年間の購入金額が5万円未満、10万円未満、30万円未満、50万円未満、それ以上で顧客をランク分けした場合の集計シートです。

この例では、ランクEからD、Cと上がるに連れて、購入頻度が高くなっています。一方、平均購入金額も、ランクEからCまで徐々に上がっていきますが、購入頻度ほどは高くなっていません。

この特徴を踏まえると、ランクDの顧客をランクCに上げるには、購入金額を高める施策より購入頻度を高める施策の方が効果がありそうです。

合計購入金額の総計がストア全体の売上になりますので、売上目標から逆算して、各ランクの顧客数の目標を設定し、上記のような購買傾向を踏まえてロイヤルカスタマー施策に取り組みます。

ロイヤルカスタマー施策には、メールやLINEでのコミュニケーション以外に、ロイヤルティプログラム(会員ランク、ポイントなど)、アプリの運用、会員限定商品・イベント、個別接客など、様々な方法があります。

Shopifyでロイヤルカスタマー施策を実施する場合、ロイヤルティプログラムはVIP、ネイティブアプリ運用はAppify、個別接客はチャネルトークGorgiasTolstoyなどを活用することが出来ます。

施策の効果検証は、LTVの伸びを確認します。例えば、ポイントやアプリを利用した人の方が利用しない人よりLTVが高くなったかを、初回購入月が同じ人同士で比較することで、効果検証する事ができます。

初回購入月別にLTVは集計

2ステップマーケティング

拡大期になるとCRMの売上が大きくなりますが、CRMばかりに頼っていると、新規顧客が増えず全体が伸びなくなるため、新規顧客の獲得は引き続き、重要です。

成長期のフェーズで、広告については、細かな運用はしっかり行い最適化されていますので、簡単には今の収益性を維持しながら配信面を拡大することはできないと思います。

そこで、これまでより少し潜在的な需要の顧客層にターゲットを広げた上で、収益性を維持する方法に取り組みます。強力な武器になるのが2ステップマーケティングです。

2ステップマーケティングでは、広告でいきなり売上を狙わず、1回目は無料・低単価商品、メルマガ・LINE登録など、敷居の低いコンバージョンを低CPAで獲得し、ナーチャリングを通じて商品の魅力を伝え購入に繋げます。

2ステップマーケティングでは、初回登録CPAと引き上げ率を中心にモニタリングします。

以下の例は、広告でリード獲得(メール登録など)し、メールによるナーチャリングで、商品購入に誘導する2ステップマーケティングを想定したシートです。リード獲得後の引き上げ率(購入者数 / リード数)を購入者数 / クリック数、クリック数 / 開封数、開封数 / リード数に分解してモニタリングしています。

分解することで、引き上げ率の目標5.0%に対して実績が4.5%ですが、クリック数 / 開封数が目標50.0%に対して実績35.0%と、大きくビハインドしている事がわかり、クリック数を増やすため、メールの中身の改善にフォーカスすれば良いことがわかります。2ステップマーケティングで必要となる指標は、色々なツールからの集計が必要なため面倒ですが、着実に成果を出すには必要となります。

潜在的な需要を持つ顧客を広くコストを抑えて集客し、精度の高いナーチャリングで収益化することが2ステップマーケティングです。広告を使わずInstagramやTwitterのフォロワーをメール・LINEに誘導し、ナーチャリングを通じて購入促進することも2ステップマーケティングの応用です。

2ステップマーケティングも使いこなして、広く顧客獲得ができるようになれば、更に成長をすることができます。

まとめ

自社ECの成長フェーズの集大成である拡大期での注力課題を3つ解説しました。また、課題ごとに、モニタリングの方法、施策判断の方法、施策実施に活用できるShopifyアプリなどについても紹介しました。

継続的に成長するには、成長フェーズに適した施策を実施し、フェーズが変わるタイミングで、重点施策、モニタリング指標、運用を切り替える必要があります。また、指標をモニタリングし、状況に応じた施策を、現場判断で素早く実行し、結果が出るまでやり切ることも必要です。

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